甘いワナ

今回もダメだったなぁ〜。
さすがに親友の美佐の彼氏に手を出すわけにもいかないし、それに私のポリシーにも反するしね。
私のポリシー、―人の物には手を出さない―というもの。
だって泥沼は嫌だし。
いつも好きな人が出来たら積極的に告白をしている私。
でも、1度もうまくいったことはない。
いつも真剣に告白しているのに、本気にされてないというか相手にされてないというか・・・。
高校生になったからには、彼氏とラブラブな高校生活を過ごしたいという私の夢はいまだに叶わずじまい。
しかも、奥手ちゃんの美佐に先を越されてしまうという悲しい現実。
いつになったら私にもラブラブな彼氏が出来るのかなぁ・・・。











「今日も美佐は幸せそうだなぇ〜、お姉さんは羨ましいわよ。」
私は自分の机にあごを乗せた状態で美佐を見ながら力なく言うと、美佐はへへ、と笑いながら、
「うんっ、幸せ。」
と、満面の笑みというのはこういうことを言うのかと思わせるくらいの可愛らしい笑顔で返事をした。
私はそんな美佐の返事にムカつくというよりも羨ましさを感じた。
「いいわねぇ、私もそんな可愛らしい笑顔で幸せって言ってみたいもんだわ。」
「亜季ちゃんは幸せじゃないの?」
「そりゃ幸せじゃないでしょ。
いまだに彼氏は出来ないしさ。」
「別に彼氏がいなくても・・・。」
「そのセリフは彼氏がいる子はいっちゃいけないの。」
私はギロッと美佐を睨みながら低い声で言うと美佐は、
「すいません。」
と、シュンとしながらちっさい声でそう言った。
私は、小動物のようにちっちゃくなっている美佐が可愛くて、机から顔を上げて立ち上がり、すばやく美佐の隣へ言った後抱きしめながら頭をいい子いい子と撫でた。
「もーホント美佐は可愛いわねぇ。
私にも少しでも美佐の可愛さがあれば良かったのかもねぇ。」
私が可愛い可愛い言いながら美佐の頭を撫で続けていると、
「あ、亜季ちゃんっ、いつまで抱きついてるのよっ。」
私の腕の中で美佐がバタバタと動き出した。
そんな美佐の様子が可愛くて私は抱きついている自分の腕の力を強め、
美佐を抱きしめた。

ホント可愛いわ美佐。
私が男だったら絶対自分の物にしてるわよ。

そんなことを思いながら美佐を抱きしめたままの私達に廊下から声をかける人がいた。





「何やってんだお前ら。」
その声の主は呆れたような口調で言っている。
しかし、その声の主は私の天敵と言ってもいい奴の声だった。
「うっさいわね。
私が羨ましいんでしょシスコン兄は。」
「何で俺がお前を羨ましく思わないといけないんだよ。」
「だってシスコン兄だから。」
「なんだとぉ〜。
お前はいつもいつも人のことを『シスコン兄』と好き勝手言いやがって。」
「だって本当のことだもーん。
美佐を抱きしめてる私が羨ましいなら羨ましいって言いなさいよね。」
「誰も羨ましくないわっ!」
『シスコン兄』こと美佐の兄、松田 翔太は美佐を抱きしめたままの私を睨みながら叫んでいた。




「翔太落ち着け。」
そう言ってシスコン兄の肩をポンポンっと叩く男の人がいる。
その男の人の声を聞いて私の腕の中にいた美佐は、私の腕の中から抜け出していき、シスコン兄の肩を叩いていた男の人に抱きついた。
「お兄ちゃんっ!」
「お待たせ美佐、帰ろうか。」
「うんっ!
じゃ亜季ちゃんバイバーイ。また明日ね〜。」
美佐はニコニコ笑顔で私に手を振りながら、私とシスコン兄を残し、椿京平という名の自分の彼氏と去っていってしまった。

お〜い、こんな状態の私達を残してそんな爽やかに去られても・・・。

美佐達の後姿をボーゼンと見ながら脱力してしまった。
「俺達も帰るか。」
「そうね。」
毒気を抜かれた私とシスコン兄は、残された教室から出て校舎から出ることにした。










「ていうか、何で私がシスコン兄と一緒に帰ってんのよ。」
私はシスコン兄から少しずつ離れながら言うと、
「それは俺のセリフだ。心配しなくても俺は剣道部に寄るからここでお別れだ。」
シスコン兄はそう言って、道場のある方へ歩いていった。

はー良かったよ。このままシスコン兄と帰ることになるのかと思った。

私は胸をなでおろしながら歩き出すと、
「後藤亜紀さん。」
後ろから私を呼ぶ声に引き止められた。
私は声に聞き覚えがなく、誰だろ?と思いながら振り向くとそこには1人の男の人が立っていた。
その男の人は見覚えがある顔だった。

えっとぉ、確か1年生の秋田 斎君だったよね?
カッコいいとかみんなが言ってた子だ。
モテ男君で、いつも誰かに告白されているという。
でも私、年下は興味ないから関心なかったんだよね。
でも、何でそんなこが私のこと呼び止めるんだろ?

秋田君に呼び止められる理由がまったく分からない私は、不思議そうな顔をしていると、秋田君は私に近づいてきて信じられないことを言い出した。






「後藤亜季さん、僕と付き合って下さい。」
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