嫌い嫌いも好きのうち

なんとか佐藤の領収書の処理が終わった私は、待ち合わせの場所に急いだ。
今日は久しぶりに高校の時の同級生武藤奈々枝(むとうななえ)との食事の約束をしている。
奈々枝は看護師をしているので、勤務が不規則なせいでなかなか会えない。
今日は金曜日だし、お互い明日は休みということで、食事に行くことになったのだ。
早く奈々枝に会ってこの怒りを聞いてもらわねば!と早足で奈々枝との待ち合わせ場所に向かうと、
奈々枝はすでに待ち会わせの場所に着いていた。







「遅いぞ、倖。お腹空いたよ私は。」
と笑いながら奈々枝は言った。
「ごめんねー。もう少しで仕事が終わるって時に、佐藤のでか男が仕事持ってきたせいで遅くなっちゃった。」
私は、両手を合わせて頭を下げながら奈々枝に言った。
「お疲れ様。早く入ろ。焼き鳥食べるの久しぶりだから楽しみにしてたのよ、私。」
奈々枝は、私に手招きしながら、焼き鳥屋に入ったので、私もその後に続き中に入っていった。




奈々枝は165cmと私より高く、姉御肌な性格だ。聞き上手だし、お姉様と言いたくなるような美人で、看護師に合っていると思う。
そんな奈々枝は、22歳で看護師になり、今は、3年目の中堅と言われるポジションらしく、後輩の指導係をしているみたい。
たまには気晴らししないといけないということで、時間が合う時は、よく遊んだりしている親友なのだ。




椅子に座るとすぐに店員さんに「生2つ」と奈々枝が注文してくれたので、私は、メニューを見ながら注文する食事を決めていた。
注文が終わると、飲み物が先にきたので、「カンパーイ。」と飲みだす私達の前に、次々と、食事が並べられた。



「はー、焼き鳥はビールに合うわねー。」
と奈々枝は言いながらおいしそうに焼き鳥を食べていた。
私もそれにつられてか、ビールもドンドン進み、食事も進むといった状態だ。
お互い明日は休みなので、仕事を気にせず飲めるというのはうれしい。私も奈々枝も結構お酒には強いほうなので、お互い負けじと飲んでいる。
「で、今日は何があったのかな?倖ちゃんは。」
と奈々枝が聞いてきた。


そうだった。奈々枝に聞いてもらおうと思ってたんだったわ。


「もう、今日も佐藤のでか男がね・・・。」と話始めると、何故か、目の前が薄暗くなった。
あれ?と思い、顔を上げると、今話をしようとした男の顔が見えた。






「なんであんたがこんなとこいるのよ!」
と、私の目の前を薄暗くさせていた佐藤に言った。
「明日は休みだから飲みに行こうってなったんだよ。」
と佐藤はにやっと笑っている。
佐藤の横には一人の男の人が立っており、よく見ると、同期の神崎君だった。
「やっぱり、男じゃねーじゃないか。すぐわかるような嘘ついてんじゃねーよ。」
と神崎君の存在に気づいたばかりの私に、佐藤はニヤニヤしながら、
「ふん、だから何だってんだか。佐藤こそどうしたのよ、誘って欲しがってる女の人が多いんじゃなかったかしら?」
「今日は、克巳(かつみ)と約束してたんだよ。」
そんなやりとりをしていた私達に、
「倖、そろそろ紹介してくれるかな?」
と奈々枝がにっこりと私達の終わりそうにない言い合いに入って言った。
「そうだね、とりあえず紹介だけでもしとこうか。感じが悪い方が佐藤で、感じがいい方が神崎君。こちらが高校の同級生の武藤奈々枝さん。」
と自己紹介をすると、お互いに初めましてとか言ったりしている。
「それはそうと、なんで俺だけ呼び捨てなんだよ。おかしいだろ、普通。」
「なんであんたを君づけで呼ばないといけないんだか。でか男には呼び捨てで十分だっての。」
「本当にお子ちゃまはかわいくないんだからなぁ、そんなんじゃ嫁の貰い手もないんじゃねーか?」
と佐藤は神崎君に同意を求めるように「なぁー」と言いながら、神崎君に話を振っていた。
神崎くんは、肩をすくめながら、「さあな」と答えている。
なんだとーっと言いかえそうとすると奈々枝が、
「まー、とりあえずお2人さん座りませんか、良かったら一緒に飲みません?
会社での倖の事も聞きたいことだし。」
と、笑顔で言ったかと思うと、椅子を後ろに引き、立ったままだった2人に座るように促した。
「ちょっと、何で誘うのよ」
と私が不満そうにいうと、奈々枝は、
「まーまー、話をしてみたくなったのよ、倖がいつも悪口を言ってる佐藤君と。」
奈々枝は、にこっと笑いながら、言った。


なんだかな。奈々枝がこんなふうに笑うときは、何か企んでる時なんだけど。
なに企んでるんだか・・・。

はぁーとため息つきながら考えていると、
「じゃ、一緒に飲みましょうか。」
と笑顔で言いながら、佐藤は私の隣に座り、神崎君が奈々枝の隣に座った。
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