切なくて、恋しくて

18

スーパーに寄った後、景山君が荷物を持ってくれてそのまま彼の家に向かった。
初めて来た景山君の家は男の人の部屋にしては珍しく、きれいにされていた。
想像していたよりも、物が少なくスッキリした部屋だという印象を受けた。
だからと言って冷たい感じというわけではなく、景山君と同じように何だか落ち着ける部屋だった。
「咲さん、何作ってくれるんですか?」
「簡単なものしか作れないんだけど、チャーハンと野菜炒めにしようと思って。
バランス悪いかな?」
「そんなことないですよ。
楽しみだな咲さんの手料理、早く食べたいですよ。」
「そんなプレッシャーになるようなこと言わないでよ、そんな得意じゃないんだから。
出来るまでに時間あるからお風呂でも入ってきてよ。」
「え?そばにいちゃダメですか?」
「ダメ、そんなに見られると緊張しちゃうから。
早く入ってきてね。」
「分かりました。
ここは大人しく言うこと聞いておかないと作ってもらえなくなったら大変ですね。
じゃ、入ってきます。」
景山君はそう言ってお風呂場に向かっていった。
台所に残っていたい様子ではあったけど。




私自然に景山君と話せてるよね。
いつもと変わりない私だよね。
景山君に裕也との出来事を知らせるわけにはいかないから、気づかれないようにしないと。
もう私は景山君の物になるんだということを決めたんだから、本当に裕也のことは忘れなくちゃ。
そう、裕也のことはもう忘れるの・・・・。

そう思いながら野菜炒めに使うたまねぎを切っていると、目に染みて仕方がなくて涙が止まらなかった。








「おいしいよ咲さん。
上手だね料理。」
「そんなに褒めなくていいわよ。
簡単な料理なんだから。」
「そんなことないよ、俺はこんなおいしく作れないから。
幸せだな俺、咲さんのこんなおいしい手料理が食べられるなんて。」
「こんなのでよければいつでも作るわよ?」
「そんなこと言ったらいつも作ってってお願いしちゃいますよ?」
「いいわよ、大事な彼氏のためなんだから料理くらい作りますよ。
でも、そうならレパートリー増やさないと。」
「本当、咲さんて可愛いですね。」
景山君はそう言って笑い出した。
「何で笑うのよ。」
怒ったように私が言って顔を背けると、
「すいません、あんまりにも咲さんが可愛すぎて。
怒らないでくださいよ。」
景山君は笑い顔のまま私をなだめるように言ってくる。
「そんなに笑われると嘘っぽいんですけど。」
「俺の真剣な気持ちを疑うんですか?」
「笑いながら言われても信じられないわよ。」
「じゃ、信用してもらわないといけませんね。
どうしたら信用してくれます?」
急に真剣な顔で私を見つめる景山君の視線が私を捕らえる。
そうされるとどう反応していいのか困ってしまった私は、景山君の視線に耐えられなくなって、視線を逸らしてしまった。
「何で逸らすんですか?」
「何でって、そんなに見つめられたら逸らしちゃうわよ照れくさくて。」
「逸らされたら俺の真剣な気持ちが伝わらないんですけど。」
「十分伝わったから大丈夫っ。」
私はそう言って先ほどとは逆に私が笑い出してこの場をごまかそうとしている。
「早く食べて、まだ残ってるんだから。」
「今は咲さんを食べたいって言ったらどうします?」
「え?」
「咲さん言いましたよね、襲ってもいいって。
このまま咲さんを襲ってもいいですか?」
「そういうことをあらためて言われると・・・。」
「咲さんに無理強いしたくないんです。
本当に俺と結ばれていいと思ってくれないと、咲さんを傷つけるから。」
私は、景山君の真剣な言葉に胸を衝かれてしまった。

景山君にそんなに思われるほどの女じゃないのに。
こんなに私を大切にしてくれる景山君に私はきちんと答えなくちゃいけない。

「無理強いじゃないわ。
だから、私を襲ってほしいと思ってる。」
私は、自分の今の素直な気持ちを景山君に視線を戻し、彼を見つめながら伝えた。
「本当にいいんですね?
もうこれで本当に咲さんを抱いててしまいますよ?」
「私を抱いてほしい。」
そう言うと景山君は私を自分の胸元に引き寄せ、私の唇に優しく自分の唇を重ねてきた。
「ふぅ・・んっ」
唇を重ねた後ゆっくりと私の唇を景山君の舌で開かせ、口腔内に侵入し、私の舌に絡めてきた。
その動きは力強いものではなく、どこまでも優しく包み込むようなキスだった。
そこでも彼の優しさを感じてしまい、涙がこみ上げてきそうになる。
ゆっくり私の唇から離れていくと、
「このまま咲さんを抱くよ。」
そう言って私の首筋に顔を埋める。
「ちょっと待って。」
「やっぱり嫌?」
「そうじゃなくて、私お風呂も入ってないし。」
「別に気にしないのに。」
「私が気になるの、お風呂借りてもいい?」
「咲さんがそう言うなら、お風呂使ってください。」
「ありがとう。」
そう言って私は景山君から離れ、お風呂場へ向かった。




シャワーを浴びながら、どこまでも優しい景山君にまた涙が出そうになる。

こんなに優しい景山君のそばにいれば私は幸せになれるよね?
そして、裕也よりも景山君のことが好きになることができる。
景山君の優しさに答えるためにも私は景山君を大切にしないといけない。
そのためにも、今から私は景山君と結ばれる必要があると思う。
そうすれば、誰も傷つくことないはずだから。

シャワーを浴びながらそう考え、急いで身体を洗った。
何故だか急いで景山君のそばに行くのがいいと思えて・・・・。








お風呂から出ると、景山君は残っていたビールを静かに飲んでいた。
「早かったですね。」
「そう?」
「そんなに俺のそばにいたかったんですか?」
「そうだと言ったらどうする?」
「どうもしませんよ、このまま咲さんを可愛がるだけです。」
そう言って景山君は立ち上がり私の隣に立つと、私の腰に腕を回し歩き出した。
寝室に着くと私をベッドに座らせ、私の隣に景山君は座った。
「咲さん、何かあったんですか?」
「どうして?」
「急に咲さんが襲ってもいいなんて言い出すから何かあったのかと思って。
本当にいいんですか?もう、先輩のことはいいんですか?」
裕也の名前が出てきて私の胸はドクンッと大きな音を立てる。
「景山君がそばにいてくれたらもう裕也のことは忘れられる気がするの。
そんな気持ちでここにいる私は嫌?」
「そんなことないですよ。
俺が咲さんにそれでもいいから付き合ってほしいって言ったんですから。
ただ、今から咲さんを抱いたらもう離すことなんてできませんよ、それでもいいんですか?」
「いいわ、私が自分で望んでここにいるんだから。」
私はそう言って景山君の首に自分の腕を絡ませた。
すると、景山君は私を抱きしめ、首筋に唇を押し当てた。
それが合図だったかのように景山君の手が私の胸に触れ、胸の上で動き出す。
その動きは私を感じさせるには十分な動きで、胸の突起にも触れてくる。
「あっ」
私は思わず出てしまった自分の声に蓋をするように景山君の肩に自分の顔を埋めた。
景山君はそっと私をベッドの上に押し倒すと、私の洋服を脱がせていく。
景山君の目の前に自分の裸体が晒されることが恥ずかしくて、仕方なかった。
「景山君、電気を消して。」
「どうしてですか?
このまま咲さんのきれいな身体を見てたいのに。」
「そんな意地悪言わないで。」
「意地悪じゃないんですけどね。
でも、少し電気を暗くしますよ。」
そう言って電気を暗くしてくれたけど、お互いの顔が見える明るさで。
「まだ明るい。」
「大丈夫、これ以上明るさが気にならないようにしてあげますから。」
その言葉を本当にするために景山君は私の身体に刺激を与えてくる。
「はぁあん、あっ」
景山君が与える刺激に私の口からは喘ぎ声が出てしまう。
そして、景山君が言ったように私は電気のことが分からなくなるほど感じてしまう。
首筋・胸・お腹・そして、秘部にキスをされる。
「だめぇ、そんなところ・・・」
「ダメじゃないですよ。」
そう言って秘部に顔を埋めたまま器用に舌を動かしていく。
突起にも触れ、私の身体はビクッと反応してしまう。
その反応と連動するように私の口からは止めどなく出てしまう喘ぎ。
自分の身体が景山君の愛撫に反応して、秘部を濡らしてしまう。
景山君は顔を上げると、
「咲さんを本当に俺の物にしますよ。」
そう言ってゆっくりと私の中に侵入してきた。
久しぶりに受け入れる男性の物に身体は初めは驚いてしまっていたが、次第に疼きが私の身体を支配していく。
「あっ、ああぁっ・・・・」
「咲っ、さん、気持ちいいですよ」
ため息混じりにそうささやかれ、
「わた・・・・、しもっ」
と、途切れ途切れに答えた。

これで私は景山君の物になったんだ。
だから、裕也のことは忘れるの。
この涙はうれしいから流れてるの。
悲しいからなんかじゃない。

気づくと頬をつたう涙に気づきながら、その涙がなぜ流れているのかを気づきたくなくて、自分の気持ちに言い聞かせるようにそんな思いを思い廻らせていた。








行為の後、疲れきっていた私はそのまま眠ってしまっていた。
そんな私の顔を見ながら髪に触れている景山君に気づかずに、
「ゆう・・・や」
と呟いていたことにはまったく気づいていなかった。
そんな私の呟きを聞きながら景山君が言った言葉も私には聞こえていなかった・・・・。



「咲さん、もう誰にも渡さないよ。たとえ先輩が自分の気持ちに気づいてしまっていたとしてもね。
残念だけど、遅いんですよ先輩。」
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