砂糖菓子のような恋



社長との食事を終えた私は、片付けを終わらせ部屋の片づけがあるからと社長に伝え部屋に籠っていた。
社長は再び書斎に籠っているみたいだ。
部屋の片づけを始めてはみたけれど、思うように進められない。
それはきっと初めて見る社長の姿を多く見てしまったせいだ。

反則よねあの笑顔は。
いつもはあんなに無表情なくせに。
でも、急に見せられた社長の笑顔がこんなに思い出して片付けが手に着かなくなってしまうなんてね。
社長の言動に私の心が反応してしまっているという証拠と言えるのかしら。
ううん、そんなはずはないわ、私は社長のことが好きなわけじゃない。
それに私と社長は契約者なわけだからそのことを忘れちゃいけないわ。
明日はこの家からの初出勤、早く片付けてしまって明日に備えないと。

動きが止まってしまっていた片付けを再開させた私は、時折意識が社長を思い起こさせて片付けから気を逸らしながらもなんとか日付が少しだけ変わったくらいに終わらせることができた。
そしてお風呂に入った後書斎のドアをたたくと社長の返事が返ってきた。
「どうした?」
「いえ、社長はまだお休みにならないのかと思いまして。」
「もうしばらくしてから休むつもりだから先に寝ていていいぞ。」
「しかし・・・。」
「初めての夜を1人で過ごすのは寂しいのか?」
「ちがっ!
わかりました、先に休ませてもらいます!」
私は社長の言葉に焦ってしまったのを誤魔化すようにそう言いながら社長に背を向けると、社長がクスッと笑っている声が聞こえてくる。
社長の笑い声でからかわれているのが分かった。
そんな社長のそばから離れたくて私は開けていたドアから出て、少しだけ大きな音を出しながらドアを閉めた。
その後、ドアに背をもたれながら私が思ったことそれは、

からかうなんてことを社長がするなんてっ!
いつもの無表情はどこにいったのよ!!










朝目覚めてから朝食を用意した後社長を起こしに行こうとすると、いつものようにスーツを身にまとった社長がリビングにやってきた。
「おはようございます。」
「おはよう。
朝食を作ってくれたのか?」
「たいしたものではないんですが、やはり朝はしっかり摂らないと身体も頭も活動しませんから。」
私はコーヒーを用意しながらそう言うと、
「せっかく作ってくれたのに申し訳ないが、私は朝何も食べないんだ。
だから桃依だけで食べてくれ。」
そう言って社長は、コーヒーは飲む気になったらしく、椅子に座った後カップを自分の口元に近付けた。
「社長、朝は食べないといけません。
そういう習慣になっていないんだったら、これからそうなるようにすればいいんです。
意外と簡単なことですよ。
そういうことで、しっかり食べてくださいね。」
私は社長に朝食をきちんと摂ってほしくて、でもそれは秘書としての自分の気持ちだけじゃなくて、そのせいか作り笑いではない自然な笑顔を見せながら社長の目の前に朝食を並べた。
社長は私の顔をじっと見ていたけれど、
「わかった。」
優しい表情一瞬見せた後そう言ったかと思うと、眼の前に並べられた朝食を食べ始めた。
その姿は嫌がっている様子ではなく、私は社長が食べている姿を見るのが自分のことのように嬉しくなってしまっていた。
「桃依も早く食べないと遅刻してしまうぞ。」
「はい。」
私は自然と再び笑顔で社長と向かいあわせになりながら朝食を食べ始めた。






「じゃ私先に出ますから。」
食べ終わった私は、食器を洗った後バッグを肩にかけて声をかけた。
「どうして先に行くんだ?」
社長の声が不機嫌そうに私に問いかける。
「どうしてと言われましても・・・、秘書の私が突然社長と一緒に出勤するわけにはいかないかと。」
「そんなこと気にする必要はないだろ。」
「気にします。
それに先に行ってやらないといけないこともありますから。
では、会社でお待ちしてます。」
私はこれ以上引き留められるわけにはいかなくて、社長が話を続けようとしているのを気づかない振りをして早足になりながら玄関に向かい、ドアを開け家から出てしまった。
後ろから社長が私の名前を呼んでいたけれどそんな事を気にする暇はなくて、何とか出勤することが出来た私は最寄りの駅に向かい始めた。

気にすることはないって社長は言ったけど、気にしないと駄目なことだと私は思うんだけど。
周りに契約とはいえ結婚することになったというのがばれるわけにはいかないわけだし。
社長もそんなことわかってるはずなのに。
とりあえず会社に行って社長の今日のスケジュールチェックから始めないとね。










会社に着いた私は、社長のスケジュール確認が終わった後、今日自分がやらないといけない仕事の準備を始めた。
しばらくすると社長がやってきた。
そのことを確認した私は、時間をおいて社長室に向かい、今日の社長のスケジュールを伝えに向かった。
部屋に入ると社長はいつもの無表情になっていて、そんな社長でいてほしいと思っていたはずなのに何だか寂しい気持ちになってしまう私がいる。
「おはようございます。
今日の社長のスケジュールなんですが・・・。」
私は自分の中で感じた気持ちを出してしまわないようにしながらいつもの秘書の顔で報告を続けた。
続けながらも、今日の夕方のスケジュールに入っている食事会を言う時に少しだけ言葉が詰まってしまった。
でもそれは不自然にならない程度のことだったので、社長は気付いていない。

この食事会に来る人の中には社長の社長に電話をかけてくる女性も混じっている。
そのことはいつものことのはずなのに、何動揺しているのよ私は。
社長が誰と食事に行こうが私には関係がないことなのに・・・・。

動揺してしまった私だったけれど、社長に報告が終わり退出しようと挨拶をしていると、ドアをたたく音が聞こえ開いたドアからは公兄が入ってきた。
「社長、出張から帰ってきましたのでご報告に伺いました。」
「分かった。」
社長はやはり無表情のままそう答えた。
すると、
「秋定何不機嫌そうにしてるんだ?
桃依と新婚生活うまくやってるんだろ?
桃依のうまい手料理も食べられたみたいだし。」
公兄はニヤニヤしながら社長に親しげに話しかけている。
「公浩、お前何だか楽しそうだな?」
「そんなことはないぞ。
桃依と秋定のことを心配している俺の優しさが分からないか?」
「分からないな。
そんなことより桃依が驚いた顔をしているぞ。」
「桃依、何驚いた顔してるんだ?」
公兄は私の方を見ながら不思議そうな顔で話しかけてきた。
「鈴村室長、そんな普通に話しかけられても・・・。」
「別に3人しかいないんだからいいよ。
そうだよな秋定。」
「ああ。」
「ほら、お前の旦那様もこう言っていることだしお前もいつものように話していいぞ。
今は仕事の話をしているわけじゃないしな。」
「私は仕事の話をしていたんですが。
それに、いつ誰に聞かれているか分からないので旦那様なんて言葉を気軽に会社の中で使わないでください。」
私は公兄を睨みながらそう言うと、
「怖いな桃依は。」
公兄は肩をすくめながらも口で言うほど怖がった様子もなく私の話を聞き流してしまっている。
「公浩、お前が出張の話をしにここまで来たとは思えないんだが。」
「そうだった。
桃依がきちんとやっているか今日家に偵察に行こうと思ってそれを伝えにきたんだよ。」
「偵察?
そんなことは必要ない。俺達はうまくやれているんだから。」
「まーそう言うなよ、桃依の叔父としては心配しているんだよ急に決まった今回のことを。
ということで、桃依、今日は俺の分も夕食用意しておいてくれよ。」
「用意するのはかまわないけど、社長は食事会に行くから私しか家にいないわよ。」
「そうだったな、それでもいいぞ俺は。
秋定もいいよな?」
公兄は社長に話を振ったかと思うと、
「今日の食事会はキャンセルにしてくれ。
私も家で食事を摂ることにするから。」
「よろしいんですか?」
「ああ。」
社長は不機嫌そうな顔で公兄を見た後、私に話しかけてきた。
しかも、私をじっと見つめながら。
不機嫌なはずの社長は優しい目をしていて、思わす私は動揺してしまった。
でも、そんな様子を見せるわけにはいかなくて、
「分かりました。」
そう返事をしてこの場を退出することにした。
すると、ククッと笑いをこらえている声が聞こえてきてその笑いは公兄が発していることが分かった。
何がそんなにおかしいのか分からなかったけれど、社長室にはしばらく公兄の笑い声が響いていた。





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