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女の人!?何で1人暮らしの潤一郎さんの部屋に女の人が?


私の頭の中には女の人の声がグルグルと回ってしまっていた。

そんな中、インターホンから聞こえてきたのは、

「どちら様?」

という、やっぱり女の人の声だった。

その声に何と答えたらいいのか分からなくなってしまい、呆然と立ち尽くして

いると、

「どちら様?」

と、繰り返し言われてしまった。

その声に引き戻されたように、私はインターホンに向かって答えていた。

「青柳 真琴です。」

棒読みになりながら答えた私に、インターホンの向こう側にいる女の人は、

予想をしていなかった反応を返してきた。

「あら、あなたが噂の真琴ちゃんね。

わざわざ来てくれたのね〜。急いで開けるから早く上がってきてね。」

と、弾んだ声で私の名前を呼びながら言った。


噂の?どういうことだろ?


私は訳がわからないまま開いたドアから中へ入り、潤一郎さんの家のドア

まで向かった。





何で中にいる女の人は、私のことを知っていたんだろ・・・。

それに、潤一郎さんはどうしてるんだろ・・・。

とりあえず、中に入ってみないとどういう状況なのかわかんないもんね。

よしっ!チャイムを押そうっ。


私はチャイムを押そうと指を伸ばすと、押す前に目の前のドアが突然

開いてた。

突然ドアが開いたことにビックリしていると、私の目の前に女の人が見えた。

その女の人は、私ににっこり笑って話しかけてきた。

「いらっしゃい。

あなたが真琴ちゃんね、中に入って入って。」

そう言って女の人は、私の手を引っ張って部屋に上げてしまった。


勢いに飲まれちゃって部屋に上がったけど、この女の人は一体何者

なんだろ?

潤一郎さんとどういう関係なんだろ?

早く聞きたいけど、聞きたくない気もするし・・・。

だって、聞いて恋人です、なんて言われたら・・・。

いやいや、そんなことはないない。だって私が彼女なんだもんっ!

潤一郎さんを信じなくちゃっ。

でも・・・・。


私は女の人に手を引かれたまま、思い切って聞いてみることにした。

「あの、あなたは潤一郎さんとはどういうご関係の方なんですか?」

すると、女の人は立ち止まって私の方を振り返ると、

「あら、私自己紹介もしてなかってわね。

いつも潤一郎から話を聞いてたから初対面だということ忘れちゃってたわ。

私は潤一郎の姉の香澄です。よろしくね。」

そう言ってにっこり私に笑いかけてきた。


潤一郎さんのお姉さんっ!?

そう言われれば、前潤一郎さんと一緒にいた女の人がこの人だったかも。

わーん、潤一郎さんごめんなさーい。


私は自分がすごい誤解をしていたことを恥ずかしくなってしまい、

顔を真っ赤にさせながら、潤一郎さんのお姉さんに初めましてと、

頭を下げた。

「どうしたの、急に顔を真っ赤にしちゃって。」

「いっいえ、お姉さんとは思ってなくて、ちょっと誤解してたんで。」

「あらそうなの?

もしかして私のこと疑っちゃったのね。

それなら悪いことしちゃったわね。

心配しなくても潤一郎は真琴ちゃんに惚れまくってるから心配ないわよ。

あの潤一郎があなたには優しいみたいだし、姉の私もびっくり

してるのよ?」

香澄さんはそう言って私の肩をポンポンっと叩いた。


潤一郎さんが私には優しい?

確かに優しいけど、みんなに優しい潤一郎さんなのに。


私が不思議そうな顔をしていると、香澄さんは楽しそうな顔になりながら、

「真琴ちゃんは知らないかもしれないわね、昔の潤一郎のことは。

じゃ、優しいお姉様が教えといてあげましょうかね。」

そう言って、私を部屋の奥に連れて行きソファーに座らせた。

香澄さんが話し出そうとすると、

「香澄、真琴ちゃんに何を吹き込もうとしてるんですか?」

潤一郎さんがパジャマ姿でドアの所に立ちながら、香澄さんに向かって

言った。

「あ〜ら、さっきまで大人しく寝てたから今のうちに潤一郎のことしっかり

教えといてあげようと思ってたのにつまんない。」

「どうせあることないこと言うつもりだったんでしょうけど、そうは

いきませんよ。」

「そんなあることないことだなんて。

潤一郎が昔はかなり遊んでたとか、女の子をとっかえひっかえしてたとか

本当のことじゃないの。

それが、真琴ちゃんには本気だなんてお姉ちゃんびっくりよ。

潤一郎が本気になることがあるなんてね。」

香澄さんはニヤニヤしながら、潤一郎さんに向かって、私にはかなり

衝撃的な内容の話をしている。

潤一郎さんは、今まで見たことがないにらみ顔で香澄さんを見て、言った。

「そんな話じゃ真琴ちゃんが誤解してしまいます。

これ以上余計なことは言わないで下さい。僕が自分で真琴ちゃんに

話しますから。」

「はいはい、お姉様はこれで退散することにしますよ。

じゃ真琴ちゃん、また会いましょうね。」

そう言って香澄さんはソファーから立ち上がると、私の耳にナイショ話を

した後、じゃあね、と言って帰っていった。





香澄さんが私に囁いていったことは、

「さっきも言ったけど、昔かなり遊んでた潤一郎が、真琴ちゃんを大切に

思ってるのは姉として嬉しいのよ。

これからも潤一郎をよろしくね。」

という言葉だった。

「真琴ちゃん急にビックリさせてしまいましたね。」

潤一郎さんは私の横に座り話しかけてきた。

「そんなことないよ、大丈夫。

それより、潤一郎さんもう大丈夫なの起きても。」

「早めに帰ってきて薬を飲んで寝たんでもう大丈夫ですよ。

それに、真琴ちゃんがお見舞いに来てくれましたしね。」

「そうだ、私おかゆ作るつもりで用意してきたの。

今から作るよ。おかゆ食べれそう?」

私がそう言うと、潤一郎さんはじっと私の顔を見た。

「真琴ちゃん、香澄が言ってたこと気になりますか?」

潤一郎さんは真剣な顔をして私に聞いてきた。


気になる?

気になるに決まってるよ。

だって、私は保父さんをしている潤一郎さんしか知らないんだもん。

私の知らない潤一郎さんのことが知りたい。

そうしないと・・・。


「香澄が言ってたことは本当です。

僕は、学生の頃は女の子から告白されればすぐに付き合ってました。

でも、好きでもない子と付き合っても長続きするわけもなく、別れを

言われて後を追うようなことはありませんでした。

だから、香澄はとっかえひっかえしてたと言ったんですよ。

そんな僕が真剣に好きになった子が真琴ちゃんです。

保育園で初めて会った時は、正直に言うと、真琴ちゃんを好きになるなんて

思ってもいなかったんです。

でも、夢君と愛ちゃんをいつも迎えに来ている真琴ちゃんを次第に

好きになっていったんです。

そして、両思いになることが出来た。

今までの自分の中で、こんなにも恋人を求めたことはなかったんです。

まだ高校生の真琴ちゃんに求めてしまうのは、早すぎる気もしましたし、

我慢してたんです。

でも、僕もまだまだですね。我慢が出来ずにキスマークなんてつけて

しまいました。

僕はこんな奴なんですよ。真琴ちゃんは嫌になってしまいましたか?」

潤一郎さんは私の顔を真剣に見たまま、長い告白をしてくれた。



そんな潤一郎さんを見つめたまま私は思っていた。


潤一郎さんの学生の頃の話は正直ビックリだった。

だって、今の潤一郎さんからはそんなこと想像もできなかったし。

でも、私のことは好きだと言ってくれている。

潤一郎さんがそう言ってくれる気持ちが私はうれしい。

だから、潤一郎さんに私の気持ちをきちんと言わなくちゃ。


私はそう思い、私の顔を見続けている潤一郎さんの頬を手でそっと

触れながら、潤一郎さんに微笑みかけた。

そんな私の行動に潤一郎さんは、少しビックリしたみたいで、身体をビクッと

させた。

「潤一郎さん、昔の潤一郎さんの話は正直びっくりしちゃった。

でも、潤一郎さんが私のことを好きだといってくれた気持ちが嬉しいの。

それに、私も潤一郎さんを好きで、潤一郎さんを求めている。

それは、潤一郎さんと同じ気持ちの求めているなの。

だから、私は潤一郎さんのそばにいたい。」



私は今自分が思っている気持ちを正直に話すことが出来た。

自分の口から正直に気持を話すと、今まで溜めていた気持ちが私の中から

あふれ出しているような気がした。


私は潤一郎さんと一つになりたい。


潤一郎さんは頬に触れている私の手の上に自分の手を重ねてきた。

「真琴ちゃん、こんな僕でもいいんですか?」

「潤一郎さんがいいの。潤一郎さんでないと駄目なの。」

「ありがとう。真琴ちゃんが僕を受け入れてくれてうれしいです。

そして、同じ気持ちでいてくれることがうれしいですよ。」

「私も、潤一郎さんと同じ気持ちでいることがうれしい。」

潤一郎さんは、重ねている私の手を取り、私を引き寄せた。

私は順一さんの胸の中に迎えられ、抱きしめられて私は、

潤一郎さんの温もりを感じていた。



「真琴ちゃん、先に進んでもいいですか?」

「先?」

「そう、先ですよ。先に進んでいいなら場所を移動したいんですけど。」

「場所を移動するってことは・・・、はい。

でも、潤一郎さん風邪引いてるから体調良くないんじゃ。」

「大丈夫ですよ。

さっきも言いましたけど、薬を飲んで休んでいたので大丈夫ですよ。

だから、真琴ちゃんを求めたいんですよ。」

「それなら・・・。」

私は、そう言って潤一郎さんにギュッと抱きついた。

潤一郎さんはギュッと抱きついていた私を立たせると、腰に手を回して

ベッドルームに向かった。





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