切なくて、恋しくて

景山君と別れた私はタクシーに何とか乗り家まで着いてお風呂に入った後ベッドに入ったが、目を閉じると景山君との会話やキスが思い出されてなかなか眠ることが出来なかった。
でも、裕也と千佳ちゃんが2人で去っていってしまったことも気になっていた私は、休みを3人のことを考えるので費やしてしまった。




今日のランチを食べながらの千佳ちゃんの話、予想どおりの結果報告だった。
多分、いや、絶対裕也は千佳ちゃんと付き合うことになるだろう。
だって、いつもの裕也の行動を考えるとその答えがしっくりくる。
だったら付き合ってしばらくしたら2人は別れるんだろうか?
そんなことを期待する私は本当に嫌な女だ。
でも、そう願わずにはいられない。
千佳ちゃんは可愛い後輩だから裕也と一緒にいる姿を見たくない。
そんな彼女が裕也と付き合うことになれば私は今までのように付き合える自信がない。
そう思うんだったら裕也と千佳ちゃんに私は裕也のことが好きだって言うのが1番いいのかもしれない。
そう思いながらも、7年間も溜めてきた私の思いを言うだけの勇気はない。
理由は、言ったことで裕也のそばにいられなくなるのが嫌だからという答えしか出てはこないから。
それにしても、景山君の行動はどうしたらいいんだろう・・・。
彼の気持ちに答えられないんだから、断るべきだと思う。
でも、自分からわざわざそのことを言いにいくのは躊躇ってしまう。
だからといって、またあんなことをされても困ってしまうけど。








屋上でコーヒーを飲んではため息をついて考え込んでしまっていた私は、柵に身体を預けながら空を見上げた。

天気いいなぁー。
こんな天気がいい日に悩んでいる私って・・・・。
もーこのまま寝ちゃいたい気分だわ。

青空の中に浮かんでいる雲の動きを追っていると、気分が落ち着いてくるような気になるけど、今日はなかなかそういう気分になれなかった。
「大きな口だなー、開けすぎじゃないか?」
空を見上げたままの私に、失礼なことを言ってくるのは他でもない、私を悩ませている人物の1人、裕也だった。
「そんなに大きく開けてないわよ。」
私は空を見上げていた顔を裕也の方に向けながら言うと、
「大きかったよ、そんなにきれいな空に見惚れてたのか?」
と、からかいながら聞いてくる。
「確かにきれいな空だとは思ってたけどね。
で、今日はどんな用事があって私に会いに来たわけ?」
「何か突っかかってくるな今日は、機嫌悪いのか?」
「機嫌は悪くないわよ。
裕也が昼休みに私を探して会いに来る時はいつも用事があるときだもの。」
「確かにな。
さすが咲、俺のことよく分かってるよ。
ちょっと千佳ちゃんのこと聞きたかったんだよ。」
「何を?」

予想していたとおりのことを裕也に言われながらも、裕也の言葉に胸を痛めてしまう私。
そして、裕也が期待しているであろう言葉を言おうとする自分の口が動かなければいいのにと思う。
そんなことは出来ないのは分かっているのに・・・・。

「千佳ちゃんは裕也のこと気に入ったみたいよ。」
「そうだろそうだろ、俺の魅力にまいったんだな。」
「何でそんなに自信満々かなこの人は。
裕也はどうなの?
千佳ちゃんのこと・・・。」
「可愛い子だよなぁ、付き合いたいと思ってるよ。」
「そっか・・・。」
裕也にそう言われ、一瞬目の前が暗くなってしまった。

千佳ちゃんを選ばないで裕也。
何で私じゃ駄目なの?
すっとそばにいたのは私なのに。

「千佳ちゃんをまた食事に誘って、その時に付き合いを申し込むよ。
結果報告するから待ってろよ。」
「いいわよ結果報告なんて。」
「そんなこと言うなよ、友達の幸せ報告ぐらい聞いてくれてもいいだろ?」
「はいはい、聞けばいいんでしょ。」
私は投げやりな気分のままそう言った。
今の私にはその言葉しか言うことが出来なかった。
裕也が見せる幸せそうで楽しそうな顔がこんなに憎らしく思ったことはない。
いつも聞かされてる話のはずなのに、千佳ちゃんと付き合うと思うだけで堪らない気持ちになって、今までの彼女の時以上に黒く醜いものが胸の中に溜まってくるのを感じた。

こんなこと思う自分が嫌だ。
でも、思わずにはいられないっ。
誰か助けてっ!







「咲さんここにいたんですね、探しましたよ。」
苦しい気持ちが私の中で渦巻いている時にそう声をかけてきたのは、笑顔で近寄ってくる景山君だった。
「春日部さんに聞いたら屋上に行ったって言ったから。
あれ?先輩何してるんですか?」
今気づいたのか、裕也を見ながら何故いるのかというような顔をしている。
「俺がいちゃ悪いのか?」
「そんなことは言ってないですよ。
ただ、昼から外回りすることになってるからその準備があるんじゃないかと思ったんですよ。」
「あっ、そうだったっ!
じゃ咲、そういうことでまた報告するからな。」
そう言って裕也は急いで屋上から去ってしまった。

いっちゃった・・・・。
報告なんていらないよ裕也。
私が聞きたいのはそんな言葉じゃないんだよ。

「何で泣きそうな顔してるんですか?」
裕也が去ってしまったドアを見ながら立っていると、景山君が私の隣で聞いてきた。
その言葉はとても優しい声だった。
「そんな顔してないわよ、景山君の気のせいよ。」
私は笑顔を作ってそう言うと、
「嘘ですね、無理に笑ってるのが分かりますよ。
咲さんにそんな顔をさせるのは先輩ですね。
そんなに好きですか先輩のことが。」
景山君はやっぱり優しい声で言ってくるが、その言葉に景山君を見ると、辛そうな顔になっていた。
「どうして景山君が辛そうにしてるの?
私が裕也のことを好きで勝手にこんな顔をしてるだけよ。」
「好きな人が辛い顔をしているのは見たくないんですよ俺は。
だから、そんな顔されたら同じように辛くなります。」
そう言われて私は何も言うことが出来なかった。
だって、再び告白されてしまったんだから。
景山君の気持ちに答えることは出来ないのに、こんなことを言われても困ってしまう。
「そんなこと言わないで、じゃ私戻るから。」
そう言って私は、ドアに向かって歩き出した。
すると、腕をグイっと捕まれ引き止められる。
「咲さん、今日食事に行きませんか?」
「行かない。」
「何でですか?」
「景山君とは一緒に食事に行く理由がないもの。」
「理由はありますよ。
俺が咲さんと一緒に食事に行きたいんです。」
「私は行きたくないから無理よ。」
私はそう言ってつかまれた腕を振り払って景山君から離れた。
そして、ドアを開け階段を降りようとすると、
「咲さんっ!
今日この間一緒に行った喫茶店で待ってますから来て下さいねっ!!」
大きな声で勝手な約束をしてくる。
私はしっかり景山君の声が聞こえていたが、振り返らずに階段を駆け下りた。
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