スイートクリスマス


〜桃依と秋定のクリスマス〜


華やかな場所、この場所は何だか私には不釣り合いなような気がして落ち着かない。
そう思いながらも笑顔でいないといけないのは結構辛い。
でも、秋定さんの立場を考えれば妻としての役目をきちんと果たさないといけないのだから当然の義務だし、分かっていたこと。
社長である秋定さんの妻になるということは、甘いだけの生活ではないのだということ。
今日は日頃付き合いがある会社関係者の人を招待してのパーティーが行われている。
秘書ではなく秋定さんの妻としてこういうパーティーに参加するのは初めての私は、慣れないながらも何とか役割をこなしてるという感じになっている。
ため息をつきたくなる気持ちになってしまっていたけれど、秘書をしていた時に身につけた笑顔で対応を続けている。
本当はおばあ様と一緒に3人で穏やかだけど家族で過ごすクリスマスを望んでいたけれど、社長である秋定さんがこのパーティーにいないというわけにはいかない。
そのことは十分に分かっている。
だから、そんな自分の気持ちを心の奥深くに沈めて笑顔を見せている私。
私の隣でいつもと変わらない様子の秋定さん。
今は私だけが知っている旦那様の表情ではなく社長としての顔を見せている。
秋定さんも私と同じように家族でクリスマスを過ごせないことを残念に思ってくれているのだろうか?
今の秋定さんの表情からはどう思っているのか読むことはできない。
代わる代わる挨拶に来る人達に笑顔を見せ対応をしながらそんなことを考えていた。






一通り挨拶を終えた私達は、やっと落ち着くことができたという感じだ。
「疲れたか?」
小さくため息をついた私に秋定さんが顔を近づけ聞いてきた。
「大丈夫よ。」
「そうならいいんだが、無理はするなよ。」
「無理はしてないわ。
秋定さんの妻としてきちんと役目を果たさないとね。」
笑顔を見せながらそう言う私に秋定さんは何か言いたそうにしていたけれど、
「楽しんでるか、お2人さん。」
と、公兄が話しかけてきたことで話が中断されてしまった。
「桃依、笑顔が張り付いてるみたいになってるぞ。
秘書で鍛えたかいがあったんじゃないか?」
公兄はニッと笑いながらからかうように聞いてくる。
「そうね、鍛えられたおかげです。」
と、私はニッコリ笑いかけて返事をした。
すると、今まで隣にいて私達の会話を聞いていただけだった秋定さんが、公兄に視線を向けながら話しかける。
「公浩、もういいんじゃないか?」
「もうか?もう少し居てもいいんじゃないのか?」
「充分だろ、俺達に関係なく騒ぎだしているからな。」
「そう言いながらお前が我慢できないだけなんじゃないのか?」
「何とでも、後は任せたぞ。」
「分かりましたよ社長。
後はお任せください。」
2人が含みのある会話を目の前でしながらその様子を見ているだけになっていた私の肩を秋定さんが抱き寄せたかと思うと、急に歩きだしてしまった。
「え?」
急なことに秋定さんの顔を見てしまうしかない私を、スタスタとドアまで連れ出す秋定さんとパーティー会場を後にした。
そんな私達の姿を見ながら公兄は、
「よいクリスマスを。」
と手を振りながら私達を送り出していた。











「秋定さんっ!?」
秋定さんに連れ去られた私は、エレベーターに乗せられてしまい上昇しているエレベーターの中で動揺してしまう。
それもそのはず、まだパーティーは続いているのに社長である秋定さんがエレベーターに乗っている理由が分からない。
そうしているうちに停まったエレベーターを一緒に降りた私達は、その階にある部屋の中へと入って行った。
その部屋は見るからにスイートルームだということが分かる。
だけど、なぜこの場所にいることになったのか私には分からなくて、
「秋定さん、どうしてここに来たの?
戻らないといけないんじゃない?」
と、隣に立っている秋定さんを見上げながら聞いた。
秋定さんはそんな私をじっと見つめたかと思うと、抱きよせて私を腕の中に閉じ込めてしまった。
「もう限界だったんだよ。
本当は桃依と過ごしたいと思っていたクリスマスを会いたくもない奴らと会って愛想笑いするのは。
だから、これからは桃依と遅くなったクリスマスを過ごす。」
「そんな、いいの?本当に。
秋定さんがいなくなったことに気がついたらみんな騒ぎだすと思うわ。」
「それは心配ないだろ。
もうみんな好きに楽しんでいるから体調が悪くなったと言えば誰も俺達のことは気にしないさ。
そのことはすでに実行されているはずだ。」
「もしかして公兄と話していたのはそのことだったの?」
「そうだ、桃依は嫌か?俺とこれから過ごすのは。」
「嫌なわけないじゃない。
私だって本当は秋定さんとこうやって2人でクリスマスを過ごしたかったんだもの。」
「そう言ってもらえて安心したよ。
夫婦になって初めてのクリスマスなのにゆっくりと過ごせなかったからな。」
「うん、本当はおばあ様とも一緒に過ごして秋定さんに食べてもらうためにケーキを作りたいと思ってたの。
でも、社長でもある秋定さんに私の気持ちを押しつけるわけにはいかないと思っていたから。」
「俺もそうしたかったよ。
そうは言っても自分の思い通りにならないこともあるからな。
すまない、桃依。
でも、いつまでも自分の時間を使われるのは困るからな、こんな方法をとってしまった。」
「本当はパーティーに戻った方がいいのは私にも分かってる。
でも、秋定さんとこのまま2人でクリスマスを過ごしたいと思うのはわがまま?」
「いや、俺もそう望んでいるんだからわがままなんかじゃないよ。
どちらかと言えば俺のわがままだろうな、我慢が出来ずに途中で抜けだしてしまったんだから。」
「秋定さんでもわがままなんて言うことがあるのね。」
私は何だか可笑しくて顔を緩ませながらそう言うと、
「桃依に関しての限定だけどな。」
そう言って優しいキスが降ってきた。



それからの私達は砂糖菓子のように甘い夜を過ごし、次の日おばあ様と一緒に遅いクリスマスを家族で過ごすことが出来た。



+おわり♪+


クリスマス企画ラストです。
予定より遅い更新だったにも関わらず、短いお話になってしまってすいません(汗)
言い訳を言い出せばきりがないのですが、とりあえずは甘い2人ということでお許しください。





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