続Loveliness Yo


10.予想もしない電話の相手


わわわっ。

そんな言葉が今の私の心境を物語っている。
言葉にならないけれど、何かを言わないと落ち着かない心境。
桐野君からの突然の告白。
まさか桐野君が私のことを好きだなんて考えもしていなかったからなにがなにやらという言葉が桐野君の行動には合う気がする。
だって、だって、私だよ?
中学まではいじめられてた私のことを好きになる人なんているなんて思わなかったんだもの。
しかも、優しくて格好良い桐野君だよ?
気づくはずないよ。
何で私なんだろう?
私にはこれと言っていいところがあるわけじゃない。
可愛いわけでもすごく性格がいいわけでもないし。
桐野君は何で私のことを好きになってくれたんだろう?
そんなことを確認する間もなく桐野君とは別れてしまった今、確認できない。
まさか電話して聞くわけにもいかないし。
はううぅ、どうしたらいいのぉー!!






何とか力の抜けてしまった足に動く様に命令を送り無事に電車を降りた私だったけれど、力らなくふらつきながら歩きつつ、当然ながらいつもより歩くペースが遅くなってしまい、周りは暗くなった空間を街灯が照らしていて、私と同じように電車を降りた人やそれ以外に歩いている人達が次々と私の隣を通り過ぎていく。
思いもよらなかった桐野君の行動はかなりのダメージを私に与えている。
決して嫌だったわけではない、と、思う。
そんなことを考える暇もなかったんだから当然だけど。
嫌よりも驚きの方が強かっただけに、私の思考回路は混乱をきたしていた。
とりあえず頭の中を整理しなければいけない。
桐野君は私が好き。
それはいつから?
どんなところを好きになってくれたの?
ううん、そんなことよりも、私は桐野君が好きなの?
好き、そんなこと今まで考えたこともなかった。
人として桐野君のことは大好きだって胸を張って言える。
でも、恋愛感情込みでは?なんて聞かれても考えていなかったことを問われても答えることができない。

とりあえず家に帰ろう。
色々考えるのはそれからだよね。

グルグル回る頭の中は思考回路が繋がらず、私は考えることを逃避することにして、家までの道のりを歩き続けた。
家に着くと明かりはまだ点いていなくて、誰も帰ってきていなかった。
階段を昇り自分の部屋に着いて電気をつけた後、制服のままベッドに倒れこむ。
近くに置いているぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ、中断させていた考えを再開させるけれど、今まで考えたこともないものを訳が分からないまま考えるということはかなり無謀だったらしく、結局何でだろうという考えしか私の頭の中には浮かんでこない。
『俺を好きになって、優美』
そんなセリフ、ドラマだけで言われるセリフだと思ってた。
まさか自分に言われる日が来るなんて。
好きになってと言われても、桐野君をそういう対象でみたことないし、桐野君以外でもそういう対象でなんてみたことないんだから好きになってと言われてもどう好きになればいいのか分からない。
そもそも人を好きになるってどうしたらできるんだろう。
よく考えてみたら今まで私には好きな人と言える人はいなかったように思う。
高校生としてそれってどうよ、なんて紗和子ちゃんに突っ込まれちゃいそうだけど、それが本当のことなんだと改めて自覚してしまった。
好きになる、みんなはどうやって好きな人ができるんだろう?
分かんないよ〜。






「優美、優美っ。
ご飯出来たって言ってるでしょ。
また制服着たまま寝て、しわになっちゃうわよ。」
いつのまにか眠っていた私の頭の上でお母さんの声が聞こえ、ゆっくりと閉じていた瞼を開ける。
急に入り込んできた電灯の光にしっかりと目を開けることはできなくて、しかめっ面になりながらお母さんの顔を見ると、呆れ顔になっているお母さんがベッドの横に立っていた。
「ほら、ご飯出来たんだから着替えて降りてきなさい。」
そう言ってお母さんは部屋から出て行ってしまった。
お母さんが出て行った後しばらく身体を動かすことが出来なかった私だったけれど、眠っていた頭が少しずつ覚めてくると身体も自然と動き出してもそもそと着替えを始める。
着替えも終わり、お母さんに言われていた夕食の時間だということで下に降りると、テーブルの上には料理が揃えられていて、自分の席に腰かけた後箸を持ち黙々と口に食べ物を運んだ。
色々考えすぎた割にはしっかりとお腹は空くらしく、用意されている食事はしっかりと平らげてしまい、お母さんに話しかけられてはいたけれど上の空で返事をしていた。
その後お風呂に入った私は自分の部屋へ戻って再びベッドに倒れこむ。
結局考えがまとまらないまま時間だけが過ぎていっている。
そんな自覚はあるけれど、やっぱりどう考えればいいのかがまったく分からない。
好きなのか嫌いなのかを考えればいいのか、好きになれるのかを考えればいいのか。

好きにはなっているんだからそれでいいのかな?
でもそれは友人としてなんだけど。
桐野君はそれを求めてたのかな?
そうかもしれない。
私が深く考えすぎてただけかも。
好きにもいろんな種類があるわけで、桐野君が言った言葉も私が深く考えすぎていただけで、恋人的な意味合いはないのかもしれない。
だって、私のことをそういう風に思ってたとは思えないし。
桐野君は今までそんな素振り見せてなかったもの。
そっか、そうだよね。
明日桐野君に好きだって伝えよう。
でも、桐野君何で私が桐野君のこと好きじゃないと思ったんだろう?
あんなに優しい人好きにならないわけないのに。
賀谷西とは違っていい人だもん桐野君。
そうだよねー、何でこんなに悩んじゃったんだろう。
答えは簡単だったのに、深く考え過ぎちゃったよ。

自分の中で答えが出たことでスッキリした私は、身体を起こし満足のいく答えを導いた自分を褒めてやりたくなっていた。
すると、バッグの中から音楽が流れてきて着信を知らせる。
取り出すと番号の通知が表示されていた。
私に電話がかかってくるのは紗和子ちゃんと家族くらいなので、登録している数も限られているわけで、今かかってきている電話はいったい誰なのか全く分からない。
誰からの電話か分からないのをとるのは勇気がいるもので、このまま放置しておこうかと思ったけれど、鳴りやむ様子がない。
仕方なく通話ボタンを押した。
「はい。」
「俺だ。」
「はい?」
「賀谷西だよ。」
「はい!?
な、何で!?」
「何がだよ。」
「何で私の携帯の番号を賀谷西が知ってるのよ!」
「俺に優美のことで知らないことはないからだ。」
「意味分かんないんですけど。」
「優美、今から出て来い、話したいことがある。
家の近くに公園があるだろ?
今そこにいるからすぐに出て来いよ。」
「そんなこと急に言われても無理だよ。」
「無理?
俺が出て来いって言ってるのを無理だって?」
「お、脅したって無理なものは無理なの!」
「色々言ってる間に出て来いよ。」
「行かないからね私。」
「来るまで待ってるからな。
まさかいつまでも俺を待たせるような冷たいことはしないよな、優美は。
じゃ、待ってるぞ。」
賀谷西は言いたいことを言った後通話を切った。
私が行かないという言葉をまったく無視して。

なんなのよ!
突然電話してきたかと思ったらこんな遅い時間に出てこいだなんて。
行かないんだからね!!

通話が切れた状態の携帯電話を握りしめながら勝手な賀谷西の言葉に腹を立てていたけれど、来るまで待つと言われてしまうとどうしようかという気持ちになってしまう。
不本意ながらも待つと言われているのを無視することが出来ずにお母さんに散歩してくると伝え家を出て、賀谷西が待っていると思われる公園まで出かけた。





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