あなたがすき



今日の失敗・告白。
しかもただの失敗じゃないのが私らしい。
友達からドジだドジだと言われ続けている私だけど、自分ではみんながいうほどドジじゃないと思ってた。
でも、さすがに今日みたいなことがあるとドジだということを自覚してしまう。
友達に言うとドジじゃなくて間抜けよ、と言われてしまいそうだけど。
私の失敗、それは、告白する人を間違えたこと。
そして、その人と付き合うことになってしまったこと。








はー、緊張するー。
今時告白を手紙でするなんてありえないかな?
でも、メールアドレスなんて知らないし、直接話すにしてもうまく話せる自信はないから手紙にしたんだけど。
緊張するよー、先輩っ、早く来てくださいっ!

自分で調べた先輩の家の前で出てくるのを待っていた。
学校に行くこの時間しか先輩が1人でいる時間がないと思った私は、何度も読み返し書き直した手紙を手に持ち手紙を渡すタイミングを待っている。
生徒会長をしている先輩に入学式で一目惚れををしてから2か月、今まで告白をしたことがない私の一世一代の大一番。
緊張で心臓が大きな音をたてすぎて具合悪くなりそうだ。
こんなに緊張したことはないと言っていいくらいに緊張している。

早くこの緊張から解放されたい・・・。

そんな私の願いが届いたのか、玄関が開く音が聞こえる。

先輩が出てきたっ!
この時間に出かけるのは調査済み、頑張って手紙渡すのよ私っ!!


靴音が聞こえる方に身体を向け、先輩が道路に出てくるのを確認して近づいた。
「先輩!」
近づいて声をかけたまではいいけど、緊張のせいで顔を上げることができない私は、そのまま話し始めた。
「おはようございます!
ずっと先輩が好きでした。これ、受け取ってください!!」
いつになく大きな声になってしまった私の告白だったけど、何とか手紙を持った手を前に出すことができた。
でも、震えてしまう手までは気をつかうことは出来なかったけど。
私には長く感じてしまった沈黙の時間は、実際にはほんの数秒で、しばらくして先輩が私の手から手紙を受取ってくれた。
そのことがうれしかった私は、やっと顔を上げることができた。
でもその時、自分が大きなミスをしていることにやっと気がついた。
そこに立っていたのは先輩ではなくて、まったく知らない男の人だった。


誰この人!?
先輩じゃない人に告白しちゃったよぉ〜!
ど、どうしよう・・・・。


1人茫然としたまま頭の中をパニクらせていると、
「何だ?朝から告白されてるのか?
ちゃんと返事してやるんだぞ。」
と、爽やかに声をかけて立ち去ろうとしているのは、私が告白しようとしていた先輩で、
「分かってるよ。」
と、不機嫌そうに答えているのは、私が間違って告白してしまった男の人。
目の前で行われた会話に、やっと頭を働かせることができるようになった私だけど、時すでに遅く、先輩の背中は遠ざかってしまっていた。


先輩待って〜。
私が告白したかったのは先輩なんです〜〜。


そんな私の心の叫びなんて聞こえるはずもなく、先輩の背中はどんどん遠ざかっていく。
「で?俺と付き合いたいの?」
先輩の背中を見つめたままの状態になっていた私に男の人が話しかけてきた。
その言葉に否定の言葉で返事をしたかった私だけど、
「いや、あのその。」
と、しどろもどろな返事をしてしまった。


ちゃんと間違いだったって言わないといけないのに、きちんと話せないよぉ。


再びパニック状態になってしまっている私に、
「付き合ってもいいよ。」
と、男の人は間違えて告白をした私の告白に返事をくれた。


付き合っていい?
えーと、それはOKということですか?
えー!?それは困ります〜〜。


「あの、あの。」
男の人の返事にますますパニック状態を悪化させている私は、まともに話をすることがやはりできなくて、オロオロしてしまう。
そんな私の様子を気にすることもなく、
「学校にいくぞ、このままだと遅刻するからな。」
そう言って男の人は歩きだしてしまった。
「あ、待って。」
私はそう言って後を追いかけることしかできなかった。


結局間違いだったって言えなかった、どうしよう。
このまま私はこの男の人と付き合うことになるの?
それだけは嫌だー!
私が好きなのは先輩なのに〜〜。


そんな私の考えと裏腹に、そのまま学校に向かった私達は別れる時にしっかり放課後一緒に帰る約束をしてしまっていた。








私はドジです、本当のドジです!
放課後一緒に帰る約束までしちゃって、これじゃ本当にお付き合いになっちゃう!!


その日1日授業なんて聞いていても頭の中に入ってくるわけはなく、授業中も考え込んでしまっていた。
私が間違って告白してしまった男の人は先輩の1つ下の弟さんで、私の1つ上の先輩になるらしい。
教室に着いてすぐ友達に情報収集した私だったけど、朝の出来事を話すことはできなくて、言葉を濁しながら何とか聞き出した。
先輩に弟がいるなんて知らなかった私は、本当にお間抜けだ。
ちゃんと顔を見て告白すればこんなことにはならなかったはずだから、今更ながら自分のドジぶりに頭を抱えてしまう。
言われてみれば弟と言うだけあってどことなく先輩に似ている。
先輩は真面目なタイプだけど、弟さんはどこか遊び人風だ。
弟さんは私の苦手なタイプ。
だって、何を話していいのか分らないから。
私はどちらかと言えば真面目ちゃんタイプだ。
だから弟さんみたいな人とは関わりたくない。
でも、自分が蒔いてしまったしまった種なんだからそんなことを言っている場合じゃない。
早く間違いだったことを正直に話さないと!


そんなこんなで放課後を向えた私を待っていたのは弟さんのお迎えだった。
「帰るぞ。」
私を入口から見つけるとそう声掛けてきた。
上級生の突然の訪問にクラスがざわめきだす。
でも、女子の声が多い気がする。
「ちょっと、何で先輩がうちのクラスに来るの!」
「何で迎えに来ることになったの!?」
と、私にクラスメイトが質問攻めだ。


もしかしなくても弟さんは人気者?
何でそんな人が私と付き合う気になったんだろ?


さすがの私もこれだけクラスメイトが反応する姿をみると、弟さんが人気者だということが分かる。
そんな人が何で会ったこともない私の告白なんかをOKしたのか分らなかった。
「早くしろ。」
なかなかそばに来ない私に焦れたように声をかけてきた。
私は急いでそばに行くと、その姿を確認してスタスタと弟さんは歩きだした。
私はその後ろ姿をついていくしかなくって必死に後を追いかけた。





一緒に帰ることになってしまった私達だったけど、会話することなく一緒に歩いている。


会話が思いつかない・・・・。


何か話さないといけないと思いながらも話す内容が思いつかなくてただただ歩くしかなかった。
その時、突然弟さんが私の肩に触れてきた。
何事!?と思った時には私を反対側に移動させてしまった。
何でそんなことを急にしたんだろうと思っていたら、車が私達の横を通りすぎていった。


もしかして危なくないように避けてくれたのかな?


そう考えて顔を見てみたけど、考えは読めなくて、でも、きっとそうに違いないと思った私は、
「ありがとうございます。」
と小さな声になってしまったけど、素直な気持ちを伝えた。
すると、今まで無表情だった顔が笑顔になって、その顔はとっても可愛らしかった。
私の胸が思わずときめいてしまうくらいに。








あれから私達はお付き合いを続けていたりする。
言わなきゃと思いながら間違いだったと言いだせない私は、登下校を一緒に弟さんと過ごし、日曜日には遊びに出かけることもあった。
すっかり普通のお付き合いをしてしまっている私達、早く言い出せばいいのに言い出せない私。
それは何でだろう?
最近弟さんと一緒にいると笑顔になることが多い。
それは、弟さんが見かけによらず優しい人だからかもしれない。
そんな人をいつまでも騙すような形で付き合うのは心苦しい。
正直に話さないといけない・・・・。
そんなある日の放課後、私はある光景を目にすることになる。





弟さんといつものように帰っていると、先輩が私達と違う学校の女の子と一緒にいる姿を見てしまった。


先輩、彼女いたんだ。


そう思えるほど親密そうに歩いている2人。
そんな2人をじっと見ていると弟さんが私の前に立ち、私の手を引いて先輩達がいない方向に歩きだした。
「そっちは逆方向ですよ?」
私は急なことに思わずそう話しかけた。
「そうだけど、ちょっと用事思い出したから付き合ってくれ。」
そう返事が返ってきた。
「用事って何ですか?」
「用事は用事だ。」
言葉を濁らせながら私に返事をしてくる弟さんの顔はどこかしまったというような顔をしていた。


先輩に彼女がいること知ってたんだ。
そんなことより、私が先輩のこと好きだったこと知ってたんだ・・・・。


弟さんの行動の意味に気付いた私は、
「知ってたんですか?」
そう声をかけていた。
私の言葉に弟さんは足を止め、
「ああ。」
と短い返事をした。


そうか、知ってたんだ、私が間違って告白したこと。
でも、私先輩が彼女がいるって分かったのに、辛くない。
それよりも、間違って告白してしまったことを弟さんが知っていたことの方が辛い。
何でこんな私なんかと付き合ってくれてたのかな?
こんなドジな私なんかと。


「知ってたんだ、兄貴のことが好きだって。
そしたら予想外に俺に告白してきた。
でも、それが間違いだということにはすぐに気付いた。
手紙を読んだらすぐに分かることだからな。
生徒会長なんて俺はやってないし。
でも、間違いだとしても好きな子からの告白だったからその間違いを利用したんだ。」


そうだ、あの手紙には入学式に一目惚れをしてしまったと書いたんだった。
そんなことも忘れていた私っていったい・・・。
でも、好きな子って?


「好きな子って?」
「何だかドジな1年生がいるなって思ってた。
いつも見かけるとつまずいたり物を落としたりしてたからな。
でも、いつも笑顔で可愛いって思った。
気づいたら好きになってたんだよ。」
そう言われて私の顔は一気に熱くなってきた。
きっと今私の顔は真っ赤になっているに違いない。
何でこんなに顔が熱くなるんだろう?
「ごめん、気づいてたのに気付かないふりして。
このまま付き合うことができればいいなんて思ってた。
兄貴には彼女がいるし。
でも、それは間違いだよな。
本当にすまなかった。
もうこれ以上俺と付き合う必要はないから。
今までごめんな。」
そう言って繋いでいた私の手を放しゆっくりと歩き出す。
その後ろ姿を見ながらいつもはパニックになってしまう私の頭の中は冷静に働いていた。


このまま別れるの?私達。
付き合っている間私は楽しかった。
先輩のことを忘れてしまうくらいに。
今も彼女と一緒にいる先輩を見ても痛まなかった胸が、弟さんの背中を見ているだけで痛む。
この痛みは、いつの間にか好きになってしまっていた人と別れたくないと言っている。
だから、私は行動しないといけない。


「待って!
手紙にはあんな風に書いたけど、本当に好きなのは先輩じゃない!
本当に好きなのは、あなたです!!」
私は、離れていく背中を引き留めたくて一生懸命大きな声で叫んだ。
すると、今まで遠ざかろうとしていた背中の動きが止まった。
私は走ってその背中に近づいて背中に抱きついた。
「あなたが好きです。」
再び自分の気持ちを伝えてぎゅっと背中から抱きしめた。
「本当か?俺を好きって。」
「本当です。」
「俺も好きだよ。」
そう言って私の手をぎゅっと握った後、私の方を振り返り私を抱きしめた。
「那智好きだ。」
「私も和明さんが好きです。」
抱きしめあったまま私達はお互いの気持ちを伝えあった。




間違いで始まったお付き合いだけど、本当に好きな人と付き合うことができた私は幸せ者だと思う。
ドジな自分に感謝しないといけないな。
たとえ、この後通行人の人に見られていることに気付いて恥ずかしくなるとしても、そんなことは大好きな人と付き合えることに比べれば何ともないことなのかもしれない。


+おわり♪+





Copyright(c) 2007 machi all rights reserved.

面白かったよとちょっとでも思ってくれたら押してもらえるとうれしいです♪
よろしかったら感想も一緒に書いてもらえるとますますうれしいです♪



ランキングに参加中♪よかったらぽちっと押してもらえると嬉しいです☆


Novel

Top




検索サイトから来られた方は、 こちら からTOPへどうぞ。