砂糖菓子のような恋


16


私を抱く力強い腕、私を守るかのように包み込んでいる。
突然の秋定さんの帰宅にも驚いているけれど、秋定さんに抱きしめられている自分にも驚いてしまっていた。
だから、思わず分かっていながらも秋定さんの名前を呼んで確認してしまう。
「あき・・さだ、さん?」
抱きしめられた状態のまま顔を上げ秋定さんの顔を見ると、私に笑いかけた後松本さんに視線を戻し、
「どうしてここにいるのか説明してもらいたいんだが、無断で人の家に上がりその上桃依に対して何をしようとしているんだ?」
今まで聞いたことがないほどの冷たい声で問いかける。
そんな秋定さんを目にしながらも松本さんは動じる様子もなく、
「あら、言ってくれるわね。
私はただ、私がいない間に秋定がこんな子に私の代役をさせてるようだから教えに来てあげたのよ。
可哀想なことするわよね秋定も。桃依さんというのよね、あなたもういいわよ。
もう用済みだから。」
作り笑いだと分かる私を馬鹿にしているかのような笑顔でそう言ってくる。
「用がないのはお前の方だ。
俺に必要な人は桃依しかいない。
それに、俺とお前の間には何の関係もないはずだ。
今すぐこの場所から帰るんだ。」
「関係ない?
それ本気でいってるわけ?」
「お前に対して本気もないだろ、俺に関係がないのに。」
「ひどいこというのね。」
「ひどいとは思わないよ、桃依を傷つけるものから守るためにはな。」
秋定さんは私を抱きしめたまま松本さんと攻防を続けているが、その言葉の中には私に対する想いが混じっているのを聞き逃してはいなかった。

『俺に必要な人は桃依しかいない。』
『桃依を傷つけるものから守る。』

その言葉は私にとって信じられないけれど、とてもうれしく私の心に響く言葉。
だから・・・・、
「秋定さん、秋定さんは私を好きでいてくれたの?」
秋定さんの背中に腕をまわし抱きしめ胸に顔を埋めたままそう呟く私。
すると、秋定さんは私を抱く腕を強める。
そして、
「俺は桃依を契約者だとは思っていない。
桃依は俺の大切な婚約者で愛する人だ。
だから俺は桃依を何者からも守りたい。」
熱い吐息を感じるほど切なくなる声で私に愛を囁いてくれる。
秋定さんから紡ぎだされる私への愛の告白、それは私の身体を甘く痺れさせるには十分な言葉。
それだけじゃない、秋定さんへ伝えようとしていた私の想いを溢れださせる。
「秋定さん・・・・、私、私もいつのまにか秋定さんを契約者だと思えなくなってしまっていたの。
契約者という関係が辛くて、秋定さんのそばにいられなくなる日が近づくのが怖かった。
だから、秋定さんに自分の気持ちを伝えたくて・・・・・。
私は・・・・、秋定さんを愛しています。」
「桃依、俺も桃依を愛している。
契約者としてではなく。」
やっと伝えることができた私の想い。
その想いは秋定さんが受け止めてくれて2つの別の想いだったのが1つの想いとして私達の中にある。そんな奇跡が今私に起きている。
私達は想いを通じあわせたことへの喜びでお互いを強く抱きしめ合う。











「ちょっとっ!
人の存在無視してると思うんだけど貴方達。」
抱き合ったままの状態の私達は、声がした方向を向くとそこには、今まで正直に言うと存在を忘れ去ってしまっていた松本さんが腕組をしながら私達を睨んでいた。
「まったく、秋定も焼きがまわったとしか言えないわね。
昔は自分からそんなこと言うことなんてなかったなのに。」
「昔は昔だ。」
松本さんの言葉に身体を振り向かせてしまった私達だったけれど、秋定さんは松本さんの言葉を気にする様子もなく言い切る。
そんな秋定さんの様子に大きな溜め息をついた後松本さんが発した言葉は、
「公浩!
いい加減出てきなさいよね、計画どおりうまくいったんだから。」
予想もしていない内容をドアに向かい叫んだ。
松本さんが叫び終わると閉められていたはずのドアがゆっくりと開き、名前を呼ばれた公兄がニヤニヤと笑いながら入ってきた。
「もうこんな嫌な役させないでよね。」
「そう言うなよ。
姪と親友のためにどうにかしたやりたい俺の優しさなんだから。
美登理だってこの計画にノリノリだっただろ?
それに、この役をやるのに美登理は適任だったし。」
「何かいいようには聞こえないんだけど、秋定の意外な一面と言うか面白いところが見れたからよしとしてあげるわよ。」
「それはどうも。」
公兄は私達の横を通り美登理さんのそばに近づいた後楽しそうに美登理さんと話しだす。
その内容は、美登理さんの登場は仕組まれたものだというのが十分に分かる内容で、今回の計画を行った首謀者、公兄を私はじっとしばらく見つめてしまった後、
「公兄!
どういうことか説明してもらいましょうか?」
私は公兄に詰め寄り、睨みつけていた。
でも、そんな私の睨みなど公兄に効果があるはずもなく、
「保険だよ保険。
いつまでも桃依は素直に秋定への気持ちを言わないから。
秋定のおばあ様と話をすれば素直になるかもしれないとは思ったけど確信はもてなかったし。
秋定も行動を起こすとは思ったけどもしかしたら桃依の様子が変わってなかったらうまくいかないかもしれないと思ったんだよ。
叔父で親友の俺が大切な2人のために行動を起こさないわけにはいかないだろ?
だから、美登理に協力してもらったんだよ。
良かったよ2人がうまくいってくれて。」
ははは、と公兄は笑いながら今回の真相を話した。
「余計なお世話だよ。
公浩がこんな手の込んだことをしなくても俺達はうまくいってたんだ。
余計な波風立ててくれるな。」
公兄の話を聞いた後秋定さんは私と同じように怒っているようにも見える。
でも、そんな秋定さんの様子にも公兄は動じる様子もなく、
「そう言うなよ俺の優しさなんだから。」
公兄は秋定さんの肩を叩きながらニッと笑っている。
「何にせよ2人がうまくいって良かったよ。
傍から見たら好き合っているのが分かるのにお互いの気持ちを素直に言わないからうまくいかないし。
見ててヒヤヒヤしてたんだぞ。
秋定も早く桃依が好きだから契約結婚を言い出したと早く言い出せばいいのにいいださないんだからな。」
「え?都合がいいからじゃなかったの!?」
公兄の言葉に驚いたり怒ったりしている私だったが、この言葉が1番驚いてしまった。

秋定さん私を好きでいてくれたから契約結婚なんて言い出したの?
でも、それなら素直に言ってくれればよかったのに。

私は自分の心の中に浮かんだ気持ちを秋定さんを見つめることで伝えていたようで、
「秋定は最初から桃依のことが好きだったんだよ。」
と、公兄が秋定さんの代わりに私に伝える。
秋定さんはというと、公兄からから伝えられたことがばつが悪いようで顔をしかめていたが、そんな秋定さんの様子を見て、
「素直じゃないのは昔からよね秋定は。
でも良かったじゃない、桃依さんとだったら幸せになれるわよ。」
松本さんは笑顔でそう言うと、私を見つめ、
「桃依さん、秋定はちょっと手がかかるかもしれないけどきっと桃依さんを幸せにしてくれると思うわ。
だから、これから秋定のことよろしくね。
それと、今日は嫌な思いさせてしまってごめんなさいね。
私と秋定は友達だから安心してね。
でも、ちょっとだけ関係がなかったわけでもないんだけどね。
それは大人の付き合いということで昔のことだから許して。
ねー、秋定。
じゃそういうことでお邪魔虫は退散するわよ公浩。」
「おおせのままにお嬢様。」
松本さんは笑顔で最後まで話したまま公兄を連れ、仲良くねと言って去っていってしまった。





あまりの自然さに2人の背中を見つめるしかなかった私だったけれど、しばらくすると秋定さんが、
「嵐が去ったみたいだな。」
と、呟く。
私は秋定さんの方を振り向いて顔をみたけれど、急に2人きりになったことに照れてきてしまう。
そんな自分の気持ちを誤魔化すように明るい声で秋定さんに話しかけた。
「秋定さん、あのとりあえずコーヒーでも飲む?」
それから台所に移動しようとすると、秋定さんは私の腕を掴み自分の胸の中に再び私を閉じ込めてしまった。
「コーヒーを飲むよりも私達は話をしなければいけないと思うんだが。」
「そ、そうね。
あの、何話しましょうか。」
私は照れ臭さが抜けなくて、なぜか敬語で言葉に詰まりながら話してしまう。

告白の後って何だか照れ臭過ぎて仕方がない。
こんな風に抱きしめられることなんて今までなかったから心臓に悪いし。
ドキドキしすぎて頭がおかしくなりそう。

「秋定さん、話すならとりあえず座らない?」
頭の中がこれ以上おかしくならないうちに秋定さんから少し離れておこうと思いそう提案する私に秋定さんは、
「俺はこのままでいい。」
そう言って私を離してくれる様子はない。
でも、そんな状態の中私は1つの疑問が頭の中をかすめる。
「秋定さん、いつも私って言ってるはずなのに、今俺って言ってる?」
疑問に思っていたことはすぐに口に出でしまった。
「私と言っていたのは自分を暴走させないよう、自分を作っている時に使っているんだ。
今はもう自分を抑える必要もなくなった。
これからはどれだけ俺が桃依のことを愛しているのかを出せるからな。
俺は好きになる人が現れることなんてないと思っていた。
でも、桃依が俺の前に現れてからそんな考えはなくなってしまっていた。
どうしたら桃依は俺の物になるのか、そんな事ばかり考えていた。
桃依は社長である俺に関心がないようだったからな。
だから公浩に相談して今回の計画を立てた。
あまりいい方法とは思わなかったが実行したんだ。」
「そうだったの。
そうね、私は社長の秋定さんには恋心を持つことはなかった。
でも、こうやって一緒に過ごすうちに秋定さんのことがどんどん好きになっていったの。
だから、秋定さんが私のことをずっと好きだと言ってくれるのはとてもうれしい。」
「桃依、愛してる。
ずっとそばにいてくれ。」
私は秋定さんを見つめながら話していると、愛を囁いた後秋定さんの唇が私の唇に重なる。
初めてのキスは唇からお互いの愛しさが流れ込んでくる気がした。











「えっ、ちょっ!?」
秋定さんの唇がゆっくり離れていった後、気がつけば私は秋定さんに抱きあげられてしまっていた。
抱きあげられるなんて予想もしていなかった私は驚いてしまいまともに話ができないまま秋定さんに連れ去られてしまう。
連れ去られた場所は秋定さんの寝室で、
「この間は大人しく一緒に眠ったままでいただけだから結構限界にきているから今日は覚悟しておけよ。」
ベッドの上に下ろされた私に秋定さんはそう宣言する。
急な秋定さんの宣言に私は何て答えていいのか分からずとりあえず笑って誤魔化そうとしたけれど、もちろんそんなことに何の効果もあるはずもなく、私は秋定さんに組み敷かれ気づけば器用に洋服を脱がされことになる。
そして、私の身体に優しく触れる秋定さんの手は、夢の中での感触と似ている気がした。
秋定さんに唇と手で肌を触れられるたびに私の身体ピクッと反応してしまい、次第に私の口からは甘い吐息が吐きだされ出した。
そして、私の中に侵入を始める指の動きが夢の中の出来事とシンクロする。
そのことが余計に私の中にインパクトを与え、快感を強くしていく。
我慢することができなくなる声が私の身体をよじらせて秋定さんの動きをもっと感じるようにしようと身体を操っているようだ。
そんな私の様子に秋定さんは満足そうなでも、どこか意地悪な表情を見せる。
「桃依、俺の指を締めつけているぞ。」
秋定さんがククッと含み笑いで私の耳に囁きながら耳たぶを甘がみする。
「やぁ・・、んっ」
私は秋定さんに反動でしがみついてしまう。
私を優しく抱きしめながら秋定さんはゆっくりと自分の物を送り込んでくる。
送り込まれたものは、私の中を隙間なく満たし私の身体は侵入許可を出すように締め付けていた。
出し入れを繰り返す物は角度を変えながら私を攻め立てる。
「あきさだ・・・さんっ、すきなのっ」
高められる快感の中私の想いも高められ秋定さんを潤んだ目で見つめながら言葉を発する私。
そんな私の言葉を秋定さんは笑顔で受け止めてくれて、
「もう、離さない。
愛してる、桃依。」
秋定さんは私にキスをしながら愛を告白する。
お互いの快感を高めるように私達は身体を絡めながら充足感に包まれていった。













お互いの身体の熱が冷める頃、私達は寄り添いながらベッドの上にいた。
それから、気になっていた松本さんの去り際のセリフ、
『でも、ちょっとだけ関係がなかったわけでもないんだけどね。』
秋定さんに問い詰める私だったけれど、恋愛感情はない大人の関係があったのだということを言われ、今は私だけだという甘い言葉に昔のことだと思うことにした。
「公兄のありがた迷惑な優しさも私達のことを思ってのことなのよね。
でも、秋定さんいつからいたの?全然気がつかなかった。」
秋定さんに髪を触られ、気持ちいいななんて思いながら聞くと、
「帰ったら中から話声が聞こえていたんだよ。
きっと2人の計画だったんだろうな。
釈然としないものも感じるが桃依からの嬉しい言葉も聞けたからよしとするよ。」
「私の言葉?」
「そう、俺のことを想ってくれながらの美登理への言葉が。」
「あれは、自分の本当の気持ちだったから。」
「そのことがうれしかったんだ。
桃依のことを好きなのに言えない自分に嫌気がさしている時の言葉だったから余計にな。
でもこれからは隠すこともなく桃依に気持ちを伝え続けるよ。」
「うん、私も秋定さんに素直に伝えるわ、愛してるって。」



そう、伝えるわ。砂糖菓子のように甘い言葉を。



+おわり♪+



ラブコメだったはずなのに、気がつけばじれじれな話になっていたこの話。
でも、最後は甘すぎじゃない?と思うほど甘い話になったような気がします。
2人にはちょうどいいのかもしれませんが(笑)
更新のたびに多くの拍手やメッセージ、ありがとうございました。
少しでも皆様にこの話を気にいってもらえれば光栄です。
お付き合いありがとうございました。

マチ拝





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