砂糖菓子のような恋



社長が運転する車は乗り心地がよくゆったりと座って助手席に座っている。
だからといって社長と2人で買物に行くということに動揺がないわけじゃない。
まさか社長が一緒に行くと言い出すなんて思ってなかったから。
そんな車の中で私達は何か会話をするわけではなく、私は窓の外を眺めていた。
眠っている間に社長の家に連れてこられた私は、現在位置が把握できていなかったからいい機会だと思って車の流れに流されていく建物を確認することにした。

この場所だったら会社から近いかも。
社長の家の場所は違う所だった気がするんだけど、どういうこと?
まさか私と結婚するために家を用意したってことはないわよね。

私は自分の中に浮かんだ疑問が気になってしまい、運転中の社長の顔をチラチラとみてしまう。
「どうした、何度もそんな風に見られると気になるんだが。」
社長は視線を正面に向けたまま私に話しかけてくる。
「いえ、ちょっと気になることがありまして。」
「何だ。」
「あの、社長のご自宅は別の場所にあったように思うんですが、いつからマンションにお住いになるようになったんですか?」
「今週からだ。
急いで用意したから使いにくい所があったら言ってくれ。」

今週からって、やっぱり一緒に住むために用意したわけ!?

「それって無駄遣いなんじゃ。」
私は心の中で思っていたはずのつぶやきが口に出てしまい思わず口元を押さえてしまう。
「無駄遣いとは思わないが。
無理に結婚をお願いすることになるんだから君が過ごしやすい環境の方がいいと思ってのことだから君は気にしなくていい。」
「でも・・・。」
「この話はここまでだ。
もう少しで目的地に着くぞ。」
そう言って社長は話を終わらせて運転に集中してしまった。
そうなると私から話しかけることはもうできなくて、再び窓から見える景色を眺めるしかなくなっていた。










そんな状況の中私達は無事にスーパーに着いた。
「では、買い物に行ってきますが夕食で食べたいものはありますか?」
私は当然1人でスーパーの中へ入るつもりでそう聞くと、
「なぜ今聞くんだ?」
「え?
なぜって今から買い物に行くので聞きかないと買えなくなりますから。」
「そうではなくて、私も一緒に行くのにと言いたかったんだが。」
「はい?
・・・・・社長行くんですか!?」
「そんなに驚くことか?」
「そりゃ・・・・。」

社長がスーパーに連れてきてくれただけでも驚いてるのに、一緒に中に入ることになるともっと驚くのは当然ですから!
社長とスーパー・・・・、合わない。
合わなすぎですから!!

そんな私の心の叫びなど知るはずもない社長は、
「では行くぞ。」
そう言って車から出て歩きだしてしまった。


本当に行くんですね・・・。
ということは、一緒に行かないといけないわけですね。

私は社長の後ろからついていくしかなくなってしまい、社長の歩幅に合わせるべく早歩きになってしまっていた。




「ほう、スーパーとはこういう風になっているんだな。」
「当然だとは思うんですが、来られるのは初めてなんですよね。」
「そうだ。」
社長はゆっくりと陳列されている物を興味深げに眺めている。
そんな社長の隣に立っている私は、周りの奥様方の視線を感じて居心地が悪い状態になっていた。
奥様方はチラチラと社長の顔を見てはコソコソ話をしている人もいたりして、奥様方が感じているはずと思われる声が感じられる。

そうですよね、合わないですよね。
私もそう思います。
でも、なぜか一緒に来ることになったんです。

私は心の中で訴えてはみたけれど口にすることはできなくて社長が手にしながら見ている野菜を小さくため息をつきながら一緒に見てしまう。
「社長、先ほどは聞けなかったので聞くんですが夕食で食べたいものはありますか?」
「そうだな、特に食べたいというものはないな。」
「それでは何を作ればいいのか悩んでしまいます。」
「では、君が得意な料理を食べさせてもらおうか。」
「得意な料理ですか?」
「お母様が言われていたな、君にはしっかり料理を教えたと。
期待してもいいということじゃないのか?」
「そこまで期待されても困るんですが。
とりあえず私が作れるものを作ります。」
そう言って私は必要な材料を揃えるべくカートを動かすと、野菜を置いた社長は私の後ろからついてくる形になった。

得意料理・・・・。
料理は好きだけどそんなに得意ではないのよね。
実家にいたわけだし、そんなに作る機会はないものよ。
お母さん余計なことを言ってくれたわよね。
プレッシャー感じるわ。

そんな状況の中カートを動かしつつ必要な物を籠の中に入れていく私。
社長は興味がでたものを手に取り興味深げに見ては置きを繰り返していた。
そんな社長の姿が何だか可愛く思えていたということは私の心の中で留めてることにした。










私達はスーパーでの買い物を終えて車に戻ったが、荷物はすべて社長が持ってくれた。
社長に荷物を持ってもらうのは心苦しくて私が持つと言ったけれど社長は、
「重い物を男手があるんだから君が持つ必要はない。」
そう言って私の言葉をばっさりと却下してしまった。
「ありがとうございます。」
そうなると私は素直にお礼を言って持ってもらうしかなくなるわけで、そんな状況は申し訳ないやらうれしいやら複雑な心境が私の中で渦巻いてしまう。
決して自然な感じでの行動ではないのに、いつも無表情で荷物なんか持ってくれそうにない社長からこんなことをされてしまうと、家を出る時に感じた胸の中で鳴った音を再び感じてしまう。
でも、その音が鳴ることを素直に受け入れることはできなくて、気づかない振りをしたくなる。
そんな風に思ってしまう自分の心境がどうしてなのかは分からないけれど。
うんん、気づきたくないのかもしれない。
だから、私は気づかない振りをする。
社長が運転する車の中でそんな想いを胸に秘め、やっぱり窓の景色を眺めながら無言のまま車は家までの道のりを進んでいった。





Copyright(c) 2007 machi all rights reserved.

面白かったよとちょっとでも思ってくれたら押してもらえるとうれしいです♪
よろしかったら感想も一緒に書いてもらえるとますますうれしいです♪

Novel

Top

Next

Back




検索サイトから来られた方は、 こちら からTOPへどうぞ。