17



重なる身体は砦を崩され、城野に反応を示す。
今までは、気づいてはいけない、知られてはいけないと思い続けていたのに。
角度を変え吐息を吐きながら繰り返されるキス。
閉じていた目は少しだけの間離れる唇と同時にうっすらと開き城野の表情をとらえる。
そして、城野も私と同じように視線を向けていることに気づき、自分がどのような表情になっているのだろうという思いが生まれてくる。
そんなことを考えている内にゆっくりと唇は離れ、私と城野の間に少しだけ空間ができるが、視線は絡ませたままだ。
本当はこんなことしてはいけないと分かっている。
私にはアキラさんがいるのだから。
アキラさんを愛している気持ちに変わりはないのに、いつからか城野に惹かれてる自分がいる。
そんな自分が許せないと思いながらも、城野の手を受け入れたいと願っている2つの想いが私の中で交差し苦しめる。
「何を考えている?」
「・・・・このまま流されるままじゃいけない気がして。」
「流されているんじゃない。
自然なことだ。
お互い惹かれあっているんだから。」
「惹かれていることが流されていることのような気がするの。」
優しく頬に触れる城野の手の温もりを感じながら、自分の中にある葛藤を口にすることで、自制をかける。
そんな私の考えが分かったのか、少しずつ離れようとする私の身体を背中に手を回し引き寄せ、自分の腕の中に包み込む。
「こんなにひなたを愛しく思うなんて思ってもいなかった。
いつものように自分の仕事をやるだけだと思っていた相手だから。
だが、気がつけば俺の方を振り向かせるにはどうしたらいいのか考えるようになっていた。
いなくなった旦那を待ち続けていることを知っているのに、そんなことを気にする余裕もなくなるほどにひなたを求めてしまう。
そんな時気がついた、ひなたが俺を意識し始めていることに。
そのことに気づいてから自分の想いを止めることなんか出来るはずがない。
触れると柔らかそうな肌、強い意志が込められている瞳、ひなたのすべてが俺を惹きつける。
何もせずに見つめるというのは俺の性格には合わない。
だから、どんなことがあってもひなたを手に入れると決めた。
そして、ひなたに俺を求めさせると。」
城野の逞しい腕に抱きしめられたまま聞く告白。
私を完全に陥落させるために話しているとしか思えない。
現に城野の告白は、私の心を震わせている。
衝撃と喜びで。
喜んではいけないはずの告白を私はこのまま受け入れたいと思っている。
「旦那の存在がひなたの中で大きいことは分かっている。
無理に忘れろと言うつもりはない。
ただ、旦那がいるひなたの心の中に俺を住まわせてほしい。
そして、ひなたと洸と一緒に過ごし守らせてほしい。」
城野の告白を聞きながらすでに壊されてしまっている砦から出るのをためらっていたが、これ以上そうすることも出来ないほど城野の告白に心が揺れ動いている。

城野の言葉に本当に答えていいの?
アキラさんを待って、洸と2人で過ごすだけの日々に満足していたはずなのに?

最後のあがきのような問いかけが頭の中で響く。

でも、城野に惹かれているのは本当。
このままこの腕に抱かれてしまいたいと思っているのも本当。
城野とアキラさんを想う気持ちも本当。
私はどうしたい?
・・・・・私は、城野の手を取りたい。
そして、一緒に過ごしていきたい。

「あなたはアキラさんに似すぎているわ、姿、形が。
私はあなたにアキラさんを重ねているだけかもしれない。
今私の中にあるあなたへの想いはそのせいかもしれない。」
「それはないな。
確かに俺と旦那の姿、形は似ているのかもしれない。
初めて会った時のひなたのことを思えば。
だが、ひなたも言っていたはずだ、俺と旦那は違うと。
ひなたはきちんと俺と旦那が違うことが分かっている。
だから、重ねているということはありえない。
ひなたが見ているのは俺自身だ。」
「どうしてそんなに自信を持って言えるの?」
「自信を持てなくて社長なんて仕事はできないからな。
常に自分を信じていないと会社を支えることなんて出来ない。」
「そうかもしれないわね。
いつのまにかそういう所に惹かれていたのかもしれない。
私は、あなたに惹かれているわ。
心の中にアキラさんがいることを分かっていながらも、あなたに惹かれてしまった。
そして、あなたはそんな私を求めてしまった。
・・・・最後まで責任をとってそばにいてもらわないと。」
自然と口から出た言葉、その言葉を聞き城野は私の耳元で囁く。
「嫌だと言われてもそばに居続けるさ。」














「駄目よ、これ以上は。」
城野の囁きの後再び唇を重ねた私達だったが、唇が離れた後城野の手が私の胸に触れ、裾から侵入してくる。
直に触られる胸に身体をビクつかせながら動きを止めてほしいとストップをかける。
けれど城野の動きが止まる気配はなく、胸の突起にまで触れ私の口からは吐息と共に声が出てしまう。
私達がいる場所はソファーの上で、寝室には洸が眠っている。
いつ洸が目覚めるか分からない状況でこのまま先を進めるわけにはいかない。
そう思いながらも身体は正直だった。
城野が触れる場所すべてが熱を持ち始める。
「このまま止められる方がお互いきつい、そうだろ?」
「でも、洸が目を覚ましたら。」
「その時はその時だ。
今はそれまでの間ひなたに触れたい。
今まで我慢していた分も、な。」
「そんな。・・・・あっ!」
フッと笑い、私の言葉など聞く気もない様子の城野は行動を始め、私はその動きに声を上げる。
直接口の中に含まれる胸の突起は、温もりや滑りを感じながら舌で弄ばれてしまう。
転がされ、歯を立てられると身体が痺れたように動かない。
久しぶりに与えられるものに身体が反応してしまい、城野の動きを止めることができなくなってしまう。
自然と城野の頭を抱えるように動く腕は、柔らかな髪に触れながら自分の方に引き寄せていた。
そんな私の行動に気を良くしたのか、手は私の着ているズボンのボタンを外し、下着の上から割れ目に触れてきた。
「ああっ・・・っ」
指を動かし下着の上から分かるほどの滑りを城野に知られたことが恥ずかしくて顔を横に向ける。
そんな私の顔を元に戻し、耳を甘噛みしながら、
「恥ずかしがる必要はない。
感じているんだろ?」
城野は話しかけてくる。
「そんな、こと・・・」
「照れることはない。
ひなたが感じているのは俺にとってうれしいことだからな。
感じるまま身体を任せろ。
このまま、感じるままに。」
「城野・・・・」
「飛鳥だ。」
「・・・・飛鳥・・・・」
「そうだ。
まさかひなたに名前を呼ばれることがこんなにうれしく感じるとは思わなかった。
いいものだな、愛しい女に見つめられ名前を呼ばれるのも。」
城野の表情は穏やかに微笑んだように見え、私の胸を打つ。

私はこの男のことが愛しい。
涙が溢れてしまいそうになるほど。
こんなにもこの人のことを好きになっていたなんて・・・・。

瞳から溢れる涙を城野は口で拭い取る。
「何故涙を流す?」
「飛鳥、あなたのことが愛しくて。」
「ひなた、愛している。」
城野は優しい仕草で私の髪に触れた後、唇を重ねた。












その後の私達は、行為を中断することになってしまった。
洸が目を覚ましたからだ。
「ママ、おしっこ。」
眠たそうに眼をこすりながらやってきた洸に2人で驚いてしまったが、洋服を見だしていなかった城野は素早くそばに近寄りトイレへと連れて行ってくれた。
その間に乱れてしまっている洋服を整え、何事もなかったように2人が帰って来るのを待った。
「よく眠ってたわね。」
「うん!
布団がふかふかでね、とっても気持ち良かったんだよ。
ママも寝てみたらいいよ。」
「そうね。」
洸が嬉しそうに話している間城野は私が座るソファーの隣に座っていたが、洸の話を聞いた後耳打ちをしてきて、私の頬を熱くさせる。
「続きはふかふかの布団の上で。」





その後夕食を済ませ城野に家まで送ってもらうまでの間、3人で家族の団らんのような時間を過ごした。
その時城野が洸に言ったこと、それは、
「洸、俺がパパになってもいいか?」
と、確認の言葉だった。
「おじちゃんがパパ?」
「そうだ、嫌か?洸は。」
「嫌じゃないよ!
おじちゃんがパパになってくれたら、一緒にいつも遊べるんだよねっ。
僕うれしい!!」
「そうか、俺も洸のパパになれてうれしいよ。」
「じゃあ、おじちゃんのことパパって呼んでもいいの?」
「ああ。」
「パパ、パパ!」
洸は何度も城野をパパと呼びながら飛び跳ねた後抱きついた。
そんな洸を城野はしっかりと抱きしめてくれた。

アキラさん、私がこの人と一緒になることを許してくれますか?
あなたのことを愛していながらも他の人を愛してしまった私を。
私は、待つことに疲れていたのかもしれない。
ごめんなさい。

アキラさんへの懺悔の言葉を心の中で言いながら、目の前で戯れている城野と洸のそばにいることを選んでいた。





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