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私は生まれて初めて一目惚れというものを体験した。

一目惚れの瞬間は突然訪れ、私の頭の中は彼のことでいっぱいに

なってしまった。





今日は、生徒会の日。

書記の私は、生徒会室まで駆け足で向かっていた。


やっと生徒会の集まりだよ。

私がどんなに待っていたかこの日をっ。



生徒会室に着き、扉を開けるとすでに生徒会長・中野 透

(なかの とおる)がいた。

生徒会長は銀縁メガネをかけていて、凛凛しい顔つきをしている。

しかも、生徒会長をしているだけあって、成績はいつも学年トップ。

そんな人がもてないわけはなく、よく告白をされているみたい。

でも、どんなにきれいな子から告白されても付き合ったことはない。

理由はいつも、「忙しくて付き合う余裕はないから」ということを

言っているみたいだ。

確かに生徒会と勉強で忙しいのかも。

でも、もしかしたら誰か好きな子でもいるんじゃないか、ということ

で告白した子達は結構聞いたりしているみたいだけど、好きな子も

いないといつも言ってるらしい。

高校生なのに恋愛に興味がないのはどうなの?と思ってしまうが、

本人がそれでいいと思っていることを周りがいろいろ言えるはずもなく、

生徒会長はいまだに彼女はいないままになっている。



何故私、水口 明日香(みずぐち あすか)が生徒会長のことを詳しく

知っているかというと、生徒会長が有名だからというわけではなく、

生徒会長は私が恋をしている人だからだ。





あれは私が親友の宮元 可奈(みやもと かな)と中学3年生の時、

高校の学校見学で、今通っているこの学校に来たときのこと。

私と可奈が校舎の中を見学した後、玄関で靴に履き替えていた時に、

1人の男の人が私達の前を通った。

私は何気なくその男の人の顔を見た後、その人から目を離すことができ

なくなってしまった。

しかも、身体が地面に縫い付けられてしまったかのように動けないし、

身体に電気が走った。

次第に胸もドキドキしてきてしまった。

私の様子がおかしいことに気付いた可奈が怪訝そうな顔で声をかけて

きた。

「どうしたのよ。急に動きが止まったらビックリするじゃないの。」

「へ?そうだよね。でも、何だか変なんだもん。」

「何が変なのよ。確かに変ではあるけど。」

「急に身体が動かなくなって、電気が体中に走って、そうなったかと

思ったら、胸がドキドキしてきたの。」

「は〜?何で急にそんなことになるのよ。」

「わかんないよぉ。

向こうに見える男の人見たらそんな風になっちゃったんだもんっ!」

「男の人?ははあん、わかったわよ明日香。何で明日香がそんな風に

なったのか。」

「ホント!?何でこんな風になったの私!」

「何でそんな風になったのかというと、明日香はあの男の人に一目惚れ

しちゃったのよ。」

「一目惚れっ!?」


一目惚れってあのマンガとかドラマでみるあの一目惚れですか!!

まさか〜、私がそんなこと・・・。

でも、そう言われればこの状況は、一目惚れをする状況の時に表現されて

いる症状と同じ!!

でも、私が一目惚れするなんて!

今まで好きな人なんかできたこともないのに!!


可奈に言われて私の頭の中はパニック状態になってしまった。

すると可奈は、ニヤニヤしながら聞いてきた。

「一目惚れという自覚は出てきたのかな?」

「自覚だなんて、そんな一目惚れなんてありえるの?」

「そういうこともあるんじゃないの?

世間で言われている一目惚れの症状と同じなんだから。

それよりも、彼のことこのままでいいの?」

「このままでいいのかなんて言われても、どうしたらいいのか

わかんないよぉ。」

「分からない時は行動することよ。このままだったら彼のことを

見失っちゃうわよ。そうなったらこのまま会えないかもしれないのよ、

明日香はそれでもいいの?よく考えてみなさいよ。」

可奈に言われ、私はどうしたいのか考えた。


それでいいのかって言われても・・・。

私はどうしたいんだろう・・・。

そんなのわかんないわよぉ。


私はどうしたらいいのかまったく考えることができないでいた。

私が悩んでいる間に、問題の男の人は私達の前から見えなく

なっていた。





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