続Loveliness Yo


7.新生徒会発足


生徒会役員、今まで私に関わりがなさすぎる言葉。
なぜ?どうして?なんてことを思っても、目の前でお弁当を食べている紗和子ちゃんを見ている様子と口の中に自分の手で機械的に運ばれるおかずが現実の出来事だということを知らせているように思うけれど、やっぱり実感が湧かなくて紗和子ちゃんに聞いてみる。
「紗和子ちゃん、生徒会役員って話、冗談だよね?」
「冗談なんかじゃないわよ。」
さらっと言ってしまう紗和子ちゃんに淡い期待なんてすっぱりと消え去ってしまった。
「冗談だって言ってほしかったのに。」
「嘘言うわけにはいかないじゃない。
今更嫌って言うの?
そんなの・・・・、悲しい。」
「やっ、嫌っていうんじゃなくって、私なんかが役員なんてやってもいいのかなって考えちゃって、それで。
別に嫌だって言ってるわけじゃないんだよっ、だからね、そんな悲しそうにしないで。
紗和子ちゃんがいてくれるんだったら安心だし、うれしいし。」
「そうよね、優美だったらそう言ってくれると思ってた。
友達だったら協力しないとね。」
今まで見せていた悲しそうな表情から一転、ニッコリ笑いながら言う紗和子ちゃんの目がキラッと光ったように見えたのは気のせい?

うん、きっと気のせいだよね。

「分かってもらえたと理解したからこれからのことについて話しておくわね。」
「これからのこと?」
「そう。
早速放課後は生徒会室に集合だから忘れないでね。」
「えー!?なんで?今日言われて今日集合って早くない!?」
「そんなことないわよ、いいタイミングよ。
なんといっても早くやらないと邪魔が入りそうだし。」
「邪魔?何それ?」
「分からないなら内緒よ。」
意味深に笑う紗和子ちゃんは、しつこく聞く私に教えてくれることはなく昼休みが過ぎてしまい、結局紗和子ちゃんが言った邪魔という言葉の意味は分からずじまい。
賀谷西に作ってきていたおべんとうを食べ終わった紗和子ちゃんはごちそうさまと言って空になったおべんとう箱を返してくれたけれど、この調子では今までの経験上紗和子ちゃんは教えてはくれないだろうと悟り、釈然としないまま教室に向かった。
「教えちゃったら面白くないものね。
折角放課後に楽しい展開になりそうなのに。」
なんてことを紗和子ちゃんが思っていたとは、私はまったく気づいていなかった。













「いらっしゃい、生徒会室へ。」
放課後を迎え、紗和子ちゃんと一緒に向かった生徒会室のドアを開けると、両腕を広げた格好で生徒会長こと木沼(きぬま)さんが待ち構えていた。
「はい、いらっしゃいました。」
突然の生徒会長の登場に、おまぬけなことを言ってしまったのは聞き流してもらいたい。
でも、そうもいかないらしく、
「やっぱ、面白いよね、優美ちゃんは。」
ゲラゲラと笑われてしまった。

笑われどこなの、ここ?
生徒会長、つぼが分からないんですけど!?

当然の話だけれど、今日会ったばかりの人の笑いのつぼなんて分かるはずもないけれど、思わず心の中で突っ込みを入れる。
口に出して言わないところが私らしいと言えなくもないけれど。
「ささ、座って座って。
他の奴らもそろそろ来ると思うし。」
そう言って私と紗和子ちゃんを椅子まで案内してくれた。
「他の奴って、賀谷西と桐野君のことですか?」
椅子に腰かけた後見上げながら聞くと、
「もちろんその2人もだけど、役員はあいつらだけじゃないからね。
まだ会ったことない奴らのことだよ。」
机に片手をついてやや至近距離では?と思える距離でニッコリ笑って答えてくれた。
「おっと、噂をすれば、だな。」
ドアが開く音が聞こえ見るとそこには桐野君と賀谷西が部屋に入ってくるところだった。
賀谷西が不機嫌そうにしているのはいつものことだけど、桐野君もどことなく不機嫌そうで、何かあったのかな?と疑問に思っていると、私の両サイドに賀谷西と桐野君が腰かけた。
「おい。」
「な、何よ。」
「役員やるなんて本気じゃねーだろうな。」
わざわざ脅すように聞いてくる賀谷西に対し、身体をビクつかせてしまったけれど、ビクつく理由もないと思いなおし表情を引き締める。
「本気だよ。
紗和子ちゃんが一緒にって言ってくれてるし、私なんかでも役に立つんだったら頑張ろうと思えるもの。」
「ばかかお前は。」
「何でばかなのよっ。」
「面白がられてるのも分からないなんておめでたい奴はばかって言われて当然だろうが。
大体、成績がいいわけでもない奴が声をかけられるわけないんだからそんなことくらい気づけよ。」
「自分だって成績いいわけじゃないくせに。」
「何だと。」
ギロッと睨んでくる賀谷西にビクつきが再びやってきてしまう。
ただでさえ近い距離にいるのに、顔まで近づいてきたせいだ。

近づくな、ばか賀谷西!
あんたの顔は怖いんだから!!
少しくらい愛想いい顔の作りを努力しなさいよねっ。

身体を賀谷西とは反対方向にずれながら悪態をついてしまう。
確かに生徒会役員に積極的になりたいわけじゃないけれど、賀谷西にばかなんて言われて反対させるいわれはないわけで、ここまで言われるとやってやる!と思えてくるもの。
絶対賀谷西に色々言われても役員をやるぞと、決心をした。
それと、私の決心を強くしてくれたのは、
「本当に賀谷西君は失礼な事ばかり言うんだね。
木村さんはばかではないし、頑張って役員の仕事をやるってくれると思うよ。
やりたくないんだったら賀谷西君はこのまま帰った方が賢明だね。」
桐野君の私へのフォローの言葉だった。

桐野君、優しい。
ありがとう!
私、頑張るよ!!
賀谷西も桐野君の爪の垢を少しでももらって煎じて飲んでみればいいのに。
そうすれば少しはまともな人になるだろうに。

「桐野君、私頑張る。
だから、桐野君も一緒に役員頑張ろうね。」
「喜んで。」
にっこり微笑む桐野君は手を差し出してくれたので、しっかりと握手をして仲間がいることにうれしくなってしまう。
「おまえら、何俺の許しなく手なんか握ってんだよ!」
「別に賀谷西に許しなんてもらう必要なんてないじゃない。
ねー、桐野君。」
「そうだね。」
「桐野、いい加減にしておけよ。」
「何を言っているのか分からないね。」
「君達、みんな揃ったから会議始めたいんだけどいいかな?」
生徒会長が私達の間に入る勢いでそばに近づき、私と桐野君の手を引き離そうとしていた賀谷西の動きを止める。
動きを止めた賀谷西に満足した表情を見せた後、自分の席へと戻っていった。
その間に私は桐野君から手を離したけれど、私の行動に桐野君が一瞬だけ表情を暗くした気がしたけれど、はっきりと認識したわけではないので、やっぱり気のせいだと思えて、話を始めようとしている生徒会長に視線を向けた。








「では、今日から今年度の生徒会始動するわけだが、仕事始めとして恒例『生徒会役員紹介劇』の話し合いから始めたいと思う。」

紹介劇?何それ?

まったく分からない言葉に首をかしげたくなってしまったけれど、周りの人達はそんなことはなく、疑問に思っているのは私だけみたいだった。
賀谷西でさえも生徒会長が言ったことに対して疑問があるような素振りをみせていない。
私が疑問に思っていることを気づいてくれたのか、
「この学校の恒例行事なんだよ。
1年生が学校に慣れてきたくらいにやってるんだけど、何故だか外部からも観に来る人が多いんだ。
先生達も協力的みたいで役員にとっては初仕事になるんだよ。」
桐野君が親切に教えてくれた。
そうは言っても、劇なんて今まで群衆役しかしたことない私。
セリフがあった役なんてやったことない。

まー、心配しなくても、私が大きな役なんてやるわけないもんね。
裏方を頑張らなくちゃ。

そう考えていた私の考えは、生徒会長の一言で覆されたしまうことになる。





「無理です!
それに、女の私がそんな役やるのは無理がありますよ!!」
「大丈夫、大丈夫。
面白かったらOKなんだから。
そんなに緊張しなくてもいいって。」
へらっと、私の言葉を聞く気まったくなさげな顔を見せる生徒会長。

無理、絶対無理!!
王子様なんてできるわけないよぉ。

劇の作品名『シンデレラ』、その王子役をありがたくないことに選ばれてしまい、さっきまで裏方頑張ろうと思っていた私にとってありえない展開。
しかも、しっかりと台本が出来ていて、みんなに配られている。
知っているシンデレラの話をアレンジしたんだと言った生徒会長。
確かにアレンジしていた、シンデレラが何故か2人いるんだから。
しかも、シンデレラは賀谷西と桐野君が選ばれている。
こういう時こそ凄め賀谷西!と賀谷西の方を見たけれど、反対する素振りさえ見せない。
絶対に反対すると思っていた賀谷西が行動を起こさないことに驚いていると、
「優美ちゃん、シンデレラ2人は快く引き受けてくれたんだ。
だから、優美ちゃんもそうしてね。」
なんてことを生徒会長が言うからさらに私を驚かせる。
「脅しといて快くもないだろ。」
賀谷西がボソッとつぶやく言葉が耳に入る。

お、脅す!?
物騒な話が聞こえてきたんですけどっ。

「脅したなんてとんでもない。
お願いしただけだろ?賀谷西にも桐野にも。
それで、2人がOKしてくれたんだから、人聞き悪いこと言わないように。」
「ものは言いようですね。」
「まったくだ。」
「でも、優美ちゃんを王子にキャスティングしたんだからうれしいだろ?
しっかり、王子から選んでもらえるシンデレラを演じてくれよ、2人共。
じゃ、そういうことで優美ちゃんよろしくね。
では、練習は明日からということで解散。」

まだ返事してないのに、解散って。
紗和子ちゃん!!

急展開を迎えたまま終わってしまった会議に、助けを求めるべく紗和子ちゃんを見るけれど、
「頑張れ、優美。
人間何事も経験だから。」
にこやかに手まで振ってくれて、私の気持ちを打ち砕いてしまった。
「木村さん、いろいろ思うところはあるかもしれないけど、決まったからには一緒に頑張ろう。ね?」
愕然としたままになってしまった私に桐野君は優しく声をかけてくれる。
「・・・・やらないと、だめかな?」
「あの人があそこまで言うときは、もうどんなことを言っても無駄なんだよね。
だから、こうなっったら楽しむしかないよ。」

うう、やっぱりやらないとだめなんだ。

「桐野君、一緒に頑張ってくれる?」
「もちろんだよ。
頑張ろうね、木村さん。」
優しい笑顔で言ってくれる桐野君と頑張るしかないんだと覚悟を決めるよう自分に言い聞かせる。
とりあえず、桐野君がいてくれるなら頑張ろうかと思っていると、もう1人のシンデレラのどなり声が聞こえてきた。
「優美、俺がいること忘れてるんじゃないだろうな。
桐野なんかとじゃなく、俺と頑張るんだろうが!」
そのどなり声は頭の上から聞こえてきて、自分が賀谷西の腕の中にいることに遅ればせながら気づいた。
背中は賀谷西の身体にぴったりと触れていて、私の肩に沿って賀谷西の腕が回っている。

嫌―!
何で、何で!?

そう思ってもがいてみても、腕がしっかりと私の身体をつなぎとめているせいで抜け出せない。
かなりの至近距離に拒否反応のせいか私の胸の音がドクドクと大きな音をたてている。
その音が大きすぎて、身体までカっと熱くなってしまっていた。
そんな状態にいる私は自分の今の状況に手一杯になっていたせいで、賀谷西と桐野君がにらみ合っていることにはまったく気づいてなくて、その離れた場所で生徒会長が満足そうにしていたことにも気づいていなかった。



神様、やっぱり私に生徒会役員なんて無理ではないでしょうか!?
賀谷西に近づきすぎて心臓が壊れそうです!
いつになったら私のバラ色の高校生活がくるのか教えてください!!





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