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「お兄ちゃん?」




私は目の前にいる男の人が、ずっと帰ってくるのを待っていたお兄ちゃん

だということが信じられなかった。

でも、言われて見れば、目は昔と同じように優しい眼差しで私を見ていた

目だ。

他は、身長も当然だけど高くなって逞しい男の人になっているから、昔の

面影はないんだけど。

それでも、目を見れば大好きだったお兄ちゃんだということがわかった。

お兄ちゃんだと確信してしまうと、私は鼻の奥がツンっとなったのを

感じると、瞳から涙が流れてしまった。

そして、今まで我慢していたものが溢れ出しお兄ちゃんに勢いよく

抱きついた。







「お兄ちゃ〜んっ!、待ってたんだよ私。

手紙も書いたのに、何で返事くれなかったの?

それに、帰ってくるなんて聞いてなかったよぉ〜。」

私はお兄ちゃんに抱きついたまま泣きながら今まで自分の中に溜めていた

思いを、お兄ちゃんに向かって言った。

そんな私をお兄ちゃんはぎゅっと抱きしめた後、私の身体を自分の

身体から引き剥がし、涙で濡れている私の頬を拭いながら困ったような

顔をして話し出した。

「ごめんな美佐、今まで連絡しなくて。」

「ホントだよぉ、私待ってたのに。」

「うん、そうだよな、本当にごめんな。」

「何で手紙返事くれなかったの?私ずっと出してたのに。」

「まー、それはいろいろあって・・・な。」

「いろいろって、わかんないよそんなのじゃっ。」

私はお兄ちゃんが言葉を濁して私に手紙をくれなかった理由をはっきり

言ってくれないのがもどかしくてお兄ちゃんに詰め寄ってはっきり

言ってもらおうとしていると、今まで私達の様子をポカーンとした顔で見て

いた亜季ちゃんが気を取り直したように大きな咳払いをしながら、

「お取り込み中申し訳ないんですけど、そろそろ私達の存在思い出して

もらえます?」

と言って、私の肩をポンポンと叩いた。

亜季ちゃんの言葉にここが教室だったことを思い出していると、翔兄が

私の身体をふわっと持ち上げたかと思うと、自分の隣に私を立たせ、

お兄ちゃんから私を遠ざけてしまった。

「お前達近くに寄りすぎだ。それに美佐、人の教室の前で泣きすぎだぞ。」

「だって・・・。」

「だってじゃないっ!ったく、家に帰ってから京平が帰ってきてるの教えて

驚かせようと思ってたら教室まで来て抱きつきだすし。

後藤、お前のせいだからな。」

翔兄はそう言って亜季ちゃんを睨みながら言った。

亜季ちゃんは心外だという顔をしながら、翔兄に人差し指で指さしながら、

「美佐が抱きついて泣き出したのを人のせいにしないでよねっ!

教室で会おうが家で会おうが同じことだったことぐらいシスコン兄にも

わかるでしょうが。

それを、美佐が泣いて抱きついたのを人のせいみたいに言わないで

よねっ!」

と、すごい勢いで話しながら翔兄に言った。

「誰がシスコン兄だっ!」

「あ〜ら、自覚なしですか?あんたはりっぱなシスコン兄よっ!」

「なんだとぉ〜!」

翔兄と亜季ちゃんはお互いをにらみ合いながら鼻息荒く、言い合いを

始めてしまった。




私はそんな2人を見て、今まで泣いていたことが嘘のように涙が止まって

しまっていた。

それよりも、今はこの2人を止めなくちゃ、という気持ちが強くなって、

「やめてよ2人共。何で2人がケンカしてるのよ。」

と、2人の間に入り、2人の顔を交互に見ながら言った。

すると2人はバツが悪そうな顔をしながら言い合いを止めてくれた。


はー、良かった。


私は2人の言い合いが終わったことにホッとしていると亜季ちゃんが気を

取り直したようにお兄ちゃんに話かけていた。

「あははは、すいませんね驚かせちゃいましたよね。

改めて自己紹介を。私美佐の友達で後藤 亜季っていいます。

以後よろしくお願いします。」

亜季ちゃんはそう言ってお兄ちゃんの手を取り、握手をしている。

お兄ちゃんは亜季ちゃんの行動に驚いてるみたいだったけど、すぐに

気を取り直し、にっこり笑いながら、

「こちらこそよろしく。美佐ちゃんと翔太とは家が隣同士の椿 京平です。」

と、亜季ちゃんに挨拶をした。

お兄ちゃんは挨拶が済むと握手した手をゆっくり離そうとした。

でも、亜季ちゃんは離れようとしているお兄ちゃんの手をぎゅっと

握り、ニッコリ笑いながら、

「私京平さんに一目惚れです。これから毎日アタックしていくつもりなので

よろしく。」

と、ある意味亜季ちゃんらしいとも思える宣言をお兄ちゃんにした。

そんな亜季ちゃんの宣言にお兄ちゃんはビックリしているみたいだった

けど、亜季ちゃんはそんなこと気にする様子もなく、

「さて、用件も済んだし、教室に帰りますかっ!」

と、満足そうな笑顔を見せながら私の手を引き、自分達の教室に向かって

歩き出した。

私は何が何だかわからないまま、亜季ちゃんに手を引かれたまま教室に

連れて行かれてしまった。





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