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今日は遅くならないようにしないとね。


そう思い、ホームルームも終わってすぐ教室を出ようとしている

私に、クラスでも仲の良い瑛子が話しかけてきた。

「真琴今日も早く帰らないといけないの?」

「うん。甥っ子と姪っ子が私のこと待ってるからね。」

「たまには遊びに行ってからでもいいんじゃないの?」

「そういう訳にはいかないわよ。2人が寂しがるだろうしね。」

「そんなんじゃ折角の高校生活がもったいないわよ?」

「そんなことないわよ。2人のことは好きだから苦じゃないしね。」

私が笑顔で言うと今度は、もう1人の仲の良いすみれがニヤニヤしながら

やってきて言い出した。

「瑛子、真琴は保育園にお目当てさんがちゃんといるんだから、そんな

心配は無用なのよ。」

「お目当て?」

「いつも話しに出てくる保父さんよ。ね〜真琴。」

「そうなの?なんでそんなこと黙ってたのよ。しかもなんですみれは

知ってるのよ。」

そう言って瑛子は私に詰め寄ってきた。


何でって、私すみれに話した記憶ないんだけど。

何で知ってるのかこっちが聞きたいくらいよ。


瑛子に詰め寄られながら、何で知ってるのよという顔をすみれに

向けると、すみれはふふぅんと勝ち誇ったような顔をしながら、

「だって真琴って分かりやすいんだもん。瑛子が今まで気付かなかった

ことに私は驚いてるわよ。あんな好き好きって顔しながらいつも

保父さんの話してたじゃないの。」

「どうせ私は恋愛ごとには鈍感ですよ。このままじゃすっきり

しないわ。詳しいこと聞くまでは帰さないわよっ。」

そう言って瑛子は私の腕を引っ張りながら廊下に出ようとしている。

「ちっ、ちょっとっ!私今からお迎えに行かないといけないんだからっ。

また今度ね。」

そう言って瑛子の腕を振りほどこうとしたけど、瑛子はしっかりと

私の腕を掴んだままで離してくれなかった。

「そうはいかないわよっ。私のもやもやした気持ちがすっきりするまでは

帰さないからねっ。しっかり保父さんの話聞かせてもらうわよ。」

「観念するのね。瑛子は1回言い出したら誰にも止めることはできない

わよ。」

すみれは楽しそうに言いながら、瑛子と一緒に私の手を引っ張って

歩き出した。


なんなのよ〜。私は夢と愛をお迎えに行かないといけないのにぃ。

それに、遅くなったら潤一郎先生とゆっくり話ができなくなる

のよぉ〜。


そんな私の思いをよそに、2人は私の手を引いたまま学校から

連れ出してしまった。




まったくあの2人は。


学校から瑛子とすみれに手を引かれたままファーストフード店に

連れて行かれ、潤一郎先生のことを根掘り葉掘り聞かれてしまった。

早くお迎えに行かないといけないと言っても瑛子は終わらせてくれず、

その様子をすみれが楽しそうに眺めているというような時間が過ぎて

しまった。

やっと瑛子の気がすんだらしく、

「じゃーお迎えに行かないとね。愛しの潤一郎先生にも会わないと

いけないだろうしね。」

と、笑顔で送り出した。


まったく、瑛子もただ面白がってるだけなのよね。すっきりしないとか

言いながら。

それに輪をかけてすみれが面白がって瑛子をはやし立てるから、

瑛子がますますテンション上げて話し出すから、昨日より遅く

なっちゃったじゃないのっ。

なんで私の周りにいる人は、人のことを面白がる人が多いのよっ。


早足で歩きながら2人のことを頭の中で愚痴りながら保育園まで急いだ。





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