私と彼の関係〜賭けの代償〜 恭平Side

「そういえばそんな賭けしてたな。」
「そういえばってなぁお前、覚えてたくせにそんな言い方するか普通?」
「実が何も言いださないから賭けはいいのかと思ってたからな。」
「折角初めて賭けでお前に勝ったのに俺が忘れるわけないだろ、まだまだ甘いな恭平は。」

そんなこと忘れてろ。
久しぶりに連絡してきたと思えば開口一番賭けのこと言いだすなんて無粋な奴。

俺、頭山 恭平(とうやま きょうへい)は、高校時代からの悪友、飯田 実(いいだ みのる)と電話で話をしながら聞こえないように舌打ちをしていた。
実がいう賭けというのは、大学時代でのことを言っている。
それは絶対に負けることはないと思っていた、賭け。

『じゃー賭けるか?
もし恭平に大切な女性が出来たら1日何でも俺の言うことを聞くこと。』

それが俺と実との賭け。
女という存在を鬱陶しいものとしか考えていなかった俺は、絶対に負けるはずがなかった。
だが、今の俺には遥がいる。
俺にとって一番大切な女性。
自分で大切な女性だなんていう存在ができるとはまったく思っていなかったからできた賭けのはずだったのに。
今さらながらそんな賭けをしたことを後悔したが、そんなこと言っても仕方がない。
そうは思っても気がつけば実が賭けのことを今更言いだすことに不機嫌な声で対応していたが、そんなことをまったく気にする様子もなく、
「と言うことで、今日俺と優美(ゆうみ)に付き合うこと。
もちろん、お前の大切な女性も連れてな。」
「どうして遥をお前達に会わせないといけないんだよ。
俺1人で行く。」
「お前は賭けに負けたんだから俺の言うことを聞かないといけないよな?
それに、1日と言っていたのを夜だけにしてやってるんだからありがたく思ってほしいくらいだ。」

よく言うよ、遥に俺の昔のことを話す気でいるくせに。

俺は実に条件の変更を申し出てみるが、すでに面白がっている実が了承するはずがなく、結局遥の都合がつけばということで話がついた。
電話を切った俺は、休憩しているだろう遥の元に向かったが、周りには人がいて話ができるような状況ではなく、別の機会を窺うことにした。

まったく、賭けなんてするもんじゃないな。





休憩時間が終わってしまったことで遥に話しかける機会を作ることが出来なかった俺は、書類を提出する時にメモ紙を挿み、喫煙室に来てもらうことにした。
書類を渡した後すぐに喫煙室に向かった俺は、煙草に火をつけ遥が来るのを待っているとしばらくして遥がやってきた。
そして、俺の隣に立ち同じように煙草に火をつける。
「急にどうしたの?」
「ちょっと急用ができて、夜付き合ってほしいんだけど。」
「急用って?」
「俺の悪友から飲みに行こうと誘われたんだ。
向こうも彼女と一緒に来るから俺も遥と行きたいと思って。嫌?」
俺は賭けのことを話すことはせずに説明をする。

断ってくれてもいいんだけど。
でも、遥のことだからそれはないだろうな。

俺の予想ははずれることなく、
「嫌なことはないけど、今日は残業しないといけないから遅くなるけどそれでもいい?」
遥は上司の顔を崩すことなく俺が求めていた答えじゃない返事をした。
そのことにため息をついてしまいそうになるが、急な話に嫌な顔を見せない遥に対して失礼だと思い、何とか出すことなく留める。
「かまわないよ。
仕事が終わって来てくれてかまわないから。」
「わかったわ。」
そう返事をする遥に場所を説明していると、違う部署の奴が入ってくるのに気がついて煙草の火を消す。
遥はまだ煙草の火をつけていて一緒にこの場所を離れる様子はない。
それは仕方がないことなのかもしれないが、上司の顔のままの遥に対していたずら心が芽生えてしまう。
だから、立ち去る時、
「では、そういうことでお願いします。」
と声をかけた後、後から入ってきた奴に分からないよう遥の耳元に息を吹きかけた。
遥の耳が弱いことを当然知っての行為だ。
遥は予想通り身体をビクつかせ頬を染め、上司の仮面が一瞬剥がれる。
「どうしました?白金主任。」
俺はわざと遥にそう声をかけると、
「何でもないわ。」
と返事をして先ほどまでの上司の顔に戻る。
でも、頬の色はすぐには戻るはずもなく、遥の動揺を表していた。
そんな遥のことが可愛くて仕方がない。

止められないよな、遥にいたずらするのは。
遥が可愛いすぎるのがいけない。
だから俺はいつまでもいたずらするのを止めることができないんだから。

「そうですか、ではお先に。」
そんなことを思いながら、何事もなかったような表情で俺は喫煙室を後にした。











「あれ?彼女はどうしたんだ?」
「残業だよ。
心配しなくても後から来る。」
「恭平のことだから連れてこないかと思ってたよ。」
待ち合わせの店に着くとすでに実と優美が来ていて俺を出迎える。
そして、すぐに遥が来るのかの確認をしてきた。
俺のことが分かっている悪友だから出てくる言葉なのかもしれないが。
「久しぶり。」
実の隣に座っている優美がニヤニヤした顔で声をかけてくる。
その表情は、俺をからかう気でいるのがありありと分かる表情だ。
2人とも悪友だが、優美は俺と性格が似ているせいか実よりもたちが悪い。
同族嫌悪を起こしそうな俺達が今でも友人関係を続けていられるのは実がいるからだろう。
俺達にはないお人好しな所が潤滑油になっている。
そんな実は高校時代に優美に一目惚れをして付き合い始め俺に耳にタコができるほど、

「大切な女性がいるのはいいことだぞ、お前も早くそういう人が見つかるといいな。」

と、同情した表情を見せるわけではなく、俺のことを心配しているのだと分かる表情で言い続けていた。
今まで出会ったことがないタイプの奴だった実は、気がつけば1番親しい悪友になっていた。
そんな実には遥のことをきちんと紹介しないといけないと思っていたから今日はいい機会なのかもしれない。

だからと言って優美は来なくてもよかったんだよ。

「相変わらず私がいるのが不服そうな顔ね。」
「それはこっちのセリフだ。
お前だって俺に会いたくはないんじゃないのか?」
「しょうがないじゃない、実が一緒に遥さんと会いたいって言うんだから。
彼氏のお願いは聞いてあげないとね。」
優美は実にニッコリ笑いかけながらもしっかりと俺のことを睨みつつ話している。
「そろそろ再会の挨拶は終わっただろ?
遥さんが来るまで待たないんだったら注文しよう、もう俺腹へってるんだよね。」
相変わらず俺と優美の仲が良くない雰囲気に気づいているのか気づいていないのか分からない実の声かけにメニューを取り出し注文を始めた。






「ごめんなさい、遅くなって。」
注文した料理がテーブルに届きだした頃遥が上司ではない俺の彼女としての表情をして店員に案内されてやってきた。
「お疲れ遥。」
俺は仕事を終えてきた遥に声をかけ椅子に座らせると、実と優美の紹介をした。
「初めまして。」
と、遥は微笑みながら挨拶をすると、実と優美は挨拶をした後、
「聞いていたとおりきれいな人だな。
恭平のことだからいやらしい手を使って彼女にしたんじゃないのか?」
「恭平だったらありえるわね。
遥さん、嫌だったら嫌って言わないとだめですよ。」
思っていた通りのセリフを口にする。

言うと思ってたんだよ。

予想をしていたセリフに、
「遥がきれいなのは本当のことだけど、俺に対して失礼だなお前達。
言っとくが遥から先に口説いてきたんだからな。」
俺は本当のことだからと遥を横目に見ながらシレッと話す。
そんな俺の発言に遥は焦りながら否定の言葉を口にし、実と優美が俺に振る話にますます焦りを見せ出し、話をしようとする俺の口を押さえ出す。
そんな遥の焦り振りも俺にとっては可愛い反応だ。
だから、もっと可愛く見せてくれるであろう反応を引き出すべく、ペロッと舌を出し遥の掌を舐める。
遥は俺の期待を裏切ることなく顔を真っ赤にして手を自分の方に戻す。
そんな素直な反応を示す遥が可愛くて、
「可愛いだろ?俺の遥は。」
俺は愛しい気持ちを隠すことなく表情を緩ませながら実と優美を見ると、俺の表情に驚きつつも楽しげな表情を見せ、
「確かに。」
「見かけと反応のギャップがつぼよね。」
と、俺の考えが分かった内容を口にした。
それから俺達は、酒と食事を口にしながら楽しい時間を過ごしていった。
しばらくすると遥は実と優美が言う俺の過去のことに強い反応を示しだし、素面では口にしないことを話しだした。
俺はそんな遥をあまり見ることがなくて楽しんでいると、予想もしなかった、
「恭平はやっぱり若い子の方がいいんだ〜!」
という発言に間抜けな言葉を発してしまっていた。

遥、どうしてそんな展開になるんだ?

そう思っていると、
「こんなに私が好きなのにひどいー。
あー、だから今日はこんな恰好でいるのね。
私だけの恭平なのにー。」
「おい遥大丈夫か?
今日は飲み過ぎてるぞ。」
「飲み過ぎてないっ。
本当のこと言ってるだけだし!」
遥は自分が言っている内容が分かっているとは思えないでいると、パタッと突然俺の身体に倒れこみ、
「恭平、好き。」
そうつぶやいた後眠り出してしまった。
「おい遥?こんな所で寝るなよ。」
俺は自分の胸の中で眠り出す遥を揺らしながらそう声をかけるがまったく起きる気配はない。

おいおい、本気で寝る気か?

そう心の中で呟きつつも眠る前の遥の言葉に顔が二ヤけてしまう。
いつもだったらこんな嫉妬を見せることがない遥の一面を目の前にして、うっとうしく思うこともなく喜んでしまう俺は、遥に惚れていることを改めて自覚する。
「何二ヤけてんのよ。
まったく、女なんかうっとうしいって言ってた奴の顔とは思えないわね。」
優美は遥の髪をさすっている俺を見ながら呆れた声を出していることなんて俺には気にもならない。
「恭平、大切な人ができるっていうのもいいもんだろ?」
ニッと笑いながら話しかけてきた実に、
「そうだな、自分にそんな人ができるとは思ってもなかったけど悪くないよ。」
俺は本心からそう答えていた。

今までだったら面倒で鬱陶しいだけでしかなかった嫉妬が、遥にされると不快ではなくちょっとした嬉しさがある。
遥と付き合うまでは知らなかったこの気持ち。
だから、

目が覚めたらしっかり身体で分からせてあげるよ遥。
俺がどれだけ遥に惚れてるかをね。













「やぁっ・・・っ」
遥の中に入り込み、身体を揺さぶりながら快感の渦を起こす。
そんな俺の動きに遥は口では嫌がりながらも動きを合わせ快感を追っている。
遥の身体に俺の物だと印をつけていく。
俺が遥に夢中だということを言葉だけではなく身体で知らせる。
言葉だけでは足らない俺の遥に対する愛情。
「ねぇ、も・・・うっ、無理っ」
「無理じゃないよ遥。
言っただろ?俺の愛情を示すって。
まだ足りないよこれだけじゃ。」
遥の潤んだ瞳を見つめ、攻め続けながら俺の中に溢れてくる遥への愛情をこれだけで終わらせるつもりはない。
何度遥を抱いても求めてしまう温もり。
今まで他の女を抱いた時には得られたことがないものだ。
だから、もし遥が俺の元から離れるなんてことがあっても、俺はどんな手を使っても離すことはできない。
それだけ俺は遥に溺れてしまっているのだから。
遥を狙っている男がいることにも気がついている。
そんな奴らを追い払うつもりでつけていく印。
自分のことながら余裕がないことに苦笑してしまう。
遥の中で一緒に快感を高め、自分の中の変化も楽しみながら夜が更けていく。




会社の人間には内緒の関係。
だが、そろそろ遥が誰のものか知らせていく必要があるのかもしれない。
もう俺は遥を手放すことなど出来ないのだから・・・・。



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