甘いワナ

「眠い・・・。」







美佐との電話が終わった私は、夕飯を食べた後夕方の出来事をどうしたものかとずっと考えていた。
だって、好きな人が出来たらすぐに告白している私だけど、今まで誰かに告白されたことはない。
しかも、片思いばかりだった私は、お付き合いというものもしたことがない。
だから、お付き合いと言われても、どうしたらいいのかまったく分かんない。
マンガや小説の恋愛物を読み漁っている私は、想像(いや、妄想?)の中では、楽しげにお付き合いしている自分がいる。
それはそれは楽しそうに彼と過ごしている私。
手を繋いだりなんかしてね。
女の子はいつでも乙女心を胸に秘めていて、私もそんな1人だったりする。
だから、お付き合いというものにはすごく憧れている。
でも、実際のお付き合いとなったらどう行動したらいいのか悩んでしまう。






1人悶々と考えていた私は、ベッドの中に入っても眠ることが出来なくて、お気に入りのマンガと小説を持ってきて、それを元にシュミレーションしてみた。
そうすることで、少しはお付き合いというものが実感できるかなぁなんて思ったりして。
だって、年上としてお付き合い初心者なんて知られるのは何だか負けた気になってしまうから。

こういう所が可愛げないんだろうなきっと。
美佐だったらこんなこと気にしないんだろうし。
でも、考えてしまうのが私なんだから仕方がない。
本当、私のどこが良くて秋田君は告白したんだろ?
私のどこが良くて告白したのかうまくはぐらかされたし。
自分で言うのも何だけど、スタイルはいいと思うし、見れる顔立ち
だとは思う。
でも、告白されるほど美人でもない。
今までモテたこともないしね。
うーん、分からん。

そんなことを考えながらマンガと小説を読み漁っていた私は、0時を過ぎてもなかなか眠ることが出来なかった。
だからと言って秋田君が告白してくれた理由がわかったわけではないく、対策を考えることが出来たわけじゃないんだけどね。










「はー、ホントに眠いわ。」
私は玄関で靴を履きながら誰かに聞かせるわけでもないけど、眠い目をパチパチとまばたきしながら、独り言を言っていた。

久しぶりにあんまり眠れなかったせいで、瞼が閉じそう。
この調子だと今日の授業は睡眠学習だなきっと。

私は靴を履き終わった後、ゆっくりとドアを開け外に出ると、今まで見たことがない光景が目に入ってきて驚いてしまった。
いつもだったら玄関口に誰もいるはずがないのに、私の目に入ってきた光景には、頭半分くらいが門扉にぴょこんと見えて、誰かが立っているのを私に知らせている。

誰?こんな朝早くに人の家の前に立ってるの。

誰かが立っていることなんてなかった門扉にゆっくりと近づくと、そこに立っていたのは秋田君だった。
「おはようございます。」
突然の秋田君の登場に驚いてしまった私は、思わず目を見開いた状態で、明るい笑顔で私に朝の挨拶をしてくる秋田君を見てしまった。

何で秋田君が家の前に立ってるの!?

「お試しお付き合い1日目ですよ。
俺のことを知ってほしいから、一緒に登校しようと思って迎えにきました。」
「急な登場に驚いてるんですけど。」
「驚くことですか?
付き合ってる彼女を迎えに来ただけですよ?
早く行きましょ、ここで立ち止まったままだと遅刻しますよ。」
秋田君はそう言って私の手を握り、歩き出した。
私は秋田君に急に手を握られたことに驚いてしまって手を離しそうになったけど、しっかり握られた手は、そう簡単に外れなかった。
外れない手を見ながら私は、

男の人と手を繋ぐなんて初めてなんですけどっ。
マンガや小説に書いてるみたいにドキドキしてしまうんだなぁ。
初めての体験だぁ〜。

と、昨日読み漁っていた内容を思い出しながらそんなことをのん気に考えていた。
「亜季さんって呼んでもいいですか?
ホントは亜季って呼びたい所ですけど、年上の人だし。
まずは名前を呼ぶ所からと言うことで。
俺のことは斎って呼び捨てでいいですからね。」
と、秋田君は人気の爽やか笑顔で私に言ってくる。
「呼び方なんてどうでもいいと思うんだけど。」
「そんなことないですよ。
やっぱり名前で呼び合った方が仲良くなった気がしません?」
「そんなもんかな〜。」
「そんなもんですって。
何事もまずは形からですよ。
そして、じっくり俺のことを知ってくださいね。
頑張って口説きますから。」
「口説く?」
心臓をドキドキさせながらも、秋田君の言っている意味をよく理解する
ことが出来ない私は、頭を思わず傾げながら聞き返した。
「口説きますよ、俺のこと好きになって欲しいですからね。」
「はー。」
「何かやる気ない返事だなぁ。」
「やる気も何も展開に頭がついていかない。」

ついていかないわよホント。
あれだけいろんな恋愛話を読んできたけど、どうすればいいのかまったく思い浮かばない。
寝不足になってまで読んで予習したのに・・・。
しかも爽やか笑顔、人気出るのも分かる気がします。
コロッと気持ちが転がりそうだもの。


クスッ。


「ん?今笑った?」
「すいません。
だって顔百面相してますよ。
そんな様子も可愛いですけど。」
と、秋田君は最初は笑いながら言ってたけど、胸の奥をトクンと動かす笑顔を見せて私に言う。
しかも、可愛いという言葉が嫌味に聞こえない。
私は自分の顔がカッと火照ってくるのを感じながら、手を繋いだ時に感じたモノと違う胸の鼓動が大きくなってきているのを感じた。











その後私は、自分の胸の鼓動を抑えることに必死になってしまい、大人しく手を繋がれたままの状態で学校に向かった。
学校に着くと、1年生の人気ナンバーワン秋田君と手を繋いで突然現れた女ということで午前中には、一躍時の人になってしまっていた。

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