砂糖菓子のような恋



茫然とするしかなくなっている私の前にはニコニコ顔の両親と笑顔でもないけど機嫌が悪いわけでもなさそうな社長が話をしている。
お母さんは、
「料理はきちんと作れるように仕込んでますから安心してくださいね。」
言ってるし、お父さんは、
「不束な娘ですがよろしくお願いします。」
なんて、花嫁の父を演じているかのような言葉を社長に言ったりと私のことはお構いなしといった言葉が私の耳に入ってくる。
私はというと、茫然としていたけれどいつまでもそうするわけにはいかないという自分の心の声が頭の中に信号を送り、この状況について説明をしてもらうべく両親のそばに詰め寄った。
「お父さんお母さんっ、社長が旦那様ってどういうことなの!?」
「そんな大きな声を急に出されたら驚いちゃうじゃないの。
旦那様だから旦那様なのよ。折角のお話だからいいじゃないの。」
「何が折角のお話、なのよ!
しかも、人が寝てる間にこんな知らない場所に連れてきてっ。
突然社長が旦那様なんて言われても納得できるわけないでしょ!」
「だっていつまでも桃依が結婚してくれないからしょうがないでしょ?
お父さんとどうしようかと言ってたら公浩がいいお話を持ってきてくれたから安心してるのよ。
お式とかは急なことで後になっちゃったけどいいわよね。
本当に良かったわねお父さん。」
「そうだな。
このまま桃依が嫁に行かなかったらどうしようかと心配してたから良かったよ。」
「お父さんもこう言ってることだし、幸せになりなさい。」
「なれるわけないでしょうが!!」
私は両親の言葉に納得できるはずもなく、大きな声で叫んでしまった。

急にこんなことされて誰が幸せになれるっていうのよっ!
常識で考えればわかることじゃないっ。
心配をかけてた自覚はあるわよ。
でも、だからってこんな展開になるなんて!
公兄、昨日変なこと聞いてくるとは思ったけど、こんなこと計画してたなんて。
しかも今日から出張に行っているはずだから、計画いいことこの上ない。
・・・・・・社長が旦那様・・・・・、ありえないから!!
だいたい社長もどういうつもりでこんなこと一緒に計画したんだか。
とりあえず落ち着いてしっかり話を聞かせてもらわないとどうしようもないわよね。

何とか自分の気持ちを落ち着かせ、ゆっくり話をしようと思った私は、両親にどういう経緯でこういうことになったのかを説明してほしいと言うと、
「さっき説明したじゃない。」
と、再び私を怒らせたいかのような言葉をニッコリ笑いながら言った。

だから、あんな説明じゃ分かんないからちゃんと説明してっていってるんでしょがっ!

ノー天気な表情のままの両親を見ながら心の中で叫んでいる私に、
「今日は用事があると言われていましたが時間は大丈夫ですか?」
今まで何もしゃべることがなかった社長が突然両親に向かって話しかけてきたかと思うと、
「そうだったわ。
お父さんそろそろ行かないと。」
「そうだな。」
そう言って両親は立ち上がると社長に、「よろしくお願いします。」と頭をさげ、私にも、「じゃあね、しっかりやりなさいよ。」と言って玄関に向かって歩き出した。
「ちょっと、話は終わってないじゃな・・・」
私は両親が去ってしまうのを何とか引き留めようとしたけれど、私の言葉を聞こえないふりをしているとしか思えないほど私を振り返ることなく立ち去ってしまった。










こんな状況で社長と2人きりにされても困るわよっ。
何でこんなことになってるのよ。

「驚かせてしまったようだね。」
社長が両親を見送るしかなかった私に、いつもと変わらない喜怒哀楽がはっきりしない表情で話しかけてきた。
そんな社長に私は、社長の言葉に素直な自分の気持ちを伝えた。
「誰でも突然こういう状況になったら驚きます。」
「確かに。」
「社長が私の旦那様になっているのかについて納得いくように説明してほしいんですが。」
「ご両親の話だけでは不足しているからな。
とりあえずコーヒーを飲みながらでも説明させてもらうよ。」
「では私がコーヒーを入れます。
台所をお借りしてもよろしいでしょうか。」
「私がいれよう。
君は座ってていいよ。」
「そういうわけにはいきません。」
「では、一緒に入れようか。」
「え?」
社長は私が入れますと何度言っても聞き入れてくれる様子はなく、一緒に台所に向かいコーヒーの準備をするという奇妙なことになってしまった。

社長と一緒にコーヒーを入れることになる日がくるなんて思いもしなかったわ。

コーヒーを準備している間、社長に気付かれない程度の溜息をつきながらそんなことを思っていた。







コーヒーを一緒に準備すると言っても、器械に豆をいれるとやってくれるので特に何かをしないといけないということはなく、結局私は社長のそばに立っていることしかできないでいた。
準備が終わった後リビングに戻ると、
「砂糖とミルクはいるのかな?」
と、砂糖とミルクを私に見せながら社長が聞いた。
「いえ、私はブラックで。」
社長から聞かれそう答えると、社長は自分のコーヒーに角砂糖を入れ始めた。
その量は半端ではなく、いったいいくつ入れるんですか?と思わず聞きたくなってしまう量をコーヒーの中に入れている。
結局軽く5個近く入れているはずのコーヒーを社長はスプーンでかき混ぜ飲みだした。

いつみても甘そう。
社長って見かけからは想像できないけどかなりの甘党なのよね。
見た目はブラックのコーヒーを飲みそうなのに。
人は見かけによらないという言葉があてはまるわね。

社長はかなりの甘党で、お茶菓子を出す時にいつもは喜怒哀楽が分からないのに、少しだけ表情が緩んでしまう時がある。
初めて見た時には驚いてしまったけど。

ブラックのコーヒーを飲む私と甘さいっぱいのコーヒーを飲む社長との間に流れる微妙な空気の流れを感じつつ、コーヒーを飲み続けていたわけだけど、いつまでもコーヒーを飲み続けるわけにもいかないし、私がこの場所にいることについての説明もそろそろきちんと聞きたくて社長に話しかけることにした。
「社長そろそろなぜ社長が私の旦那様なんていうことになっているのかをきちんと説明してほしいんですが。」
私がそう言うと、コーヒーを飲む手を止めて私の方を向いて目を伏せたかと思うと社長はゆっくりと話しだした。





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