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「んっ、んんっ!!」


私は急に神崎さんにキスをされたことに驚いてしまい、目を見開いて

しまった。

そして、キスを止めさせたくて神崎さんと密着している自分の身体を引き

剥がそうと必死になったが、力強く抱きしめられている状態ではそれは

できなかった。

神崎さんのキスを受け入れた状態のままでいると、しばらくして神崎さんが

唇をゆっくりと離した。

私はその隙に身体を離し、自分の大きく広げた手を動かし、神崎さんの

頬を狙った。





「急に危ないだろ。」

神崎さんは楽しそうに言いながら私の腕を止めてしまったので、私の思惑

は叶わなかった。

神崎さんのすばやい行動が悔しくて、私は神崎さんを睨みながら言った。

「何で止めるのよっ!」

私の言葉に楽しそうにしていた顔をしたまま神崎さんが笑い出した。


何で笑うのよっ!

ここは笑うところじゃないでしょっ!!


私はいつまでも笑っている神崎さんに今まで溜まっていた自分の思いを

ぶつけた。

「何で笑うのよっ!

いきなりキスしてくるなんて意味わかんないわよっ!!。

全然しゃべらないと思えば急に人を連れ出してキスしてくる。

神崎さんが考えてることが全然私にはわからないっ!!」

私は神崎さんに言い切った後、自分の鼻の奥がツンっとしてきたのを

感じていた。

そして、次第に私の視界がぼやけてきて、私の瞳には涙が溜まってきていた。

でも、私は神崎さんの前で泣くのは嫌で涙が流れてしまわないように、

身体に力を入れて堪えた。


泣かない・・・。

絶対泣かないっ!


でも、頭でそう思っていても身体は言うことを聞いてきれなくて私の瞳

からは、流したくない涙が流れてしまっていた。





「まったく、何で泣くんだよ。

この状況でいえば俺が泣かしてるのか?」

神崎さんは今まで笑っていたのが嘘のように真面目な顔で私を見ながら

言っている。

「とりあえず、ゆっくり話すにもさすがにこんな道端じゃ無理だな。

場所を移動するぞ。」

そう言って私の腕を引き、歩き出した。

私はもう神崎さんの行動に逆らうだけの元気はなくなっていて、神崎さんに

腕を引かれるままついていった。







「さて、これで話をゆっくりできるな。」

神崎さんはそう言って、私の目の前のテーブルの上にコーヒーが入っている

カップを置いた。





私達はあの後タクシーに乗り、神崎さんのマンションに来ていた。

タクシーの中では、お互い無言で話すわけではなく、ただ手をつないでいる

だけだった。

そして、タクシーから降りて神崎さんは私の手を引き、自分の部屋に私を

連れてきた。

部屋に入り、私をソファーに座らせるとコーヒーを入れる準備をしだして、

コーヒーのいい匂いが部屋に流れてきた。

そして、今の状況に至っている。





神崎さんは私の隣に座り、

「少しは落ち着いたか?

落ち着いてもらわないと大事な話ができないしな。」

と言って、コーヒーを飲んだ。

「落ち着いてるわよ私は。で?大事な話って?」

私はコーヒーを飲み、落ち着いた口調で答えた。

「落ち着いてるみたいだな。じゃ、話をしようか、俺達のことについて。」

「俺達のこと?」

「そう。奈々枝の気持ちに俺は返事をしていないからな。」

神崎さんはそう言って私のことを抱きしめた。

「奈々枝は俺のことが好きなんだろ?俺とどうなりたいんだ?」


どうなりたい?

私はあなたの物になりたい。

そしてあなたを私の物にしたい。


私は神崎さんの問いかけにそう思いながらも答えられないでいた。


だって、私は自分の気持ちを言った。

でも、神崎さんの気持ちが分からない。

あんな出会いになってしまった私のことをどう思っているのか自分で確認

することができない。

だって、怖いから・・・。


私はそう思いながら、再び自分の瞳から涙を流してしまった。

神崎さんは私を抱きしめながら、私が泣いていることに気付いた。

そして、はぁーと溜め息をついた後、私を強く抱きしめながら言った。

「また泣くのか?

さっきの勢いはどうしたんだ?

もう一度奈々枝の気持ちを言ってくれないと俺は返事が出来ないん

だがな。

だから、もう1度言ってくれ。奈々枝は俺の返事が聞きたくないのか?」


神崎さんの返事?

私の気持ちを言ったらあなたは私が欲しい言葉を言ってくれるの?


私はそう思いながら、僅かな期待を胸に秘めて、自分の気持ちを言葉に

した。

「私は神崎さんが好き。

あなたを私の物にしたい。

そして、私をあなたの物にして欲しい。」

私が自分の気持ちを口にすると神崎さんは、耳元で私が欲しいと思って

いた言葉を囁いてくれた。

「俺も奈々枝が好きだよ。

奈々枝を俺の物にしたい。

そして、俺を奈々枝の物にしてくれ。」





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