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家に帰ってからの私は、学校見学で会った男の人のことが頭から

離れなかった。

そして数日が過ぎても、私の頭の中から男の人の姿が消えることは

なく、消えるどころか私の中で、男の人にまた会いたいという

気持が強くなっていた。

そうなれば、可奈から言われた男の人に一目ぼれをしてしまったと

いうことを認めないわけにはいかなくなってしまった。

そして私の足は、学校が終わると学校見学に行った学校に毎日

向っていた。

私はそこで、まるでストーカーのように男の人が現れるのを待ち、

男の人の顔を見かけては、顔をふにゃふにゃにさせながら胸を

ドキドキさせていた。

そんな私の様子を見かねて可奈が、男の人の情報を集めてくれた。


名前は中野 透。

彼女はなし。

高校1年生で、成績優秀で生徒会書記をしている。


などなどの情報を可奈は私に持ってきてくれた。


彼女はいないのかぁ〜。

これはチャンス?

でも、銀縁メガネが良く似合って凛凛しい顔をしているんだから、

彼女なんてすぐに出来ちゃうよね。

・・・そんなの嫌っ!

誰か他の人の物になるなんてっ!!


私はやっと名前を知ることができた男の人をただ見つめている

だけなんて嫌で、冷やかしで行ったはずの高校に入るべく、猛勉強

を始めた。

学校の先生からは無理だと言われたけど、猛勉強のお蔭で今の高校・

中野さんと同じ高校に入ることができたのだった。





私が入った高校は、1・2年生が主体となり生徒会を行っている。

なので、2年生の中野さんは生徒会長に立候補した。

私は、何か接点になることがないかと思っていたので、はりきって

書記に立候補したのだった。

でも、成績がいいわけでもない私が当選するのはむずかしく、

どうしようと思っていた。

運命の日、演説の順番が回ってきた私は緊張していたためか、

とんでもないことを演説で言ってしまった。

「私は成績はあまり良くありませんが、やる気だけはあります。

そして大好きな中野さんの役に立ちたいんです。

どうか私を書記にして下さい。」

と、全校生徒の前で思いっきり告白していた。


私は全校生徒の前でなんてこと言っちゃったの!?

しかも中野さん目見開いちゃってるよ。

そうだよねぇ、でも、私の口は止まらないんですよ〜。


私は小さい頃から緊張がピークに達してしまうと、自分の口から

言うつもりがなかったことを言ってしまう癖がある。


だからってこんな時にまでそんな癖がでちゃうなんて!!


私はなるようになれ!と思って、

「そういうことで、よろしくお願いします。」

と言って、自分の椅子に戻っていった。

その間に全校生徒の笑い声が私の耳に入ってきた。


笑われてるし!

中野さんの顔が見れないよ〜。


椅子に戻った私は顔を下に向けたまま、そんなことを考えていた。



投票結果はその日に発表され、私は目出度く書記に当選した。

それも、かなりの得票数だったらしく、投票の紙には「がんばれよ」

とか「面白かったよ」とか書かれていたらしい。

私の滅茶苦茶な演説がみんなにうけたらしいと後から選挙委員の人から

いわれてしまった。

経緯はう〜んと言ってしまいたくなるような経緯だったけど、とりあえず

私は目的だった書記になることができたのだった。





目的通り書記になり、中野さんとお近づきになれた私は早速、生徒会役員

の初顔合わせの時に、改めて告白した。

「中野さん、私あなたのことが好きなんです。付き合ってください。」

顔合わせも終わり、みんなが帰っている時、中野さんも帰ろうとしていた

時に告白をした。

そんな私に中野さんは、私の方を向いてくれたと思ったら、無表情のまま


「嫌だ。」


そう言い残して立ち尽くしている私の前から消えて行ってしまった。

そんな私に、残っていた役員の人達が、肩をポンポンと叩いて慰めようと

してくれたり、「諦めるんだな、アイツは誰とも付き合う気はないらしいから」

と優しい言葉をかけてくれたりしてくれた。

みんなが慰めてくれる中、立ち尽くしていた私が思っていたことは、


私の告白が一言で終わり?

そんな・・・。

私の恋はどうなるのよっ。

私の気持ちは嫌だって言われて終われるほど簡単な気持ちじゃ

ないんだからっ!!

今誰とも付き合う気がないと誰か言ってたわよね。

今はそうでも、これから先のことはわかんないわよねっ。

見てなさい、一目惚れの上に初恋の私の気持ちを絶対受け入れて

もらうんだから!!


私は、これからも中野さんに告白していくことを誓った。

誓いながら、ふふふ、と怪しげな声を出している私に役員達は、

今まで慰めてくれていたのに、すでに私から離れて遠い所で

笑い出した私の様子を怯えた様子で観察していた。





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