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そんな私を見ながらお兄ちゃんは口を開こうとすると、

「遅いっ、遅いぞっ!何で2人共降りてこないかな〜。

2人が早く降りてこないと私シスコン兄と何時までも2人きりのままじゃ

ないのっ。」



そう言って亜季ちゃんが翔兄と一緒に勢いよく私の部屋に入ってきた。

そんな亜季ちゃんは私達の様子を見て、怪訝そうな顔をしながら、

「あれ?また美佐泣いてるみたいだけど、いつもと違うような・・・。

京平さん、何で美佐がこんな風に泣いてるのよっ!」

と、お兄ちゃんに詰め寄った。

「お兄ちゃんは関係ないのっ!」

私はお兄ちゃんに迷惑をかけるのが嫌でそう言った。

でも、亜季ちゃんは信用していない顔をしている。

そして、翔兄を見ながら、

「ちょっとシスコン兄、私美佐と話するから京平さん連れて下に降りと

いてよ。」

そう言って、扉を指差した。

「だからシスコン兄言うなっ。

不本意だが、ここは俺と京平は下に降りた方が良さそうだな。

後藤、後は任せたぞ。」

「任せられたわ。

はいはい、そういうことで、京平さんはこのシスコン兄と下に降りといて

下さいね。」

そう言われたお兄ちゃんはなかなか立ち上がろうとはしなかったけど、

翔兄がお兄ちゃんを無理やり引っ張り立たせて、部屋から出て行った。







「さーて、どうしてそんなに泣いてるのか説明してもらいましょうか?」

亜季ちゃんはベッドに座り、私のあごを取り自分の方に私の顔を向けた。

「いやー、泣き虫美佐がこんな泣き方するの見たの初めてでビックリ

してるんだけど私。

ほれ、何があってそんな泣いてるのか言って見なさいな。」

亜季ちゃんは言ってる言葉と裏腹に優しい声で私に話しかけてくれた。

そんな亜季ちゃんの声に再び私の瞳はうるうるしてしまった。


そんな優しくしないでよ亜季ちゃん・・・。

私は亜季ちゃんがお兄ちゃんの話してる時、とっても嫌な子だったんだよ?

亜季ちゃんがお兄ちゃんの話するのが嫌で嫌で仕方なくて、とっても

つらくて、口に出さなかっただけで、アルバムを取り上げたくて仕方なかった

嫌な子なんだよ?


私は、亜季ちゃんの優しさが自分の汚い心を自覚させてしまった。

そんな自分が嫌で仕方なかった。


だって、大好きな亜季ちゃんのことをそんな風に思っていた自分が許せな

かったから・・・。

そんなことを思って、亜季ちゃんへ返事が出来ないでいた私に亜季ちゃんは、

また優しい声で話しかけてきた。

「美佐、なんとなく美佐が泣いてる理由がわかるんだけど、言ってみても

いいかな?

美佐は私が京平さんのことを話すのが嫌だった?」

私は亜季ちゃんの言葉が自分の気持ちを見抜いてしまっているものだった

ので、驚いてしまった。

そんな私に、にっこり笑いながら亜季ちゃんは話を続けた。

「ねー美佐?今まで離れていた京平さんのことを私が好きになったからと

いって何で嫌な気持ちになったと思う?

私が惚れっぽいのなんて美佐も分かってるはずじゃない。

だって、今まで何度もあったんだから。

でも、その時は美佐頑張れって言ってくれてたでしょ?

それが今回は、言ってくれなかった。

それはどういうことだと思う?」

「わかんない・・・。」

「本当に?」

「うん。」

「うーん、お子ちゃまでシスコン兄に守られてきた美佐には難しいかな。

でも、誰でも持っている感情なんだけどな。

美佐が感じているのは嫉妬、というものよ。」







私は亜季ちゃんに言われた「嫉妬」という言葉が心に響いた。

その言葉に反応を示した私に亜季ちゃんは話を進める。

「今まで感じたことないんでしょ?だから分からなくて苦しくなった。

どう?私の読みは間違ってるかな?」


嫉妬・・・、そうか、私は嫉妬してたんだ。

お兄ちゃんに一目惚れしたと言ってお兄ちゃんの話をする亜紀ちゃんに。

今まで感じたことない感情で私には分からなくて苦しかったんだ。

でも、分かっても苦しい・・・。

それが、嫉妬というものなのかな。


「10年ぶりに会った京平さんのことで、美佐の中で眠っていた嫉妬とは

違う感情があったから私に嫉妬したんだと思うわよ。」

「嫉妬と違う感情?」

「そう。

美佐はさっき京平さんと2人で話しているときに感じた気持ちがあるでしょ?

それは、どんなものだった?」

亜季ちゃんにそう言われて私は、お兄ちゃんと2人でいた時のことを

思い出していた。


あの時思ったこと?

お兄ちゃんに頭を撫でられて嬉しかったけど苦しかった。

それはどういう気持ちなんだろ?


思い出している私に亜季ちゃんは、つんつんと頭を突いて、

「思い出したかな?

その気持ちは京平さんのことが好きだから感じた気持ちよ。

自分の気持に早く気付きなさいな。」

クスクス笑いながら言った。


私がお兄ちゃんのことが好き?

・・・、好きってこんな気持ちなの?

よくわかんない。


亜季ちゃんの言葉に私が考え込んでいると、亜季ちゃんは私のほっぺを

両方から両手を使い挟み込んで私の顔を歪ませた。

「この子はまだわかんないかなぁ。

美佐は京平さんのことが好きなのよっ、だから私が京平さんのことを

話すのが嫌で、京平さんがそばにいるのが苦しくなった。

そういうのが好きってことよ。

まったく、私にここまで言わせないでよね。

美佐の好きな人私が取るわけにはいかないじゃないの。」

亜季ちゃんはそう言って笑いながら私のほっぺを開放してくれた。

「私も嫌だよっ、亜季ちゃんの好きな人・・・。」

私が言葉に詰まりながら言うと、亜季ちゃんは笑いながら言った。

「私?私は見込みのない恋はしないのよ。

京平さん見てたら誰のことが好きなのかまる分かりよ。

さっさと自分の気持ちを京平さんに言っちゃいなさいな。」

そう言って亜季ちゃんは、私の手を引き部屋から出て、お兄ちゃんと

翔兄がいる部屋に連れて行った。







「おっ?話は終わったか?」

翔兄が私達の方を見て言った。

亜季ちゃんは翔兄の言葉に返事するよりも先にお兄ちゃんの方を向き、

私を座っているお兄ちゃんに向かって身体を押した。

急に押されてしまった私はバランスを崩し、お兄ちゃんにぶつかりそうに

なったけど、お兄ちゃんが私を支えてくれてたから大丈夫だった。

そんな私達を見ながら亜季ちゃんは腕を組み、溜め息をついた後、ゆっくり

話し出した。

「京平さん、しっかり美佐のこと捕まえてよね。

そうしないと美佐が毎日泣くことになるわよ。

さて、ゆっくり話がしたいだろうから私とシスコン兄は外に出てブラブラ

してくるから、それまでに話つけてよね。」

そう言って亜季ちゃんは翔兄の腕を取り、

「ほら行くわよっ。」

と、言って歩き出そうとしたけど、翔兄は立ち上がらなかった。

「何でお前と俺が外に出なきゃいけないんだよ。」

「いいから来なさいよっ!妹の幸せ考えたらここは外に出るべきで

しょうがっ!!」

亜季ちゃんは勢いよく翔兄を叱りつけ、勢いに押された翔兄は立ち上がり

亜季ちゃんに連れていかれてしまった。




家にお兄ちゃんと2人残されてしまった私はどうしていいかわからず、

「何で2人共出て行っちゃったんだろうね。」

と、お兄ちゃんに話しかけていた。

お兄ちゃんは、そんな私の顔を見て、溜め息をついた。


何で溜め息なんかつくのお兄ちゃん・・・。


私はお兄ちゃんの溜め息の理由がわからなくて、でも、溜め息をつかせて

いるのが自分なのかと思うと、辛くて胸が締め付けられてしまった。

「美佐、ゆっくり話がしたいから美佐の部屋に行こうか。」

お兄ちゃんはそう言って私の部屋に向かって歩き出した。

私はお兄ちゃんの後を急いで追いかけた。







私の部屋に入ったお兄ちゃんは黙り込んだままだった。


話をするんだよねお兄ちゃん。

そんな黙り込まれたらどうしていいか私にはわかんないよ。


お兄ちゃんの様子を見て、私はそんなことを考えていた。

そいて、お兄ちゃんは意を決したように話し始めた。

「美佐、俺が手紙を出さなくなった理由を知りたいと言ってたな。」

「うん。知りたい。」

「俺が手紙を出さなくなったのは、手紙を読んだら美佐に会いたい気持ちが

強くなって苦しかったからだ。

だから手紙を書かなかったんだ。

いつ会えるか分からない美佐のことを考えるのは辛かったからな。

だから、忘れることにしたんだ。」

「忘れる?」

「そうだ。忘れればこの苦しみから解放されるって思ったんだ。

でも、戻ってきて美佐を見た時、昔と変わらない美佐が目の前に現れた。

忘れたと思ってたのにな。

自分が無理に抑えていた感情が蘇ってきたよ。

でも、この気持ちを伝えることはできないって思ったよ。」

「何で?」

「昔と変わらない美佐には俺の気持ちは重いんじゃないかと思ったんだ。

だから、美佐に自分の気持を言うつもりはなかった。」

お兄ちゃんは自著気味に笑いながら言った。

私はそんなお兄ちゃんの告白を聞きながら、自分の幼さがお兄ちゃんを

苦しめていたんだということを知った。


お兄ちゃんを苦しめている幼い私。

でも、私は気付いてしまった、自分の中にある感情に。

それはお兄ちゃんが気付かせたものだ。

だから、お兄ちゃんに伝えなければいけない、私の気持ちを。


「お兄ちゃん、私はお兄ちゃんが思ってるほど子供じゃないよ?

だって、お兄ちゃんに再び出会って自分の中にある感情に気付いたん

だから。

私はお兄ちゃんが好き。

私だけのお兄ちゃんでいて欲しい、誰にも渡したくない。

そう思ったの。」

お兄ちゃんは私の告白に驚いているみたいだ。

でも、これが今私の中にある気持ちだ。だから、お兄ちゃんにも

知って欲しい。

「私はお兄ちゃんが好き。」





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