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愛して愛されて

「凛(りん)ちゃん、頑張ってるわね。」
「はい!でも、まだまだ覚えないといけないことが多くて一杯一杯になることが多いですけど。」
「新人の頃はそんなものよ。頑張ろうという気持ちを持つことが大事なんだから。」
「白川(しらかわ)さんにそう言ってもらえると安心します。」
「本当に凛ちゃんは素直よねぇ。そこが凛ちゃんのいいところなんだろうけど。
悪い男に捕まるんじゃないかって心配になるわぁ。」
「ははは。」
先輩である白川さんと食堂で昼食を食べながら乾いた笑いが出てしまう。
高校を卒業し、何とか就職できた私は企画室に配属された。慣れない毎日に涙が出そうになっていたけれど、身体が弱いお母さんを少しでも助けたいと就職したわけで、泣きごとなんて言っている場合じゃないと自分を叱咤激励しつつ頑張っている。
就職して半年、何とか少しだけだけどやれることも出来てきて頑張れるかなって思えてきた。
それに、弟と妹(双子なんだよね)におもちゃとか買ってあげたりも出来るようになったからちょっとだけ成長したような気になってしまう。
そんなことで成長の度合いが分かるわけがないのは分かっていても、やっぱりしてあげたいと思っていることをやってあげられるようになったのは、私の中ではかなり大きな変化だ。
「凛ちゃん、顔、にやけてるよ。何かエッチなことでも考えてたのかな?」
「なっ、何言ってるんですか!そんなこと全然考えてないですよ!」
「どうかなぁ。」
「白川さん〜。本当に考えてませんよー。」
「冗談冗談。
ホント凛ちゃんてからかうと面白いわよね。」
「面白がらないでください。」
白川さんに言われて目を白黒させていた私は冗談だと言われ、両頬を膨らます。
「何の話をしてるんだ?」
「あ、氷川(ひかわ)部長。
凛ちゃんをからかうと面白いなぁって話をしてたんですよ。部長もそう思いません?」

わー!白川さん何てことを言うんですか!!

白川さんが話しかけた人、氷川部長は私と白川さんがいる課の部長さんだ。
29歳と若い年齢ながら実績を上げて昇進をした人。
出世頭らしく仕事が出来て尊敬していたりする。
出来過ぎているけれど、顔もよくて背も高い。しかも、部下の面倒見もよくて性格がいいと女性社員のあこがれの的な人でもある。
切れ長な目で見つめられて契約をしてしまった会社があるとかないとか。
眼鏡もかけていて、それさえも男前を上げるアイテムになっている。
向かうところ敵なしとは部長のことを言うのかもしれない。
そんな部長は、
「そうだな、グルグル悩むところは面白いな。」
白川さん同様、私をからかうことがあるのがたまに傷だと私は思っている。
「部長までそんな風にいわないでください。」
「頬を膨らませるからハムスターみたいだと言われるんだ。自分でも気をつけるんだな。」
「…はい。」
「そろそろ休憩時間も終わる。戻る準備を始めないといけないんじゃないか?」
氷川部長はククッと笑いながら言った言葉に白川さんは「そうだった」と言って片づけを始める。
私も同じように片づけを始めるけれど、氷川部長の目が楽しげに何かを企んでいることにはまったく気づいていなかった。











「はー、結局残業かー。」
一人ポツンと残されたデスクの前でため息を漏らしながら出た独り言。
本当は残業の予定はなかったんだけど…、氷川部長の一言から決定してしまった。
『榎本、この資料は明日の会議では使えないな。やり直すこと。』
『はい…。』
自分なりに出来が良かったと思っていただけに返された時はショックだったけれど、氷川部長から分かりにくいと言われた場所を見直すと、確かにその通りでやり直すしかないと思えた。
なので、今私は一人淋しく残業をしている。
しばらくは何人か残っていたけれど気がつけば私一人で、さっきは守衛さんまで見回りに来てしまった。
しかもその時に、遅くまで大変だね、と、飴まで貰ってしまったという。
確かに守衛さんは年配の方で、私も身長が低いせいか幼く見られがちだ。
だからといって、飴はないと思う。

もちろん、ありがたくいただいちゃいますけど。

袋を破り出てきた飴を口に入れて舐めるとゆずの味がしてとてもおいしい。

さて、もうひと頑張りしますか。

貰った飴に元気をもらい、再びパソコンとの格闘を再開した。
それから1時間ほど経過して、無事終了。もちろん保存も忘れずに行って。
うーと背伸びをした後壁時計を見ると時刻は10時になろうとしていた。
「結局こんな時間になっちゃったかぁ。でも、終電に間に合う時間には終われたんだからよしとしよう。」
「終わったようだな。」
「ひゃっ!」
突然聞こえてきた声に身体をビクつかせてしまった。
振り返るとそこには氷川部長が立っていて、可笑しそうに笑っていた。
「脅かしておいて笑わないでくださいっ。」
「脅かしたつもりはないよ。勝手に榎本が驚いたんだろ?」
「それは…、そうですけど。」

でも、ビックリしたんだもん。誰でも今の状況だったら驚くと思うんだけど。

「こら、また頬が膨らんでるぞ。そんな顔をする奴には折角買ってきたものも食べれないだろうな。頬が膨らみ過ぎて。」
そう言って氷川部長が見せたもの、それは、ビニールの袋だった。そしてその中身は私が大好きな店のお弁当!
「氷川部長買ってきてくれたんですか!」
「まだ残ってると思ったからな。じゃ、一緒に食べるとするか。」
「はい!」

わーい、お弁当お弁当。

浮かれながら受け取ったビニール袋を手に部屋の奥にあるミーティング室へと移動を始めると、氷川部長も一緒に歩き出した。
ミーティング室は他の会社の人との打ち合わせに使われることもあるので、ソファーが置いてあったりする。
座り心地のいいソファーは私のお気に入りで出来ることならこの場所で仕事をしたいと思う時もある。
テーブルにビニール袋を置いた私は、お茶を入れるために給湯室へお湯を取りに行き、氷川部長と二人分のお茶を準備して戻り、お茶を渡す。
すでにビニール袋から出されたお弁当はレンジで温められていておいしそうな匂いが鼻をくすぐる。
「いただきまーす。」
両手を合わせ氷川部長に頭を下げた後割り箸を手に持ちぱくりとお弁当を食べだす。
空腹のせいもあるかもしれないけれど、いつも食べる以上においしいお弁当に頬が落ちそうだ。

はー、幸せー。
こんなに幸せでいいのかなぁ。

目の前にある幸せに酔いながら幸せを逃さないように次々に口に運ぶ私だったけれど、氷川部長の食べ方を見ていたら恥ずかしくなってしまった。
食べる姿さえも落ち着いていて、浮かれながら食べる私とは余裕さが違う。
ペースを落とし、落ち着いて食べようと思いなおしていると怪訝そうな顔で部長が私を見ていることに気づいた。
「あの、どうかしましたか?」
「どうかしたのは榎本の方じゃないのか?急に大人しく食べだすなんて。」
「大人しくって、ただゆっくり食べた方がいいかなって思っただけですよ。」
「何で急にそんな思ったんだ?」
「だって、氷川部長は落ち着いて食べてるのに、私が落ち着きもなく食べてるなんて、恥ずかしいです。」
「恥ずかしいことはない。いつもの榎本らしくて可愛いと俺は思うぞ。ハムスターみたいに頬に食べ物を入れている姿がな。」
「可愛くないですよ!」
氷川部長の言葉に自分の食べ姿のひどさに赤面してしまう。
「そんなにてれることはないだろう。可愛いと言っているのは私の本心なのに。
ほら、口の端にソースをつけている姿さえも俺には可愛く見える。」
氷川部長はそう言った後私の顔に顔を近づけ、口の端についたソースを舐めとった。
急な行動に私は態勢を崩しながら口に残っていたものがのどに詰まりお茶で流し込む。
「急にビックリするじゃないですか!」
「そんな驚くことでもないだろ。初めてされたわけでもないのに。」
「そ、それはそうですけど…。でも、やっぱり恥ずかしいです。」
「恥ずかしがる榎本は私を誘惑しているように見えるよ。」
「なっ!違います!!」
「ほら、違わないだろ?」
私の唇を指でなぞる氷川部長の指が私の身体をビクつかせる。
怖さじゃなくて、違う意味で。
「うん?ここにしてほしいことがあるんじゃないのか?」
「うー、どうしてそう意地悪なんですか?」
「榎本が可愛すぎるのがいけない。」
「答えになってません!」
「俺に苛められるのがうれしいって顔をしてるからだ。」
「そんなわけないです!」
「そうかな?では、身体に聞いてみるとしよう。」
「んっ!」
重ねられた唇がこれ以上私に話すことをやめさせてしまった。
そして、侵入してくる舌が、私の口腔を犯す。
歯列を割り入り込んできた舌は舌に絡んだり好きなように動きながら私の身体を痺れさせ、感じさせる。
そうなると私の身体は素直に反応するしかない。知られたくないけれど多分すでに知られている。
私の秘部が濡れて期待してしまっていることを。
「ひ…かわ、ぶちょ…う」
離れた唇は唾液に濡れ、電気の光を受けて光って見える。
そんな様子にさえも私の身体はこの先にあることに期待をしてしまう。
今私達がいる場所は会社だというのに。
「いつも言っているだろ?プライベートの時は名前で呼ぶようにと。」
「でも、会社…。」
「続きがしたくないのか?そんなことはないはずだ。凛のここは、すでに濡れているんだろ?」
スカートの中に腕を侵入させた氷川部長、いえ、伊吹(いぶき)さんは、下着越しに秘部を突いてくる。
「やぁっ」
「ほら、やっぱり濡れてる。下着越しからも分かるくらい濡らすなんて、感じすぎだろ。」
ゆっくりと指を下着の上から滑らす動きと共に私の耳元で囁いた伊吹さんは私の耳たぶを甘噛みする。耳が弱いことを知ってるから。
噛まれたことで力が抜けた身体を簡単に押し倒すと、上着を首元まで引き上げた後胸に触れ、空いている方の胸は突起を口に含む。
複数の場所を一度に攻められ私は身体を跳ねさせ、出てくる声も甘さを混じらせる。
直に触れられないもどかしさ、そんな時にどうすればいいのかは伊吹さんに教えられた。
誰にも教えてもらったことはない。伊吹さんにだけ教えられた言葉。
でも、その言葉を言うにはまだ羞恥心が私の中に残っている。
そのことに気づいているのかツツッと身体の上を滑らせる舌はまたもや私が弱い場所へとたどり着いてしまう。
「ああっ、っあ!」
「素直に言った方が気持ち良くなるのにな。でも、まだそうなるにはかかりそうだから協力してやるよ。」
「ダメっそれ、いじょっ…う。ああぁんっ」
「ほーら、ますます濡れてきた。いい感じに蕩けてるようだ。きっと中に埋め込んだら気持ちいはずなんだけどな。まだ、我慢するのか?」
「…っ、いじ、わるっ・・っ」
「その方が凛が可愛くなるんだから仕方がない。」
シレッと言う伊吹さんは上体を起こすと、キスをしてきてしかも、下着の上からの指の動きを速める。溝にそって感じる突起をさすりながら。
「うふっん…。んっはぁあぁん。もう、おねが…い」
「うん?」
唇が離れ、我慢がきかなくなった私は催促をするけれど、それじゃ許してくれないらしく、意地悪な表情を向けながら私の言葉を待つ伊吹さんを睨む。でも、そんなのは何の効果もないらしい。伊吹さんは楽しげな表情を見せるだけだ。
だから、言ってしまう。
「動いてる、指。入れて…くださ、い。な…かにっ」
入れてもらえるならもうどうでもいい、そう思ってしまうほど私は貪欲に求め出していた。
「よく出来ました。」
チュッと額にキスを落とすと伊吹さんは私が望んだものを秘部に埋め込む。そして、ゆっくりとした動きを続けた後徐々にスピードを上げながら私が感じる場所をさすりあげ、私は声を抑えることが出来ない。
感じるまま高められる熱に頭はもうろうとなりながらも、身体は素直だ。
この先に待つ高みへと昇り詰めようとしているのだから。
「イっ…ちゃっ。…イッ、ぁゥウ!」
弾けるような感覚が私の身体を走り抜け、一気に身体から力が抜ける。そして、口から出てくるのは荒い息。
「ひゃっ!…まだ、っむりぃ…っ」
「そんあことはないだろ。ほら、こんなにひくついて待ってるんだから。いくぞ。」
「あああっ、はぁ!…あああっ」
絶頂を迎えた私の身体は息を整える間もなく伊吹さんの物を受け入れる。
感じすぎているくせに貪欲に動く私の内部は逃がすまいと伊吹さんの物にからみつく。
伊吹さんが息を詰める声が聞こえたけれど、そんなことを気にすることは私には出来るはずもなく、ただただもたらされる痺れと快感をこの身で受け入れるだけだ。
荒いくなるお互いの息使い。それさえも快感を追う材料となる。
「ダメっ、ダメだよ…ぉっ。イ、いっちゃっ!」
「っ、イケよ。俺…も、そろそろ…っ」
「一緒、一緒がいいぁっ、ああっ!」
「そう、だな…っ」
動きを速める伊吹さんの腰の動き。ぎゅっと広い背中を抱きしめながら揺れる身体は動きを合わせ、高みを目指す。
そして、目の前を白くするほどの快感が私の中で弾けた。








「ご飯の途中だったのに…。」
「そう言う割には嬉しそうに絡みついてきたぞ。凛のここは。」
「ぃやっん!」
息を整えた後、ソファーの上で何も身につけないまま重ねられたお互いの肌。
熱を籠らせてはいたけれど、心地いい温もり。



私は伊吹さんと付き合いだしてまだ2か月ほどだけど、すでに伊吹さん色に染められていると思う。
まさか女性社員の憧れである伊吹さんと付き合うことになるとは思ってもいなかった。始まりは、まーひいき目で見てもどうよそれ?という感じではあるけれど、今ではアツアツカップルなのでよしとしている。
難を言えば、今日みたいに意地悪をされてしまうことだけど、それさえも本当に嫌なわけではないから我ながら困ったものだと思う。



「さて、これから凛を送らないといけないな。終電もなくなったことだし。」
「あー!折角終電に間に合うように終われたのにぃ。」
「それは、俺と一緒にいるのが嫌だったということか?」
「いや、そんなことは、誰も…。」
「そうか、まさか凛にそんな風に思われているとはな。」
「思ってない!伊吹さんといられるのはうれしいもん!!」
悲しませちゃったと思い、必死になって言っていると、伊吹さんは意地悪な顔でニヤッと笑う。

騙された!

そう思った時にはすでに手遅れ。
「じゃ、今日は俺の家にお泊まりだな。まだ離れたくないようだし。」
「…はい〜。」
結局、伊吹さんの家に連れて行かれた私は、朝方まで抱かれることになり、次の日の仕事はグッタリなって過ごすことになる。
でも、そんなことも、書類の修正がよく出来ていると褒める伊吹さんの表情に許してしまうのは、いつものこと。


+おわり♪+
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