聖なる夜の誓い


〜咲と裕也のクリスマス〜


裕也と婚約指輪を買いに行き、と言っても予想もしていない展開だったけれどその後お互いの両親にも挨拶に行き、結婚したいと報告した私達。
どちらの両親も報告にすごく喜んでくれてトントン拍子に結婚へ向かっていくかと思っていたけれど、思うような展開にはなってくれなかった。
私は結婚を機に仕事を辞めようと思っていたけれど上司から引き留められてしまい、裕也に相談した。
仕事は好きだし、取りかかっている仕事を途中で放り出す形で辞めることに心残りがあったから私にとってはありがたいしうれしい言葉だった。
そのことを裕也に話すと、残念な様子を見せたけれど、
「咲の性格だと途中で仕事を辞めるのは無理があったんだよな。
今やってる仕事今年中には終わるんだろ?」
「うん。
だから、仕事を終わらせて引き継ぎを無事に終えて仕事を辞めたいと思ってる。
予定より結婚式が遅れてしまうことにはなるんだけど。」
「いいよ、咲には納得して仕事を辞めてほしいからな。
結婚式が予定より少しぐらい遅くなっても俺の気持ちが変わるわけじゃないから安心しろ。」
「そんなこと、思ってないわよ。」
「そうか?
俺には咲の顔が心配そうにしてる気がしたんだけどな。」
本当は結婚式を遅らせることで裕也の気持ちが痺れを切らしてしまったらどうしようかと実は思っていた。
そんな自分の気持ちを裕也に言い当てられてしまったけれど、最近の裕也は私の心の中が見えるのではないかと思うくらい私の心配事や不安に思っていることを言い当ててしまう。
本当に心の中のすべてが知られているとは思わないけれど、裕也が私のことを見ていてくれるから気づいてくれているのだと思う。
そのことが私には何よりうれしくて、私が素直に裕也に甘えることができる理由にもなっている。
「ありがとう裕也、頑張って仕事やるわ。」
そう言って私は隣にいた裕也の肩に自分の顔を寄せた。
そんな私の頭を優しく裕也は撫でてくれて、穏やかな空気が私達の間に流れていた。











結婚式を遅らせることになった仕事を年末にはなってしまったけれど何とか終わらせ、引き継ぎも同時にやっていたから12月に入り残っていた有給を使い会社を辞めることになった。
辞めてから時間が出来た私は本腰を入れて結婚の準備を始めだした。
仕事をしながら結婚式の準備はしていたけれど、仕事中心にやっていたからまだまだやらないといけないことがたくさんある。
それと、裕也の希望もあり2人で新居に引っ越すことになった。
そんな感じで仕事を辞めても忙しい毎日を過ごしていた私だったけれど、世間はすっかりクリスマス一色、そんな様子にやっぱり私もクリスマスは楽しみにしている1人だったりする。
裕也は年末ということもあり仕事は忙しいみたいだけど祝日の連休は取れそうだと言っていた。
だから、クリスマスは2人で過ごすことができそうだ。
私は結婚式の準備や新居の片づけをしながら裕也と過ごすクリスマスを楽しみにしていた。





今日はクリスマスイブ当日、裕也はまだ眠っている。
日頃の疲れからなのか休みの日は遅くまで眠っていることが多い。
少し寂しい気はするけれど、疲れを取ってもらう方がうれしいので裕也が眠っている間私は買ってあったツリーを箱から出して作り始めることにした。

ツリーをクリスマスに用意するなんて何年ぶりだろ?
記憶にあるのは中学か高校の頃だとは思うけど。
久しぶりに作るツリーというのは結構楽しいかも。
ツリーを見るとクリスマスだと浮かれてしまうのはなぜなんだろう?
キリストの誕生日のはずなのに、なぜか恋人と過ごしたくなるクリスマス。
去年までは裕也と過ごすことが出来る日が来るなんて思ってもなかった日。
それが一緒に住んでいる部屋でツリーを作ってるなんてね。

そう思うと何だかおかしくて1人でクスクスと小さく笑いながら飾り付けをしてしまう。
「何1人で笑ってるんだ?」
後ろから声が聞こえて振り返ると、今起きたばかりと分かる眠そうな顔で裕也が私に近づいてきていた。
「おはよう裕也。」
「そんなににやけるほどツリーの飾りつけは楽しいのか?」
「にやけるって、別ににやけてはないけど楽しいわよ、裕也も一緒にやる?」
「いや、いいよ。
俺はそういう飾り付けのセンスはまったくないから咲にまかせる。」
「そう?じゃもう少しで終わるからそれが終わったらご飯にするわね。」
そう言って飾り付けを再開させた私の隣に裕也は腰掛け作業を見ている。
裕也に近距離で見られながらというのはいまだに照れてしまう私だけど、穏やかに裕也と過ごすクリスマスイブの始まりに自然と顔が緩んでしまっていた。












ツリーの飾り付けを終えた私は、裕也と一緒に遅い朝食兼昼食を摂った後片付けをお終えて寛いでから夜に備えて夕食の準備を始めた。
外で食事をしてもいいのにと裕也は言ったけれど、私が家で過ごしたいと提案した。
レストランでクリスマスの雰囲気を感じながら食事をするのも嫌いじゃない。
でも、今年は裕也と混雑した街中で過ごすのではなく2人で家で過ごすのもいいんじゃないのかと思った私。
そんな私の提案に裕也は賛成してくれて今2人で台所に立っていたりする。
ゆっくりしていていいと言った私に、
「たまには一緒に料理とかするのもいいよな。」
とニッと笑いながら言った裕也は、私が作る料理の手伝いをしてくれている。
裕也も1人暮らしが長かったからまったく料理が出来ないわけではない。
だから、包丁もそこそこに使いこなすから任せることが出来たりして。
それに、一緒に作るというのは近くで話をするのにはいいみたいで私達は楽しみながら料理を作り、最近裕也の仕事が忙しくてゆっくり話すことがなかった分を取り戻すように話もした。
仕事を辞めてから結婚式の準備に本腰をいれていたけれど、1人でやるには思っていたよりもしんどいんだということを知った。
裕也は仕事で忙しいんだからと頑張っていたけれど、やっぱり一緒に準備が出来る方がうれしい。
だから、久しぶりに裕也とゆっくり話が出来る時間が私にはとてもうれしい時間だった。
それだけでも私にとってはクリスマスプレゼントのような気がする。
そう裕也に話をすると、
「話をするだけでプレゼントだと思われるなんてありがたいけど、本当はそう思われるなんて俺が咲との時間をとれてないってことだよな。ごめんな。」
「それは年末なんだししょうがないわよ。
それに、寂しい想いをしてるわけじゃないもの。
裕也が私が待つ家に帰って来てくれて私を好きでいてくれることを感じれてるんだから。」
申し訳なさそうにしている裕也に私は本心からそう思っているんだということを伝えたくて微笑みながら裕也を見つめる。
すると、裕也は私に顔を近づけてきて唇に優しく触れるキスをくれた。
「好きだよ、咲。」
ゆっくりと離れながら言う裕也に私も、
「私も好き。」
と、応えた。
甘い空気をかもし出した私達は、このままお互いを求めてしまいそうになったけれど、沸騰したなべの音に苦笑しながら残っている料理の続きを再開させた。





料理を作り終えた私達は、注文していたケーキを取りにいこうということになり、洋服を着替えクリスマス一色の街へ出かけた。
外は夕方になり暗くなってきていたけれど、イルミネーションで彩られた街はあまり暗さを感じさせない。
クリスマスイブということで人通りも多いけれど、肌でクリスマスの雰囲気を感じることが出来る。
ケーキを受け取り帰る予定でいた私に、
「咲、ちょっと寄りたい所があるんだけど付き合ってくれるか?」
裕也は私の手を握ったまま問いかける。
「別にいいけど、何か買うものでもあるの?」
「買うものはないけど、ちょっとな。」
そう言って何か企んでいるような眼で私を見ながら目的地に向かいだしているようだ。
それから私はどこに向かっているのか知らされないまま裕也に手を引かれていった。







「ここって・・。」
「そう、教会。」
裕也に連れて行かれた場所は教会だった。
中に入っていくとすでに多くの人が座っていて私達は入口の近くに立つことにした。
教会はキャンドルのやわらかい光がステンドグラスをきれいに見せている。
その中で響く賛美歌は心に響く優しい歌声。
私はキリスト教徒ではないからクリスマスに讃美歌を聞いたのは初めてだった。
でも、街中の喧騒が嘘のように静かな空間の中で聞く賛美歌がこんなに感動するとは思ってもいなかった。
「きれいな歌声だよな。」
「うん。でも、どうしてここにこようと思ったの?
裕也もキリスト教じゃなかったわよね。」
「ああ。
でも昔会社に入りたてくらいに偶然にここの前を通って讃美歌を聞いたことがあるんだ。
その時何故か咲にも聞かせたいと思ったんだよ。
まだ自分の気持ちに気づいてもない頃なのにな。
その頃から俺は咲のことが好きだったからそう思ったんだろうな。
だから、やっと自分の気持ちに気づくことができた今年は咲と一緒に聞きたかったんだ。」
思ってもいなかった裕也の告白に私は瞳を潤ませていた。
裕也が私を思いながらこの讃美歌を聞いていてくれたことそして、私と聞きたいと思ってくれたことがうれしかった。
気がつけば私は手を繋いだままになっていた裕也の手を強く握りしめてしまっていた。
そんな私に裕也も握り返してくれる。
そして、
「讃美歌を一緒に聞きたいと思った咲をこの先ずっと幸せにすることを誓うよ。
結婚式でも誓うけど、今日ここで咲に言いたかったんだ。」
と、裕也は優しい目をしながら私を見つめている。
またも思いもよらなかった裕也の言葉に私は堪え切れず涙を流してしまった。

裕也、そんなうれしいこと言われたら我慢できないじゃない。

「これからずっと俺と一緒にいてくれますか?」
「はい。」
私は声を震わせながら返事をした後、裕也に引き寄せられ寄り添いながらまるで私達を祝福してくれているような優しい歌声の讃美歌を聞いていた。












「裕也、・・・・裕也っ、っぁあぁ!」
讃美歌を聞いた後私達は本当の目的だったクリスマスケーキを受け取り家に戻ると、2人きりのクリスマスイブを祝った。
その後、気がつけば私達はお互いの身体を近づけベッドへ移動して求めあう。
それから何度達したのか分からないほど裕也に高められる快感。
火照った身体はそれでも裕也を求めていることを感じていたけれど、もうそんな自分を止めることさえ出来ないほど興奮していた。
私の中を縦横無尽にかき回す裕也の物に声は大きくなってしまい、身体も痙攣を超しているのかと錯覚するほどピクつく。
「またクルッ・・・、もうっ」
「まだこれからだよ咲、・・・っ咲の中、熱すぎだろ。
しかも締め付けてくるしっ」
「駄目、ダメッ、・・・イクッ!・・・はあぁっ、あああ、」
私は頭の中を真っ白にさせイってしまうと、裕也も私の中で熱いものを放ち果てる。
それでも裕也の物は硬さを戻しつつあり、私の唇にキスをしながら律動を再開させる。
疲れているはずの私の身体は、裕也の動きに貪欲に反応し、私達の夜は熱いまま更けていく。





昨日の疲れが抜け切れない私は、なかなか身体をベッドから起こすことが出来ないでいたけれど、裕也の優しい胸の中に包まれ安心する。
そして、身体を動かせるようになった頃、私達は出かけた。
その場所はある手続きをする場所・・・・。


クリスマス、私は草壁 咲になった。


+おわり♪+



クリスマス企画第1弾、何とかクリスマスに間に合いました(笑)
すっかり新婚さんになってしまったこの2人。
甘甘な雰囲気が伝わればよいのですがいかがでしょう?
残り2話頑張ります!





Copyright(c) 2007 machi all rights reserved.

面白かったよとちょっとでも思ってくれたら押してもらえるとうれしいです♪
よろしかったら感想も一緒に書いてもらえるとますますうれしいです♪

Novel

Top




検索サイトから来られた方は、 こちら からTOPへどうぞ。