いろんなところにキス7題


2.ほっぺにキス


「いつならいいの?」
「いつとか聞かないでよ。」
「だって、亜季さんが・・。」
「それ以上言わなくていいからっ!」
「可愛い、亜季さん。」
「何笑ってるのよー!」
斎君と本当の恋人同士になってしばらく経ってから繰り返されている言葉。
言葉遊びのように繰り返されているような気もしないでもないけれど、私にとっては重要なことで、毎日必死だ。
反対に斎君は飄々としているようにしか見えなくて何だか悔しい。
すったもんだの末今の関係に落ち着いたわけだけど、斎君から毎日のように言われているのは、愛の確かめあいという名の一線を越えた行為のことだ。
別に斎君とそういう関係になるのが嫌なわけじゃない、ただ、ちょっとだけ、ちょっとだけなんだけど怖い。
だって、初めてなんだもの!!
惚れっぽい性格の私は軽い女だと思われがちだけど、全くそんなんことはなく、今まで身体を許したことはない。
だから、初めての行為だから、怖いというのが本音だ。
斎君と身体を重ねることが嫌なわけじゃない、ただ怖いから避けてしまう。

ごめんね、斎君。

そうして、今日も私は心の中で斎君にあやまってしまうのだった。










そして迎えた放課後。
斎君がいつものように教室まで私を迎えにきてくれた。
迎えに来てくれたことに気づき、鞄を持ちながら美佐に挨拶をして斎君がいる場所まで小走りに向かう。
「お待たせ。」
「じゃ、帰ろうか。」
隣に並んで歩きながら、斎君の横顔を見ていた。
年下だけど、端正な顔立ちをしていてそうは見えない。
まさか幼馴染のいっ君だと知った時は驚いたけれど、面影は残っている。
大好きだったいっ君、離れることが悲しすぎて記憶を閉じ込めてしまっていたのにまた好きになってしまったというのは、運命と言ってもいいのかもしれない。
同じ人を気づかずに好きになっていたなんておまぬけな話だけど、運命に導かれたのだと思えば何だかロマンチックな気持ちになってしまう。
「じっと見られるとさすがに照れ臭いよ。」
「照れているようには見えないけど。」
「見えないだけだよ。」
クスクスと笑いながら言う姿に、何だか勝てないような気がしてくる。
年上のはずなのに、いつも気がつけば斎君のペースに巻き込まれてしまう。
強気で向かっていっているのにスルリとかわされて。
でも、そんな自分が嫌なわけじゃない。
斎君の前では気を張らず、強い振りをしなくていいんだと態度で示されているんだと気づいているから。
斎君の前では強気なことを言いながらも甘えている私がいる。
今まで誰にもそんなことは出来なかった。
「手、つなごうか。」
ニッコリ微笑みながら斎君は言うと、私の手に自分の手を触れてきて握りしめてくる。
握られる手から感じる温もりに、心も温かくなる気がしてきて、自然と笑顔になって斎君の手を握り返した。
そして、家までの道のりを手を握ったまま帰って、家の前に着いたけれど何だか離しがたい気持ちになってしまう。
「着いちゃったね。」
「うん。」
「亜季さん、また明日。」
「斎君っ!」
「何?」
「えっと、今日は両親が遅くて、それで・・・。」
焦って斎君を引き留めながら言った言葉だったけれど、言葉を詰まらせてしまう。
すると、斎君はクスッと笑いながら私の頬にキスをする。
急な行動に目を見開いてしまうと、にこやかだけれど、少しだけ意地悪な顔をした斎君が目に入る。
「亜季さん、無理しなくていいよ。
本当は怖いんでしょ?」
「何でっ。」
「いつも見てるんだからそれくらい分かるよ。
怖いけど俺のために頑張ろうとしてくれてるのもね。
でも、無理はしてほしくないんだ。
だから、怖い気持ちがなくなって、亜季さんの全部を俺の物に遠慮なくするから。
それまでは、少しだけもらうことにするよ。」
「少しだけ?」
「そう、さっきみたいに頬にキスをするとか、他にも色々とね。
そうやって亜季さんの方から求められるよう俺も日々精進しないといけないな。」
「精進って。」
「手始めに・・・。」
言い終わらないうちに私の身体を引き寄せたかと思うと、唇を重ねてきた。
柔らかい唇の感触を感じて驚いてしまったけれど、そのまま身を任せる。
そして、お互いの熱を分け合うようにキスを続ける。
どのくらいの時間が過ぎたのか分からない、そうは言ってもほんの数秒なのかもしれないけれど、私には長く感じた時間が過ぎ、唇を離す。
「こうやってちょっとずつ慣らしていこうね。
じゃ、また明日迎えにくるよ。」
そう言って軽やかな足取りで去っていく斎君の後ろ姿を見つめているだけの私。

な、慣れていこうって、これって、待ってくれてるって言うの?
でも、こうやってちょっとずつの方がいいのかもしれないな。
あと少し、ほんの少しだけ待っててね、斎君。

+おわり♪+



かなり久々の2人です。
ありがたいことにアンケートで票を頂けたので登場させることが出来ました♪
この先こういう機会でもないと登場しそうにない予感がする2人ですが、その時には斎は成就できるとよいのですが(笑)





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