-6-



「さーて、こんなもんかな。」

私は作った夕飯を前に言った。


プリンも今冷蔵庫で冷やしてるし、ご飯食べ終わったくらいにいい感じ

に固まってくれてるだろうし。

潤一郎先生おいしいって喜んでくれるかな?


いざ潤一郎先生に作った物を出すとなって、潤一郎先生の口に合うか

どうか気になってしまい、ドキドキしてきてしまった。

「「まことちゃんできた?」」

夢と愛がパタパタと足音をさせながら台所に入ってきた。

「うんできたよ。じゃ食べようか、お腹空いたでしょ?」

「「うんおなかすいた!はやくたべよ!!」」

夢と愛は可愛い笑顔で返事をした後、潤一郎先生の所にパタパタと走って

いき、夕飯ができたことを伝えている。

「じゅんいちろうごはんできたって。」

「まことちゃんがつくったごはんはおいしいからしっかりたべろよ。」

潤一郎先生は夢と愛の話をニッコリと笑いながら聞いた後、

「出来たのならテーブルに出すのを手伝いましょうね。」

そう言って立ち上がると、台所に入ってきて盛り付けたお皿を持って

いこうとしてくれる。

「潤一郎先生いいですよ。私やりますから。」

「これぐらいさせて下さい。それにみんなで料理を出したら早く食べられる

でしょ?折角作ってもらったんだから、早く食べたいんですよ。」

潤一郎先生はそう言って、パパッとお皿をテーブルの上に出してくれた。





テーブルに全ての料理をのせてみんなで椅子に座った後、いただきますと

言って食事を始めた。


はー緊張が強くなってくるよぉ。潤一郎先生おいしく食べてくれるかな?


潤一郎先生においしく食べてもらえるのか気になって、私は自分の料理に

箸をつけずに潤一郎先生の方をじっと見ていた。

潤一郎先生は、ゆっくりとハンバーグを口の中に入れると、ニッコリ笑って

私の方を見た。

「とってもおいしいです。真琴ちゃんは料理が上手なんですね。久しぶりに

こんなにおいしいご飯を食べましたよ。」

「潤一郎先生いつも夕飯はどうしてるんですか?」

「いつもコンビニ弁当なんですよ、料理はできないのでね。だから今日は

本当にうれしいですよこんなおいしい夕飯が食べられて。誘ってもらって

良かったですよ。」

「そんな、おいしいだなんて。でも、潤一郎先生のお口に合って

良かったです。」

私は潤一郎先生においしかったと言ってもらってうれしくて、笑顔で潤一郎

先生と話を続けた。

「きょうもおいしいよまことちゃん。はながためだまやきもかわいい。」

「じゅんいちろう、およめさんにするならまことちゃんみたいなりょうり

じょうずなこがいいとおもうぞ。」

「そうそう、まことちゃんはおすすめだよ。」

夢と愛はニコニコと笑いながら、潤一郎先生に言っている。


ちょっとっ、2人共なんてこと言ってるのっ!

私がおすすめだなんてっ。そりゃー潤一郎先生のお嫁さんになれるなら

なりたいけど、まだ気持ちも伝えれてないのにお嫁さん以前の話よ。


夢と愛の話に動揺しながら2人に、何言ってるのよ。と言うと潤一郎先生が、

「そうですね。お嫁さんにするなら真琴ちゃんみたいな料理上手な人が

いいですね。」と、ふんわり優しい笑顔で答えた。


潤一郎先生、お嫁さんにするなら私でもいいって事ですか?それとも

ただ料理上手な人だったら誰でもいいってことですか?

読めない、潤一郎先生の表情読めないよぉ〜。


潤一郎先生の発言に動揺して考えがまとまらなくなり、料理も箸が

進まないでいると、

「たっだいま〜!お母様のおかえりよぉ〜!!」

と、お姉ちゃんがいつもと同じテンションで帰ってきた。





「お腹すいたぁ〜、真琴ご飯早くぅ〜。」

そう言いながらお姉ちゃんが私に擦り寄ってきた。

「お姉ちゃんお客さんがいるから・・・。」

「お客さん?」

お姉ちゃんは私に擦り寄るのを中断して顔を上げると、潤一郎先生が

いることにやっと気がついた。

「あら〜、潤一郎先生いつも夢と愛がお世話になってます〜。」

「いえ、今日はご好意に甘えて夕飯をご馳走になってます。」

「そんな夕飯ぐらいいつでも食べに来てくださいよ。真琴がおいしいのを

作りますよ。」

「ありがとうございます。今日のご飯もとってもおいしくて、よろこんで

いた所なんです。」

「真琴ったら、潤一郎先生に食べてもらえるからってはりきっちゃって〜。」

そう言いながらお姉ちゃんは、バンバンと私の背中を叩いてくる。


このままだとお姉ちゃん、よけいなこと言い出しそうっ。


そう思い、お姉ちゃんの腕を引っ張りながら、ちょっとすいませんと

潤一郎先生に言ってお姉ちゃんを台所までつれてきた。

「ちょっとお姉ちゃんっ、潤一郎先生によけいなこといわないでよねっ!」

「何もよけいなことなんて言ってないわよ?真琴の気持ちをお姉ちゃんが

言うわけないじゃないの。」

「ぽろっと言いそうじゃない。」

「こういうことは、第3者が言うと気持ちが伝わりにくいでしょ?

だからお姉ちゃんは真琴の気持ちを言うようなことはしません。」

「それならいいんだけど。」

「まー、真琴が伝えてほしいって言うなら考えちゃうけど。」

「そんなこと言いませんっ!告白する時は自分でしますっ。」

「そ?じゃ頑張んなさい。困った時はお姉様が相談に乗ってあげるから。

それよりも、お腹空いたの。早く私の夕飯作って〜。」

「はいはい、すぐ作るから大人しく待っててね。」

そう言ってお姉ちゃんを戻るように促し、夕飯の準備を始めた。





その後は何事もなく夕飯は進み、デザートのプリンもおいしいです。

と潤一郎先生に言ってもらい、夕飯を食べ終わった。

しばらくして潤一郎先生が帰る準備を始めたので、玄関の外まで

見送ることにした。

「今日はご馳走様でした。」

「いえ、騒がしい夕食になってしまったんですけど。」

「いつも1人で食べているから賑やかなのはうれしいんですよ。それに

真琴ちゃんのご飯はすごくおいしかったですしね。」

「そんなおいしいだなんて。よかったらまた食べに来てください。

毎日来てもらってもいいですよ。」

「さすがに毎日お邪魔するわけにはいきませんよ。でもまたご馳走に

なりに来させて下さいね。」

「はい、いつでもっ。」

私は潤一郎先生にまた夕飯が作れるかもと思いうれしくなりながら、

潤一郎先生を見送った。

その時潤一郎先生がボソッと何かを言ったようだったけど、浮かれている

私の耳には入ってこなかった。





―真琴ちゃん、大人は狡賢いんですよ。気をつけて下さいね。―





Novel

Next

Back




検索サイトから来られた方は、 こちら からTOPへどうぞ。