嫌い嫌いも好きのうち

焼き鳥屋でされている会話など露知らず、私はトボトボと歩いていた。


あーあ、今頃奈々枝と楽しく飲んでたはずなのになぁー、なんで、1人で歩いてんだか。


私の中で初めて感じたどす黒い物は、今だに私の中にある。






そんなことを思っていると、腕を誰かに掴まれた。
えっ、なんで腕掴まれるの?
と思い、振り返ると、さっきまで奈々枝と楽しそうに話していた佐藤が私の腕を掴んでいた。


なんで!?


と佐藤が私の腕を掴んでいることにパニックになり、佐藤の腕を振りほどくと私は走り出していた。
「ちょっ、何で走るんだよっ!」
後ろから佐藤の叫び声が聞こえるけど、
パニック起こしている私には、そんなことよりも、佐藤のそばを離れなきゃという思いが強くて、走り出していた。
そんな私の後を何故か佐藤が追いかけてきていた。


なんで、追かけてくんの?
奈々枝と仲良く話してたじゃない。
それなのになんで?
どす黒いものが、また私の中でどんどん増えてくる。苦しい。なにこれ?


そんな状態で走っている私の後ろを、佐藤が追いかけてくる。








「おい!なんで逃げるんだよ。待てよ、お子ちゃま。待てって、倖!」
と佐藤が叫んでいる。


えっ、今なんて言ったの?


と考えていると、走るスピードが落ちた私に佐藤が追いついて、今度は腕を掴むのではなく、抱きしめていた。
「やっと、捕まえたぞ倖。もう逃がさないからな。」
と佐藤は強く私を抱きしめながら言った。
私は、何が起こっているのか分からず、抱きしめられた状態のままになっていた。
「ったく、なんで逃げるんだよ。疲れるだろうが。」
と、私を抱きしめた状態のまま佐藤が言った。
次第に私の頭の中もクリアーになってきて、現状把握が出来てきた。




「ちょっとっ、離しなさいよ!奈々枝と仲良く話してたんでしょ。早く戻んなさいよ!」
と、私は、佐藤の腕の中から抜け出そうともがきながら言った。
「何だ?お子ちゃまは焼きもち妬いてんのか?」と佐藤はうれしそうに言っている。


何がそんなにうれしいのよっ。


私は、早くここから抜け出したくて、もがき続けていた。
「本当にお子ちゃまには困ったもんだ。お前は俺に惚れてんだから、大人しくしてろ。」
と佐藤はわけが分からないことを言い出した。
「何わけ分かんないこと言ってんのよ!そんなわけないでしょっ。いいから離しなさいよ!」
「いい加減認めろよ、お前は俺に惚れてんの。じゃなんで急に店を飛び出したんだよ。言ってみろ。」
佐藤はいつになく真剣な顔で聞いてきた。


何で真剣な顔なのよ、えっ、なんかドキドキしてきたんですけど。


佐藤の真剣な顔を見てドキドキしてきた私は、今までもがいていたのが嘘のように静かになっていた。
「なんでって、何かどす黒いのが溜まってきて苦しかったんだもん。」私はうつむきながら答えた。
「じゃ、それは何時から溜まってきたんだよ。」


何時から?改めて言われると・・・。


「佐藤と奈々枝が話し出してから?」と答えると佐藤は笑い出した。
「ちょっと、人が真面目に答えたのに、何で笑うのよ!」


そうよ、何で笑うのよ、そんなおかしいことなの?なんかだんだん悲しくなってきちゃった。


私は涙目になりながら、佐藤の顔を見た。すると佐藤が慌てたようにまた私を抱きしめた。
「悪かった、笑ったりして。でも、倖お前も悪いんだよ。それが俺に惚れてる証拠だよ。
お前が感じたのは、焼きもちだよ。俺が倖の友達と仲良く話すのが嫌だったんだよ。
ったく、俺はお前に惚れてんのに何で気づかないかな。」
と、今まで抱きしめていた私を少し離すと、
佐藤は今まで見たことない優しい顔で私のことを見ていた。


えっ、佐藤が私に惚れてる?
それってどういうこと?


私が、溜めていた涙も引っ込んでしまうくらい驚いていると、優しい顔で、
「俺は、倖お前に惚れてるよ。おまえは?」と聞いてきた。


私は?
私は佐藤のことどう思ってる?


そんなことを頭の中でグルグル考えていると、さっきまで私のなかにあったどす黒いものが、消えていっているのがわかった。


あれ?なんで?そういえば、佐藤が私は焼きもち妬いてるといっていた。
このどす黒いものが、焼きもちだったんだろうか?
それが薄れているということは、佐藤から私に惚れていると言われてことがうれしいの?


考えがまとまりだした所に私に佐藤が痺れを切らして聞いてきた。
「どうなんだよ。惚れてんだろ?早く認めろよ。」
「うん、惚れてる。」
私は、これでもかというほどの笑顔で答えた。
すると佐藤は、また私のことを強く抱きしめた。
「やっと認めたな。もうお前は俺の物だからな。」
「うん。」
そう答えた私に佐藤はキスしてきた。


えっ、今キスされてんの?私。
と思っていると、佐藤の舌が私の歯の間を抜けて入ってきたかと思ったら、私の舌に絡まってきた。


んっ、なにこれ!舌で歯列をなぞられたり、舌を吸われたりしている!


「んっ、やぁ・・ん、はぁ」


なに!何か私喋ってる!?しかも、膝笑ってガクガクしてるんですけど!


唇が離れると、私は1人で立つことができず、佐藤に支えてもらう状態になっていた。
「ゃ・・。立てないよぉ、佐藤〜。」
私は、支えてもらいながら、自分の今の状態が把握できず、佐藤の顔を見上げていた。
「おい、そんな顔で見られたら、止められねーぞ。いいのか?このままお前を俺の物にしても。」


佐藤がなんか切なそうに私のこと見てる?


「いいよ。佐藤の物にして?」と私は答えていた。
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