砂糖菓子のような恋


13


秋定さんの腕の中で眠っているとは気付いていない私だったけれど、身体を包む暖かい温もりを秋定さんに抱きしめられていることも気づいていないのに感じていた。
でも、その温もりのせいか私は、夢の中で秋定さんに抱かれる夢を見ていた。








夢の中の私は、自分の気持ちを隠すことなく秋定さんに伝え、秋定さんもそんな私に愛を囁きながら私を感じさせてくれる。
秋定さんの手や腕、服を着ている時とは違う逞しい胸を私は自分の肌で感じながら、肌の上をだどって行く。
そんな私の動きに秋定さんは小さな声を上げ、顔をしかめたけれどその表情を見て私は秋定さんが感じてくれていることがうれしくて唇を寄せて吸いつく。
そうすると秋定さんは、秋定さんの胸に置いていた私の腕を掴み一瞬で体勢を変え、私は下から顔を見つめる。
「桃依」
そう呼びかけられたかと思うと、貪られているかのような激しいキス。
「ふうんんっ」
鼻から抜ける私の声。
それは、私が感じているサイン。
唇を甘噛みされ、舌を強く吸われる。
その後口の中を蹂躙され、頭の中は霞がかかったような状態。
ゆっくりと唇が離れると息が上がってしまっていたが、そんな状態の私を見てフッと笑った秋定さんは、キスだけで潤んでしまった私の一部に指を添え、動き出す。
「ああっ、はぁんんっ」
動き出した指は、キス以上に私を感じさせてしまい、喘ぎ声を絶え間なく出させてしまう。
だから、指の動きと合わせて濡れた音が聞こえてきて恥ずかしくて堪らなくなって1つだけでも恥ずかしくなるものを失くしてしまおうと手で口元を押さえた。
「駄目だ」
秋定さんはそんな私の動きを見ていて、私の手を唇からはがしてしまう。
「いや、恥ずかしい・・・・」
「何も恥ずかしがることはない。
桃依が感じるままに、そのことを俺に教えてくれ。
そうしたら俺はもっと感じさせてやるから。」
「あっ・・・、んん」
秋定さんは指を奥まで進ませながら私が感じる場所を探ってくる。
もう声を抑えることはできなくて、高い声で喘ぐばかりの私。
あまりの快感に頭を左右に振り顔には肌ざわりのいい感触。
「秋定・・・さん、んんっも・・・・う、んっあああぁ!」
「桃依、俺を受け入れてくれ」
「あああっ!」
私に話しかけた後、指を引き抜いた秋定さんは自分の楔を私の中に埋め込んでさっき探し当てた私が感じる場所を擦る。
その動きは時に緩やかだったり速かったり強弱をつけ私を攻める。
「あああ・・・、んっ、はああん」
「桃依」
「あき・・、さださ・・・ん」
「愛してる」
「わたし・・・もっ!」
秋定さんは私を抱きしめながら動きを止めることなく愛を囁いてくれた。
私は、秋定さんの愛を身体に受け止められることの喜びと素直に自分の気持ちを伝えることができることの喜びでもたらされている快感以上の身体の震えを感じながら秋定さんと共に高みに誘われた。
高みに誘われた後の私達は、身体の中に溜まった熱をため込んだまま荒い息を出し続ける。
秋定さんはゆっくりと私の上に倒れこんできたけれど、その重みさえ私には愛しい。
その愛しい秋定さんを私はゆっくりと抱きしめた。



その夢は、私の願望が見せてるとしか思えないほど、幸せな夢だった・・・・。












朝、目覚めるとまだ夢の余韻が残っているのか、身体が火照っているように感じる。
現実にはあり得ない秋定さんに抱かれて愛を囁き合う。
幸せなそして残酷な夢。

秋定さんから抱かれるようなことになるなんてあるはずがないのに。
昨日だって秋定さんは私には指一本も触れてはこなかった。
それが現実。
分かっているはずなのにね。

そんなことを考えている今の自分を秋定さんに見せるわけにはいかないと思ったけれど、すでに私の横には秋定さんはいなくて、私は広いベッドの上に1人きりだった。
秋定さんがいないことにほっとしながらも、広いベッドに1人で残されていることに寂しさを覚えてしまう。
そんな自分の矛盾さがおかしくなってしまったけれど、時計を見るとすでに10時を針が刺しており、自分が寝過ぎていたことに気づく。

こんな時間!?
おばあ様の家に泊まっているのにこんな遅くまで寝てるなんて私ったらっ。

私は急いでベッドから降りると、洋服を着替え部屋にある洗面所で顔を洗い軽くメイクをした後1階に降りていった。
そして、秋定さんとおばあ様がいるであろう部屋に行くと案の定そこのは2人がいて、食後だと思われる紅茶を飲んでいた。
「おはようございますっ。
すいません、こんな時間まで寝てしまって。」
私は部屋に入るとすぐに頭を下げながらそう言った。
「おはよう桃依さん。
いいのよ、そんなに気にしなくて。
日頃お仕事で疲れてるんだろうし、昨日も緊張していたんでしょ?
だから、ゆっくりしていてもらってよかったのよ。」
「いえ、そういうわけには。」
おばあ様は本心からそう言ってくださっているのが伝わってくるけれど、さすがにこんなに遅くまで寝ていた自分が恥ずかしい。
「よく眠っていたから起こさなかったんだ。」
ゆっくりと紅茶を飲みながら秋定さんはなんともないことのように言う。
秋定さんが言うようにゆっくり眠らせてくれるというのは優しさだと思うんだけど、何もこんな時じゃなくてもいいのにと正直思ってしまうが、そんなこと言えるはずもなく、ニッコリと笑うしかなかった。






「もう少しゆっくりしていくといいのに。」
「そういうわけにはいきませんよ。
また来ます。」
「桃依さん、今度は衣装を一緒に選びに行きましょうね。
その間に2人のお披露目の準備は進めますから。」
「はい、よろしくお願いします。」
玄関の前までおばあ様に見送られながら忘れたかったお披露目のことを言われてしまって思わず作り笑いになってしまったけれど、優しいおばあ様と出かけるのはうれしいことだと思う。
それに、お披露目がついてこなければだ。
「では、帰ります。」
「おばあ様、また来ますね。」
そう言って私達は秋定さんの運転する車に乗り込んだ。










帰り道いつものようにスーパーで2人で買物をした後家に帰り着き、一休みということで私はコーヒーを入れ秋定さんとリビングで寛いでいた。
「おばあ様は桃依のことを気にいってくれたみたいでよかった。
これでおばあ様もとりあえずは安心してくれるだろう。」
「そうだといいけど。
でも、優しいおばあ様を騙してしまっていることが申し訳なくてたまらないわ。」
「・・・・、騙さずに本当にしたらいいんじゃないか?」
「え?」
秋定さんが突然いいだした言葉に私は思わず聞き返してしまう。
「本当にしたらいい、と言ったんだ。」
秋定さんは驚いている私に表情も変えずにそう言った。

本当にって・・・・、そんなの無理に決まってるじゃない!
秋定さんは私のことを好きなんかじゃないくせにどうしてそんなことを言うの?
おばあ様のため?
確かにおばあ様は私のことを気にいってくださったみたいだった。
でも、だからといって好きでもない私と結婚するなんて言わないでっ。

私は秋定さんが気軽に言ったとしか思えない言葉に傷ついていた。
私と秋定さんは契約者なんだから本気になんてしゃいけない。
これが秋定さんの本心だったらどんなによかったかと思わずにはいられない。
でも、そんな自分の想いを秋定さんにぶつけるわけにはいかない。
だから、
「秋定さんも冗談なんか言うのね。
もう、私達は契約しているだけなんだからそんなこと軽々しく言っちゃいけないわ。
よしっ、今から夕飯の用意するから秋定さんは休んできてください。
1人で台所に立った方が集中できるから。
おばあ様には負けるとは思うけれど、食後のお菓子も作るから忙しいわ。」
私は自分の気持ちがばれてしまわないように明るい声を出しながら秋定さんに部屋で休むように勧める。
そうでもしないと秋定さんを責めてしまいそうだったから。
私は立ち上がりカップを持ち台所に向かうと、秋定さんは、
「桃依・・・。
そうだな、私達は契約者だったな。」
と、俯きがちになりながらつぶやいた。
「書斎にいる。」
秋定さんはそう言って、立ち上がり書斎に向かった。
私は秋定さんの後ろ姿を見送り書斎に入ったドアの音を聞くと、自然と涙がこぼれてきた。
泣いている自分に気づいた私は、声が出ないように堪えながらも漏れてしまう声を秋定さんに聞かれないように水を流し、涙が止まるのを待っていた。





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