甘いワナ

「後藤亜季さん、僕と付き合って下さい。」





はい?付き合うとはどこに?
いやいやそうじゃないでしょ私。
付き合うっていうのは彼氏彼女のお付き合いのことだよね。
でも、まったく彼とは接点ないんですけど。
それなのに急に付き合ってくれってどういうこと?

突然の告白に私の頭の中ではボケとツッコミが繰り広げられてしまっているんだけど・・・。
だってそうだよね、今まで自分から告白することはあっても、告白されることなんてなかったんだから。





「後藤亜季さん?僕の話聞いてます?」
私に突然の告白をしてきた男の人、秋田斎君がパニックになって動けないでいる私に近づき顔を覗き込んできた。
「あっ、ああ、聞いてる聞いてるっ!」
私は覗き込んできた秋田君の顔に驚いて思わず後ろに後ずさりながら、
返事をした。
「で、付き合ってもらえます?」
と、秋田君はにっこり笑いながら聞いてくる。
「えっと、付き合うかどうかよね。
あのね、突然言われても秋田君のことは顔と名前くらいの情報しか
私分からないんだよね。
だから、秋田君が突然私に告白してくるのかがまったく分かんない
んだけど。」
「何でと言われても、好きになったから告白したって理由じゃ駄目
ですか?」
「駄目っていうか・・・。」
「後藤さんは、告白する時はその人のことを好きになって告白しませんか?」
「まー、それはそうね。」
「だったら俺の気持ちも分かってもらえると思うんですけど。」
秋田君は笑顔のままそう言って私の手を取ったかと思うと、急に真剣な顔になって、
「もう一度言います。
後藤亜季さん、僕と付き合ってください。」
と、言って私の心臓を激しく動かした。

こんな近くで真剣な顔されて、しかもカッコいい男の人に告白なんかされたら心拍数が上がっちゃうわよっ!
ううっ、年下は趣味じゃないのによろめいちゃう。

私は手を握られたままそんなことを考えて返事ができないでいると、
「返事がないというのはどう受け取ったらいいんですかね。
何も返事がもらえないなら、自分の都合いいように解釈しますよ?」
と、とんでもないことを言い出した。
「ええっ!?突然告白なんかされても秋田君のこと何にも知らないんだから返事できないわよっ!」
「まー、確かにそうですよね。」
秋田君はそう言って私の手をパッと離した。

そっ、そうよ!
返事なんて出来ないわよっ!!
でも、秋田君のこと好きでもないんだから断るべきだよね。
うーん、そうは言ってもこんなカッコいい男の人に告白されて断るのはもったいない?
いやいや、それはやっぱり駄目でしょ。
ここは断るべきよ亜季っ!

私は秋田君に手を離されてから、いつになく頭の中をフル回転させてお断りの返事をすることを決めた。
そして、お断りの言葉を言うべく口を開いて話し出そうとすると、秋田君が先に話し出してしまった。
その話の内容は予想もしていなかった内容だった。






「僕のことを知ってもらえればいいんですよね。」
「はい?」
「だから、僕のことを知らないというんだったら知ってもらわないと返事が出来ませんよね。
じゃーこうしましょ。
1ヶ月仮のお付き合いをして僕のことを知って下さい。
そして1ヶ月後に正式に付き合うか返事をして下さい。」
秋田君の突然の提案に私は、話し出そうとするために開いた口を閉じることができずに開いたままになっている。
そんな私の様子を気にすることもなく秋田君は再びにっこり笑いながら、
「じゃそういうことで。」
そう言って私の前から爽やかに去っていってしまった。
その場に残された私は、口を開けたまま秋田君の後ろ姿が見えなくなるまで立ち尽くしていた。












「あの後そんなことがあったんだね。
おめでとうって言った方がいいんだよね?」
「おめでとうじゃないしっ!
いや、おめでとうなのか?告白されたんだから。
あー、分からなくなってきたっ!」





私は、告白をされ秋田君の後ろ姿を見送った後、何とか気持ちを立て直し家に帰った。
帰ってからすぐに美佐に電話をかけて、突然起こった出来事を聞いてもらっている。




「告白されたんだったらおめでとうなんじゃないかな。
私なんか告白もされたことないし。」
「美佐の場合はシスコン兄がそういう人達を阻止してたから告白されたことがないだけで、明らかに私よりモテてるよ。」
「そうかなぁ。」
「そうなのっ!
それよりも、どうしたらいいと思う?」
「どうしたらと言われても・・・。
とりあえず付き合ってみてもいいんじゃないかな。
告白されたんだったら。」
「そんなものかしらね。
でも、好きでもないのにお付き合いするのもどうよ。」
「まー確かにそうかもしれないけど、秋田君は自分のこと知ってもらいたいから1ヶ月付き合ってって言ったんでしょ?
だったら、1ヶ月後に返事してもいいんじゃないかな。」
美佐がそう言った後、それでもいいのかなぁと考えて返事をしようとすると、電話口から美佐じゃない声が聞こえてきた。





「後藤告白されたのか!?
お前を好きになる奇特な奴がいるんだな。」
「うるさいシスコン兄っ!
妹の電話を盗み聞きしてるんじゃないわよっ!!」
「誰も盗み聞きなんかしてないっ。聞こえてきたんだよ。
お前みたいなのを好きになる奴なんてそうそういないんだから逃がさない方がいいんじゃないか?」
「さらっと失礼なこと言わないでよねっ。
人の恋路に口出すな。
シスコン兄もシスコン卒業しないと彼女も出来ないわよ。
まったく、人のことどうこう言う前に自分の心配しなさいよね。
じゃーねっ!」
私はそう言って勢いよく電話を切った。

あーっ!
シスコン兄のせいで電話切っちゃったわよ。
まだ美佐と話途中だったのに。

私はそう思いながらも、再び美佐に電話をかける気にはならなかった。

とりあえず、美佐が言ったみたいに1ヶ月お付き合いしてみても
いいのかな。
秋田君のことを知ってからどうするか決めてもいいよね。

考えがまとまると安心したのかお腹が鳴り、空腹を知らせてきたので、私はお腹を満たすため、夕飯を食べる事にした。
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