続Loveliness Yo


1.悪夢再び?


何で?どうして?

私の頭の中でグルグル回る言葉。
それもそのはず、いるはずのない人物に会った上に、ありえない展開。

何で賀谷西がいるのよー!!
しかも、同じクラスですって?
冗談じゃないわよ!
私のバラ色の高校生活がなくなっちゃうじゃないの!!

「紗和子ちゃん、どうしようっ。」
私はパニック状態から意識を取り戻したけれど、パニックになっているのは変わりがなく、ポンポンッと肩を叩く紗和子ちゃんと向き合い、両腕を掴んで瞳を潤ませながら必死に訴える。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、冷静なまま私の手を自分の腕から外し、再び肩を叩く。
「さっきも言ったけど、私から言える言葉は1つよ、頑張って。」
「紗和子ちゃん冷たい。」
「平和主義者なのよ私。」
「親友のピンチなのに。」
「親友だからこその助言よ、ほら、早く教室いかないと。」
涙目になっている私の手を引き、紗和子ちゃんは教室へと向かう。

えーん、紗和子ちゃんのバカー!

八つ当たりを込めた私の叫びなど気にすることなく、紗和子ちゃんは変わらない足取りで私を連れ去ってしまった。












どうして、賀谷西とこんなに席が近いのでしょうか・・・・。
それは、私と賀谷西の名字があいうえお順で近いからです!
神様っ、どうして私は木村という名字なのでしょうか!!
今すぐ名字を変えてしまってくださいっ。

教室に入った私は、紗和子ちゃんとは微妙な距離で離れているのに、何の因果か賀谷西とは近い席になるという不幸を目の当たりにしていた。
ラッキーと言っていいのか、何とか隣の席は免れたけれど、私の前には賀谷西が座っている。
どういうわけか、男女が交互に座るようになっていて、運悪く賀谷西は私の前の席だ。
素直に男女1列ずつに並んでくれればいいのにと思わずにはいられない。
自分の不幸が身にしみてしまう。

このまま賀谷西の頭を思いっきり殴りたいっ。

そんな衝動に駆られる私に、
「初めまして。」
と、隣に座る男の子が声をかけてきた。
黒いことを考えている最中だったので、突然のことに反応が出来ないでいると、
「どうしたの?泣きそうな顔してるみたいだけど。」
柔らかな微笑みをみせながら聞いてくる隣の席の男の子。
賀谷西のせいで心が荒んでいる私には、オアシスのような爽やかさをまとっているとしか思えなかった。

うっ、うれしい!
私に優しく話しかけてくれる人がいるなんて〜。

中学時代では考えられなかったことに、今度は嬉し涙が流れてしまいそう。
「ううん、どうもしない。
ありがとう、心配してくれて。」
「そう?」
「うん。
私、木村 優美っていうの、あなたは?」
「桐野 東(きりの あずま)だよ、よろしく。」

はー、爽やかさんだ〜。
しかも、カッコいいなこの人。
そんな人が私の隣の席だなんてうれしいかも。

私は声をかけてくれた桐野君の笑顔に暗くなっていた気持ちを浮上させてもらい、自然と笑顔になる。
現金な気がしないでもないけれど、不遇の中学時代を過ごしていたのだからこのくらい許してほしい。
中学時代は、私をからかう賀谷西としか話をしていないと言ってもいいくらいなのだから。
「おい、ジャイ子顔にやけてるぞ。」
浮かれている私の気持ちを打ち砕く悪魔の囁きが聞こえてきて、私の身体は条件反射のようにビクッとなってしまった。
桐野君の方を向いていた私は、悪魔の囁きが聞こえた方にゆっくりと顔を向ける。

バカバカッ、どうしてこっち向いちゃうのよ私!

呪いの言葉を口にした悪魔は、ムッとした表情を隠すことなく私の顔を見ている。

そうよ、賀谷西がいるんだから浮かれてる場合じゃないのよっ。
きっとこいつのせいで私は不遇の高校時代を過ごすことになるんだわ。
さようなら、私のバラ色の高校生活・・・・。

さっきまでの幸せな気持ちから一転、不幸街道まっしぐらになってしまった私は、賀谷西を見つめたまま顔を動かすことも出来ず、動きを止めてしまっていた。
「おい、ジャイ子、調子に乗ってるんじゃないぞ。」
「女の子にジャイ子はないんじゃない?」
「あん?
ジャイ子をジャイ子と言って何が悪い。」
「木村さんのどこを見てそう言ってるのか僕には分からないよ。」
「桐野君っ、ありがとう!」
賀谷西に対して、私を守ってくれる発言をしてくれる初めての人、そう思うだけで感激してしまった私は桐野君の手をぎゅっと握り、感謝の気持ちを伝える。
親友の紗和子ちゃんさえも見捨ててしまった私のことを助けてくれる人がいるとは思ってもいなかった。
もしかしたら、私のバラ色の高校生活は終わってないのかもしれないかと思うと、桐野君の手をギュっと握りしめてしまっても仕方ない行動だと思う。
「積極的だね、木村さん。」
ニッコリ微笑みながら私の手を握り返す桐野君。
「おい!いつまで握ってんだよっ。」
そう言って私達の手を外そうとする賀谷西に、私は反論する。
「ちょっと!やめてよっ。」

味方がいると思ったらなんて心強いんだろう。
中学時代は言い返すこともできなかったのに。
味方万歳!

桐野君の手を握ったまま反論する私に賀谷西は、顔が怒りの表情となってきて、やばいっと思わせるには十分だった。
すぐに手を離さないといけないと思った私だったけれど、桐野君の手が離れてくれなくて、結局私達は手を握ったままになってしまい、賀谷西の怒りがピークになろうとしていた。
「無理じいするのはよくないと思うよ。」
賀谷西の表情を見ても動じない桐野君に驚きつつ、この場をどうしようかと思っていると、
「はいはい、そこまでにしときなさいよ。
ほら、周りが何事かって注目してるんだから。
賀谷西君は席に着いて、桐野君とやらも優美の手を離して。」
険悪な空気になっていた所にやって来たのは、無関心を決め込むつもりだと言っていた紗和子ちゃん。
「紗和子ちゃんっ。」
嬉しい佐和子ちゃんの登場に、思わず抱きつく私。
「優美も何で面倒な人ばかり惹きつけるんだか。
これじゃほっとくこともできないじゃないの。」
「面倒な人?」
「分からないならいいわよ。
じゃ私は席に戻るから、大人しくしてなさいよね、男2人。」
キッと賀谷西と桐野君に冷たい視線を投げつけ立ち去る紗和子ちゃん。
「小姑か、あいつは。」
「面倒ねぇ、僕のせいじゃないと思うんだけど。」
立ち去る紗和子ちゃんに言っているのかそうじゃないのかはっきりしないけれど、男2人がブツブツ何か呟いて、意味が分からない私は首を傾げるしかなく、そうしている内に先生がやってきてしまい、今までの騒ぎはなかったかのような状況を迎える。
そんな中、ムッとした表情のまま前を向く賀谷西と微笑んだまま私を見ている桐野君の表情に差があって何だか可笑しくなってしまったけれど、これは嵐の前の静けさだったのだと気づくのは、もう少し先の話。







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