続Loveliness Yo


11.何がなにやら


公園に着くと電灯に照らされているベンチに賀谷西は座っていて、私が来たことに気づいたみたいだけど立ち上がる様子はない。
動かないということは、私に来いと言っているとしか思えず近づくしかない。
さっさと用件を言ってもらって早く帰ろう、それがいいと心の中で思いながら賀谷西が座るベンチに近づき、空いているスペースに座った。
「へー、ちゃんと来たんだな。」
「来いって言ったのは賀谷西じゃない。
帰っていいなら今からすぐに帰りたいわよ。」
「ちゃんと来てくれたのがうれしいよ。」
「へ?」

な、何!?
賀谷西の口からうれしいなんて言葉が聞こえた気がするんですけど。
気のせい?ううん、気のせいなんかじゃないよ。
どうしちゃったの賀谷西!

「何かあったの?
いつもだったらそんなこと口がさけても言わないくせに。」
「なんだよそれ、俺がひどい奴みたいにしか聞こえないじゃないか。」
「え、自覚なかったの?
かなり最低って言われる部類だと思うけど。」
「・・・・言うようになったな、優美。」
ギロッと賀谷西が横に座る私を睨んでいる。

や、やばい!
余計なこと言っちゃったよぉ。

睨まれたことでビクついてしまった私は、ズズッと賀谷西から少しずつ離れていく。
そんな私の様子に気づいたのか賀谷西の身体がピクッと動いた。
ますますやばい雰囲気だと思い始めた矢先、本日2度目の思ってもいなかった行動をとられてしまった。
私は賀谷西から離れようとしていたはずなのに、気がつけば賀谷西に抱きしめられてしまっていた。
「な、な、なに!?」
「うるさい、黙って抱かれてろ。」
「む、無理!無理―!!」
「ったく、うるさい奴だな。
静かにしないと話も出来ないだろうが。
何のために優美を呼び出したと思ってるんだ?」
「だ、だから、何、何ですかー!?」
賀谷西の腕から抜け出すためにもがいてみせるけれど、そううまくはいかず抱きしめられたままになってしまう。
そのせいでパニックは最高潮だ。
「今日、何かあっただろ、帰り。
嘘をつくのは許さないからな。」
「か、帰り?
何かって、何?」
「嘘つく気か?
それならそれでもいいが、覚悟しろよ。
嘘つく奴にはバツが必要になるからな。」
「バツって何!?
だって、言われてることが分かんないんだもの!!」
抱きしめられていることでパニックになっている私には、賀谷西の質問の意図がまったく分からないだけではなく、帰りに何があったかなんてことが頭の中からすっぽりと抜けてしまっていた。
そのせいで賀谷西の質問にうまく答えることができない。
でも、そんなことは賀谷西にはまったく分からないらしく、舌打ちまでしている。

何で私が舌打ちなんかされないといけないのよぉ。
えーん、何で素直に公園に来ちゃったのよ私は!!

自分の行動を今更ながらに後悔していた私だったけれど、賀谷西のつぶやきが耳に入ってきて、今日会ったもう1つの大きな出来事を思い出させられた。
「桐野に告白されたんだろ?
まさか『はい』なんて返事する気じゃないだろうな。」
「何で知ってるの!?」
「わざわざ宣言してくれたんでな。
で、どうなんだよ。」
「どうって、どうもしないもん。
桐野君は友人として好きだっていってくれただけだし。
明日ちゃんと私も好きですって言うつもりだけど。」
「は、なんだよそれ、力抜けさせるなよ。
鈍感なのも罪だぞ、優美。
俺にとってはいい傾向だけどな。
だが、そうなると、俺の気持ちにも気づいてないってことも考えられるよな。
優美、俺が優美のことをどう思ってるか言ってみろよ。」
「どうって、いじめやすい女の子ってだけでしょ?
何でそこまでいじわるしたいのか分かんないけど。」
私は自分が思っていることを素直に口にする。
賀谷西は何故か私のことをいじめのターゲットにしてしまったけれど、それは私がいじめやすいからだといか思っていない。
もう少し優しくなってくれたらいいのにとどれだけ思ったことか。
「馬鹿だ馬鹿だとは思ってたが、ここまでとは。」
ため息混じりにいう言葉はかなり失礼なものだった。
「馬鹿じゃないもん、私!」
「どう考えても馬鹿だろ。
なんだよ、いじめやすい女の子って。
はー、どうりでいい反応が返ってこないはずだよな。
まー、でも、俺のやり方も子供じみてたから仕方ないのかもしれないか。」
「言ってる意味がまったく分かんない。」
「そういうのが馬鹿だっていうんだよ。
もう少し頭を働かせろよ。
そうすれば俺の本心なんてすぐ分かるはずだ。
優美の友達はすぐ気づいたんだから。」
「友達って、紗和子ちゃんだよね。
紗和子ちゃんが気づいたことって、何?
分かんないよ。」
「じゃ、分からせてやるよ。」
そう言った後賀谷西は私の唇に自分の唇を重ねた。
賀谷西にキスをされるのは初めてのことじゃない。
今まではからかうためにやってるんだと思ってた。
軽くされるキスだったから。
でも、今日のは違う。
私の唇を食べてしまうのかもしれないと思えるほど強く重ねられただけではなくて、無理やり開かされた口からは舌が入ってきて私の舌に絡みつかせる。
それだけじゃなく歯列をなぞり出す動きが今まで感じたこともないなにかが身体の奥から沸き起こってきて、身体がむず痒くなる。
怖くて、賀谷西から離れたいのに身体に力が入らなくて肩の洋服をぎゅっと握りしめることしかできない。
次第に息苦しくなってきて、賀谷西の背中を叩くとやっとキスを止めてくれた。
やっと口から空気が入ってくれて、早く酸素を取り入れないといけないと呼吸が速くなる。
「おい、キスの時は鼻で息しろよ。」
ククッとからかいながらいう賀谷西の言葉に涙がにじみそうになる。
「こっ、こんなこと!
なに、な、何考えてんのよ!!
鼻で息するなんて分かんない!
そんなこと知らないもん!!」
「今知ることができて良かったな。
これからも俺が色々教えてやるよ。」
「賀谷西に教えてもらうことなんて何もないから!」
私を抱きしめたいた賀谷西の腕が緩んだことで、勢いよく身体を押すと身体が離れたことで、ベンチから立ち上がり賀谷西を睨みつける。
「いい加減気づけよ。
俺は優美が好きだ。
勘違いされないように言っておくが、恋人にしたいほど好きだということだからな。
優美を誰にも渡したくない。
誰にも触れさせたくない。
本当は大切にしたいんだ、気づけよ。
今までは子供じみたことをやって優美の気を引こうとしてた。
でも、それじゃダメだってことに気づいた。
これからは、自分の思いのまま口説くことにする。
優美が俺を好きになるようにな。
今のキスは俺の気持ちだ、気持ちよくて熱かっただろ?」
「好きって、意地悪ばかりじゃない、信じられないよ。」
「信じろ、いじめたくなるくらい好きなんだよ。」
「いじめたいのに好きって意味分かんない!!」
「本当に?」
「本当!」
強い口調で言う私。
でも、賀谷西は真剣な表情になっていて、いつもと違うことが分かる。
言葉もからかいを含んでいない。
そう思っていると、再び賀谷西は私を自分の腕の中に閉じ込めた。
「ふーん、でも、かなり心臓の音は大きいみたいだけど?」
確かに、今脈を測定されたらすごい数値が出るだろうと思われるくらい心臓がすごいスピードで動いている。
スピードが速すぎるせいか頭までクラクラしてきた気がする。
「優美を俺の恋人にする。
これは絶対だ。
俺はこれ以上好きという気持ちを自分の気持ちだけで留めておくことが出来ない。
だから、優美に受け取ってもらわないとな。
もういじめない、俺の真剣な気持ちを受け止めてほしい。」

どうしてそんなこと言うの?
いままで意地悪だったくせに、分かんないよ。

クラクラする頭、でも、思いっきり賀谷西の身体を突き飛ばし離す。
「分かんないもん!」
何がなにやら分からなくなった頭は、思考回路が滅茶苦茶になってしまったらしく、自分が今何を言っていて何をしているのか分からなくなっていた。
賀谷西に大きな声で叫んだ後思いっきり歯を食いしばって口角を横に引っ張りながら「いーだ!」なんてことをやっていることは無自覚だった。
そして、勢いよく振り返り猛スピードで走り出した。
賀谷西がどんな顔をしているのか見る余裕がないくらい。

ふぇーん、もう、もう分けわかんないよぉ!
神様、私に何が起きているんですか?
賀谷西がおかしいんです〜。
そういえば桐野君もです〜。
それとも、私がおかしいんですか?
教えてください、神様!!

心の中で神様に助けを求めつつ、緩くなりだした鼻をすすりながら家までの道のりをスピードを落とすことなく走り続けた。





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