となりにいる人

となりにいる人番外編

夏休みも終わって新学期、毎日のように修ちゃんと過ごしていた私だけど、学校が始まったからといって修ちゃんと一緒に過ごす時間が急に減ったりすることはなかった。

登下校も一緒だし、家に帰ればどちらかの家で過ごしていたりする。

違うことと言えば、女生徒の視線が痛いということだけ。

修ちゃんは私と付き合いだしたことを隠さないから、どうして修ちゃんが私なんかと付き合っているんだというのを視線で知らせてくる。

その視線は私にとってとても痛いものだけど、だからといって修ちゃんの彼女をやめたいという気持ちにはならない。

そんな視線に負けないくらい修ちゃんが私をかまってくれるせいだと思う。

優しい修ちゃん、大好き。

でも、時々悪人顔になる修ちゃんがいたりするから困るんだけどね。













「美雪ちゃーん、なんだか眠そうだねぇ?。」

そう話しかけてくるのは同じクラスで親友の由真ちゃん。

どこかからかうような口調と表情なのが気になるけど、机に顔を伏せていた私はゆっくりと顔を上げて由真ちゃんに返事をした。

「由真ちゃんが言うように今日は眠いから寝かせて?。」

「何でそんなに眠いのかな?

そっか、昨日三神君に可愛がられたのか。」

「可愛がられた?」

「そう、ベッドの中で。」

「なっ、なんてこと教室で言うのよ由真ちゃんったら!」

ニヤニヤ笑いながら由真ちゃんは慌てる私に楽しそうに話しかけてくる。

「だってねー、こんなところに印があるからばればれよ。」

そう言って由真ちゃんが指さしたのは私の左の首筋。

「え?なに?」

そして、私の耳元で由真ちゃんがささやいた言葉は今以上に慌ててしまうものだった。

「キスマーク。」

「え?!!」

由真ちゃんの言葉に首筋を押えてしまう私。

「三神君も独占欲なんてあったのねー、以外だけど。

まーそれだけ美雪のことを好きなんだろうから親友としては安心だわ。」

「えっ、え?」

由真ちゃんの言っている意味がよくわからない私は、由真ちゃんに指摘されたキスマークに動揺しすぎて顔を真っ赤にしてしまっていた。

「美雪、顔真っ赤にして可愛いったらないわね。

美雪のこんなところが可愛くて仕方ないのかもね三神君は。」

ニッコリ笑いながらそう言った由真ちゃんは鳴り出したチャイムと共に私のそばから離れていった。

私は、真っ赤になった顔のまま授業を受けるはめになり、気付けば眠気なんて吹き飛んでしまっていた。











放課後、修ちゃんはいつものように教室まで私を迎えにきてくれた。

「美雪、帰るぞ。」

そんな修ちゃんに無言で近づいた私は、返事をすることなく歩き出す。

「どうしたんだ?」

修ちゃんは私の態度に対して不思議そうな顔をしながら聞いてくるけど、私は首筋のキスマークのことを修ちゃんが気にしている素振りをしないことに怒っていた。



何でこんなことしたの修ちゃんっ。

もー恥ずかしいよー。



そんな私の心の叫びが修ちゃんに聞こえるはずもなく、先を歩いている私に修ちゃんはいつものように話しかけてくる。

そうやって家に着いた私達は、お互いの家に向かったけれど、そんな修ちゃんに痺れを切らした私は修ちゃんの家に一緒に入り、

「修ちゃん!

何で私の首筋にキッ、キス、・・・・マークなんて付けたの!

由真ちゃんが教えてくれた時すごく恥ずかしかったんだから!!」

後ろを向いたままの修ちゃんに言葉を詰まらせてしまったけれど、再び顔を真っ赤にしながら叫んでしまっていた。

そんな私の様子に驚く様子もなく修ちゃんが言った言葉は一言、

「つけたかったから。」

だった。

「なっ、つけたかったって、修ちゃん!」

「だいたい美雪も髪を結ぶ時に普通は気づくだろ。」

「気づかなかったもん。」

「今日機嫌が悪いと思ってたら、キスマークのことで怒ってたのか?」

「そうだよ!

恥ずかしかったんだから!!」

「俺がつけたキスマークは恥ずかしいんだ美雪は。」

「恥ずかしいです!」

そう叫んだ私に修ちゃんは気づけばいつもの悪人顔に変っていた。



あれ?何で悪人顔なの修ちゃん!?



修ちゃんの表情に思わず後ずさりをしてしまっていると、

「彼氏がつけたキスマークが嫌なんていう彼女にはお仕置きしないといけないなぁ。」

悪人顔のまま修ちゃんは怖いことを言い出した。

「お、お仕置きって。

私はただこんな人に見える所につけないでほしいなぁって思ってただけで・・・・。」

「ふーん、それだったら見えない所ならいいってことだよな。」

「そういうわけじゃ・・・・。」

「美雪の願い叶えてやらないとな、優しい彼氏としては。」

「いいです?。」

そんな叫びも虚しく修ちゃんの部屋に連れ去られてしまった私。

人目につかないけれど、何もこんな所につけなくてもっ!という所にキスマークをつけられ、お仕置きなのか可愛がられすぎてしまったのか分らない状態で夜が過ぎてしまった。

そして、そんな夜を過ごした私は、翌日も眠い顔で学校にいくことになる。


2007.9.27