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私は、飲むペースをどんどん上げていき、頭がボーっとしてきている。

酔いが回ってきているのを自覚しながらも、ペースを下げずにはいられな

かった。


神崎さんの視線に耐えれなかったから・・・。


だって、あんなにつれない返事をしてきたのに、その後はジッと私のことを

見てくる。

彼の考えが読めなくて落ち着かない。

そんな自分を誤魔化すようにお酒を飲んでしまう。







「奈々枝、今日ピッチ早いよ?」

倖が、次のお酒を注文しようとする私を心配そうに見ながら聞いてきた。

「そんなことないない。ぜーんぜん平気っ!

まだ飲み足りないくらいよっ!!」

私はテンション高く倖に答えた。

そんな私をまだ心配そうに見ている倖は、

「そのテンションがいつもと違うって。もう止めといたら?」

「何言ってるのよ、まだまだこれからよっ!」

私はそう言って、店員さんが持ってきたカクテルを飲みだした。


あー、頭がクラクラする〜。

かなり酔ってきたかなぁ〜。


自分の酔い具合を感じていると、

「そんなに酔うほど飲む必要はないんじゃないか?」

と、今まで私には話しかけず、佐藤さんと話をしながら私に視線だけを

向けていた神崎さんが、私を見ながら言った。

酔いが回ってきている私は、今まで自分にストッパーをかけていた何かが

神崎さんの言葉で、はずれてしまった。

そして私の口からは、神崎さんに対して攻撃的な言葉が次々と出てきた。





「あ〜ら、今まで何も話してこなかった人が話してます?」

「そっちからも話しかけてこなかったんじゃないのか?」

「そんなことないでしょ。久しぶりって挨拶したし私。

それを一言で終わらせたのは誰ですか?

その後は人のこと見てるのに何も話しかけてこない。

何か話しかけてきなさいよね、そんなに人のこと見るんだったらっ!」

私はそう言って人差し指を突き出して神崎さんを勢いよく指差した。

そんな私の行動にビックリした倖が私の指差している腕を引き寄せ、

私の膝の上に置きながら、

「奈々枝さ〜ん、落ち着いて、ね?どうしたのかなぁ〜?」

そう言って私の方を見ている。

私はそんな風に言ってくる倖に対して、

「倖ちょっと黙っててっ!今大事な話しようとしてるんだからっ!!。」

と、強い口調で言った。

すると倖は、私の勢いに押されたのか、

「はいっ。」

そう言って私の腕から手を離した。

私は倖の手が離れると再び、神崎さんのことを指差し、

「どうなのよっ。」

と、勢いよく言った。





そんな私を見ながら神崎さんは、小さな溜め息をついた後私を呆れた目で

見ながら話し出した。

「俺はいつもそんなに話す方じゃないんだよ。だから、挨拶された時の

返事も少なすぎることはないと思うんだがな。」

「そんなはずないでしょっ、この間しゃべってたじゃないのっ!」

「この間?」

「そう、この間!飲んでた時もそうだけど、ベットの上でもしゃべって

たじゃないっ!」

「あー、そうだったかな。でも、何でそんなに俺と話したがるんだ?

1度会っただけの俺と。」


何で?

何でかなんて決まってるじゃないっ!!


「あなたのことが好きだからよっ!」

私は、立ち上がり叫んでいた。

好きだ・・・と。


そうよ、私はあなたが好き。

だから、あなたともっと話したい。

あなたのそばにいたい。


私は自分が言った言葉に、神崎さんを好きな自分を自覚した。

そして、立ち尽くして泣きそうになっている私に神崎さんが立ち上がり、

私を通路側に引き寄せた。

「最初からそうやって素直に言えばいいんだよ。」

神崎さんの言葉に思わず顔を見上げると、神崎さんはニヤッと笑った。

そして、私の腰に腕を回し、私を引き寄せたかと思うと佐藤さんの方を

向いて、

「そういうことで、俺達場所移動して2人で話すことにするから。」

と言って、私の腰に腕を回したまま歩き出した。

その動きに私も一緒に歩くことになり、神崎さんに連れて行かれるまま

店の外に出ていた。



その頃倖は、

「どうなってるのっ!?」

と佐藤さんに詰め寄っていた。







「ちょっとっ、どこに連れて行く気っ!」

私の酔ってクラクラしている頭では、今の状況を落ち着いて考えることは

できなくて、神崎さんに腰を抱かれている状態で叫んだ。

そんな私に神崎さんは、

「うるさい。」

そう言って、私の口を唇で塞いだ。





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