切なくて、恋しくて

私が好きな人は決して私のことは選んでくれない・・・。
それでもいいと思ってた、あなたのそばにいられるなら・・・。







「咲、飲みに行くぞ!」
「何?また彼女に振られたの?」
「言葉悪いなぁ、振られたんじゃないよ。性格の不一致で泣く泣く別れたんだよ。」
「それは振られたって言うんじゃないの?」
「いいから、淋しい1人者になった俺を慰めてくれよ、友達だろ?」
「はいはい、分かりました。
でも、今日残業あるから少し遅くなるわよ?」
「じゃ先にいつもの店に行ってるから仕事終わったら来いよ。」
「わかった。」
この会話は、私、大原 咲(おおはら さき)と腐れ縁の草壁 裕也(くさかべ ゆうや)の会話。
私は昼ご飯を食堂で食べた後、天気もいいので屋上に行きお茶をしてくつろいでいた。
風は冷たかったけど天気がいいので日差しが私を温めてくれた。
冬空の下でのティータイムだったけど、昼休みの残り時間をマッタリと過ごしていた。
そんな時、私の憩いの空間を壊すためにやって来たとしか思えない奴の登場。
しかも、いつものセリフ。
でも、私はそう言いながらも誘いに乗ってるんだから優しいわよね。
好きな人の恋愛の愚痴を聞きにわざわざ行くんだから。




私と裕也の出会いは、大学時代のサークルだった。
サークルといっても遊びに行ったり、飲みに行ったりしかしていないサークルだったんだけどね。
そのサークル内で一番の遊び人だった裕也となぜ仲良くなったのかは不思議だったんだけど、気が合った私達は男女の意識することなく友達になった。
周りのみんなは不思議がってたけど。
みんなが声をそろえて言ったことは、
「裕也は女に手が早いんだから気をつけろ。」
ということだった。
でも、裕也は私のことをまったく女として意識していないようで、みんなが心配するようなことはまったくなかった。
裕也いわく、
「咲は男らしいとこあるから付き合いやすいんだろうな、女友達として。」
ということらしい。
私も、遊び人だけど優しくて人に気遣いが出来る裕也は男友達として付き合いやすかった。



でも、いつからだろう、友達だったはずの裕也が、私の好きな人に変わったのは。
自分でも気づかない心の変化だった。
それを気づかせたのは今も仲がいい友達の一言。
「咲は裕也のこと好きなんじゃないの?このままでいいの?」
この言葉で、自分の気持ちに気づくなんてお間抜けな話なんだけど、きっと私は自分の気持ちにブレーキをかけてたんだと思う、無意識に。
友達に言われて自分の気持ちを見つめ直し裕也のことを好きだと自覚した私だけど、私が好きだと言うことに裕也が気づいたらどうするだろう、ということも考えてみた。
その答えは、
「気づかせちゃいけない」
だった。
だって、裕也は私のことを仲がいい女友達だからそばにいることを許してるんだと思う。
それが、私が告白なんかしたら、もうそばにいることは出来ない。
そう思う私の選択は1つしかなかった。

裕也に私の気持ちを気づかれるわけにはいかない。

それは、社会人になって同じ会社に入った今でもその考えは同じだ。
いまだに仲がいい女友達を演じている。

いつまで続けるんだか私は。

と、思うんだけど、裕也のそばにいたいと思う間は続けるんだろうなきっと。
世の中には他にも男がいるのに何故裕也を好きになっちゃったのか考えるけど、人を好きになるのにきちんとした理由はなくて、ただ、好きという気持ちだけが私を苦しめる。




今日も裕也の恋愛の愚痴を聞くのかと思うと気が重い。
でも、それは私が選んでしまった道なんだから仕方がない。
でも、ときどき思う。

私、マゾ?

なんてことを。
だって、自分で自分の首を絞めてるような状態を何年も続けてるんだものっ。
これも自分の選んだ道だから頑張るけどね。

さて、裕也も待ってることだし、行きますか。

私は、今まで使っていたパソコンの電源を落とし椅子から立ち上がり、重いのか軽いのか複雑な足を動かしながら裕也が待つ店に向かった。




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